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ドル円「植田ショック」で乱高下…今夜の米雇用統計でどう動く?大荒れ相場で稼ぐトレード戦略=ゆきママ

まさに植田ショックという相場。昨日のドル円相場は6円近く下落するなど、大幅な円高を記録する場面も。そんな中で迎える注目の雇用統計は大荒れ必至?いずれにせよ、値動きが大きいことはチャンスでもありますから、この記事をしっかり読んで備えていただければと思います。(ゆきママ)

️感謝祭休暇のポジション調整から植田ショックへ!

ドル円は11月13日に年初来高値となる151.90円をつけてから、わずか1ヶ月足らずで141.60円をつける10円幅を超える乱高下となっています。

きっかけとなったのは米国の消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことで、ドル安が加速。その後は11月23日の感謝祭休暇に向け、円売りポジションの解消が進み、円高も重なってドル円はどんどん下落していきました。

その後も米国の雇用指標の弱い数字を受け、金利引き下げを織り込む動きが止まらず、上値は重くジリジリとドル安・円高方向への値動きが続きました。

そして、運命のXデーが昨日7日。日銀の植田和男総裁が参議院財政金融委員会で、今後の政策運営について「チャレンジングな状況が続いているが、年末から来年にかけ一段とチャレンジングになるというようにも思っている」と発言。これがショック相場につながりました。

海外勢を中心に、日銀の年末のマイナス金利解除から、早期の金利引き上げが意識され、ドル円は一段と下落。145.00円の大台節目を割り込んだことでのロスカットが誘発され、さらにオプションやポジション調整も一段と進み、大暴落となりました。

米ドル/円 日足(SBI証券提供)

短期的には下げすぎからの買い戻しが入っていますが、依然として上値の重い状況が続いており、下値を意識する相場が続いています。

市場は5回以上の米利下げを織り込んでいるが…

すでに金利先物市場は来年の米国の利下げを5回以上織り込んでおり、これを裏付ける数字が出るかどうかが注目されます。

FRB(米連邦準備制度理事会)の使命は、安定的な物価と雇用の最大化ですから、歴史的に見ても雇用指標が悪化すると、かなり利下げ方向に傾きやすいと言われています。

5回以上の利下げ織り込みは行き過ぎ、異常といった指摘はあるものの、やはり弱い数字が出るとその織り込みを正当化することにもなりますし、日米金利差縮小から円売り解消といったポジション調整も重なりやすいので、弱い数字には要注意でしょう。

Next: 気になる先行指標は?やや強めの数字を想定したドル円トレード戦略



️ストライキからの復帰を織り込んでやや強めの予想

雇用指標の結果(青は改善・赤は悪化、数値はいずれも速報値)

やはり全体的に悪化傾向となっています。これら雇用指標の弱さが市場の利下げ織り込みを支えているのでしょう。この織り込みをひっくり返すには、かなり強めの数字が必要になりそうです。

ちなみに、雇用指標が全体的に悪化しているにも関わらず、非農業部門雇用者数(NFP)の伸びが前月より多いのは、大手自動車会社おストライキ終了による押し上げ効果、+3〜4万人分が含まれているとされています。

なので、前回よりも少し多い程度ではサプライズにならないでしょう。雇用者数であれば+25万人前後を上回ってくるとか、平均時給の伸びが前回(10月分)の+4.1%を上回って+4.2%になり、賃金インフレを意識させる、というような数字が出ない限り、なかなかドル円が大きく反発していく展望を描くのは難しいように思います。

️基本的に戻り売りを狙いたいトレンド

ドル円が反発していく展望を描きにくい、とはいっても、流石に6円の落下はやり過ぎですし、143円台前半レベルから下は買いも出ているので、雇用統計発表前に143円台ならば軽く買ってサプライズ、上振れを期待するのはアリでしょう。一定レベルの買い戻しは期待できる状況にあります。

また、多少予想を下回る程度では、すでに来年5〜6回という利下げ織り込みを一段と加速させることはできませんから、雇用統計の発表直後に大きく下落する展開もやや想定しにくいですからね。

もっとも、よほど強い数字でなけれ戻り売り優勢のトレンドも変わらずですから、いずれにせよロングポジションは初動で利食いして、徐々に戻り売りを試していきたいところでしょう。

Next: 具体的なトレード戦略は?今夜の想定は1ドル=140.00〜145.00円



今夜の想定は1ドル=140.00〜145.00円

とりあえず、発表前に143円台以下の水準であれば、強めのサプライズに期待してドル円ロングでギャンブルするのは良いでしょう。

ドル円チャート(日足)

ただし、上値に関しては戻せても145.00円前後でしょうし、多少雇用統計の数字が強い程度では144円半ばも回復できない可能性が高そうなので、勢い的に弱ければロングポジションは即手仕舞いです。

もちろん、145円を超えていきそうな圧倒的な強さであれば、ホールドしてどこまで上値が伸びるかを確認したいですが、その後に145円台を維持できないなら、利食いしてしまうのが無難です。

戻り売りを試すとすれば、予想並かそれ以下の数字を確認して、145.00円を背にやっていくイメージ。145.30円でいったん損切りです。

すでに植田ショックで140円レベルは見えかかっていますので、市場予想より弱い数字であれば143円台から少しずつ売っていくのはアリ。

とはいえ、本来的には142円台では強めのサポートがありますから、142円台で突っ込み売りをしていくことはオススメしません。もし、やるにしてもあくまで短期にしましょう。

現在、短期的に下げすぎ、売られすぎな状況ではありますので、調子に乗って突っ込みすぎることのないようにだけ注意していただければと思います。

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2023年12月8日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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