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日本ブランド神話が中国で完全失墜。無印良品・イトーヨーカ堂ほか中国進出成功企業を軒並み苦境に陥れる“脱日本化”というトレンド=牧野武文

「品質も悪くない」メイソウで消費者は満足している

そして、ここが重要ですが、現在のメイソウは、買って後悔するほどひどい品質のものはほぼないほどには品質をあげてきているのです。そのため、メイソウの商品で満足をしてしまう人が増えています。

MUJIだけでなく、ソニーそっくりのイヤホン、シャネルそっくりの香水なども販売されていますが、いずれも価格は本家の1/10以下です。しかも、そっくりの仕方もノウハウが溜まってきて、以前は知財権侵害で訴訟を起こされていましたが、最近はデザイン要素はうまく取り入れて消費者からはそっくりに見えても、法的問題が起きないようにうまく回避をするようなデザインになっているようです。

そのため、イヤホンが欲しい人がメイソウの店舗に行くと、「あ!ソニーそっくりのイヤホンがある」と目が行き、価格を見ると本家の1/10以下、失敗しても痛くないととりあえず購入して使ってみると、品質は本家とは比べ物にならないものの、普段使う分には問題を感じない。それでまた、メイソウで別の商品を買ってしまうということになっています。

メイソウが狙う“脱日本化”の動き

しかし、このメイソウに変化が起きています。以前は、あたかも日本企業であるかのように誤解をさせることをねらったプロモーションを行なっていました。創業者には日本人デザイナーの名前が使われ、顔写真まで店内に掲げられていました。店頭ロゴには日本のカタカナで「メイソウ」と表記されたものまで使われていました。

しかし、当時から都市部の大学生などは、日本企業ではないことはわかっていたそうです。なぜなら公式サイトの店舗案内を見れば、日本に店舗がないことが明らかだからです(以前は東京・早稲田などに数店舗がありましたが、すでに閉店)。

しかし、メイソウはこのような日本企業だと勘違いさせる店内表示などを2023年3月までに完全撤去をすることを公表しました。スペインのメイソウが、SNSのプロモーションでチャイナドレスを着たフィギュアの写真を掲示し、「日本の芸妓」というキャプションをつけたため、これが中国人消費者の目に留まり、炎上をしたことがきっかけになっています。

https://www.ixigua.com/7129878078167237134
▲炎上したメイソウのフィギュア。チャイナドレスを着ているのに、日本の芸妓として紹介されたため、炎上をした。

ただし、中国人消費者の批判が、「メイソウが日本企業のフリをしていた」ことに向かっているわけではありません。自分たちにとって大切な中国文化を、あたかも日本の文化であるかのようにスペインで紹介したことに怒っています。

メイソウでは、2019年からこのような日本企業であるかのように誤解させる表記を改めてきましたが、この問題で完全に「日本的なもの」を撤去することに踏み切りました。

これは私たち日本にとって重要なことです。日本に対するイメージが明らかに変わったのです。

Next: 不正検査、品質偽装の連発で崩壊した日本ブランド神話

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