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日本会議はもう古い? 我が国エリートが集う「梅下村塾」の影響力=高島康司

今回のテーマは、日本の官僚と財界の生え抜きエリートをまとめる裏の研修機関「フォーラム21(梅下村塾)」についてである。

いまや「日本会議」は、狂ったナショナリズムの宗教カルトに政権が牛耳られていると報じられ、海外でも知られるようになった。だが実は、海外シンクタンクの日本に関する報告書において、「日本会議」よりもはるかに重要な集団として紹介されているのがこの「フォーラム21(梅下村塾)」なのだ。(未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ・高島康司)

※本記事は、未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 2016年7月15日号の一部抜粋です。興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

海外シンクタンクも注目する重要集団「フォーラム21(梅下村塾)」とは

広く知られるようになった「日本会議」

いまやっと多くの本や記事が世に出るようになり、安倍政権の背後にいる「日本会議」の実態が明らかになりつつある。

このメルマガの過去の記事でも散々書いたが、「日本会議」とは、1997年に「日本を守る会」と「日本を守る国民会議」という2つの団体が合体して結成された右派の民間団体である。

組織の運営を実質的に担っている事務総長は、宗教団体「生長の家」の創設者で、敗戦を拒絶し「天皇制国家」の再興を主張した「谷口雅春」を信奉する「日本協議会」の椛島有三である。

【関連】安倍政権の背後にある「日本会議」の知られざる実態と自民党

元最高裁判所長官やワコール代表のような各界の著名人が会員として名を連ねるだけではなく、293名の国会議員、1000名の地方議員が会員である。ちなみに安倍政権の16名の閣僚のうち、15名がメンバーだ。政治に巨大な影響力を持つとされている。

また「日本会議」の運営を実質的に支えているのは、「霊友会」「国柱会」「神社本庁」「解脱会」「念法真教」など、「天皇制国家」の再興を理想とする宗教団体である。

もう1つの統治機構「日米合同委員会」

他方、現在の日本には隠れた統治機構が存在し、この組織の決定が憲法や国法よりも優先していることが立証されている。その組織とは「日米合同委員会」である。これは在日米軍の最高幹部と日本の主要な省庁の幹部が2カ月に一度結集する会合だ。

ここでは米軍からさまざまな要望が省庁の担当者に直接伝えられるが、これには現在の日本の国法では許容できないものも多くある。それを実現するために、国法を事後的に改正する処置もここで協議されていると見られている。

第二次安倍政権は完全な官僚主導

一方「アベノミクス」を始めとした現在の安倍政権の基本政策は、完全に官僚が主導して立案されたものである。

2007年の第一次安倍政権は、官僚主導をぶち壊し、政治主導を実現することを目標に、国政の決定権を官僚から官邸に移動させた。おそらくこの当時は、「日米合同委員会」に結集している官僚も排除されたであろう。

この結果、隠れた統治機構の主体である官僚は反逆し、1年と少しで第1次安倍政権は崩壊した。

こうした経緯も背景になって今回の安倍政権は、すべての基本政策を官僚に依存する完全な官僚主導の政権になった。もちろん、日本の隠れた統治機構である「日米合同委員会」に結集する官僚は、安倍政権を背後から支えるもっとも重要な基盤であろう。この意味では安倍政権は、彼らの意思に反した政策を実行することは許されていない。

これが現在の安倍政権の背後に存在するパワーグループだ。だがこのような状況を見ると、ある疑問が沸かないだろうか?

Next: 「縦割り行政」を超え、各省庁の官僚をまとめるのは誰なのか?



「縦割り行政」を超え、各省庁の官僚をまとめるのは誰なのか?

「日本会議」は憲法改正と「天皇制国家」の再興を目標にする宗教色の強い右派のイデオロギー集団だ。以下の活動目標を見ると、政治経済政策の具体的な提言は皆無である。

  1. 美しい伝統の国柄
  2. 新しい時代にふさわしい新憲法の制定
  3. 国の名誉と国民の命を守る政治
  4. 日本の感性をはぐくむ教育の創造
  5. 国の安全を高め世界へ平和貢献
  6. 共生共栄の心で結ぶ世界との友好

そのため、安倍政権の実質的な政策を担っているのは「日本会議」ではなく、「日米合同委員会」に結集しているような官僚の集団であることは間違いない。

一方、官僚組織を見ると、決して一枚岩ではないことが分かる。日本の省庁は完全に縦割り型の組織であり、各省庁は自分のところの「省益」の拡大を最大の目標としている。許認可権、予算配分、天下り先の拡大などだ。

そのため一般的には、こうした各省庁の官僚が省庁の違いを越えた横のネットワークで横断的につながることはないと見られている。

ところが影の統治機関と呼ばれている「日米合同委員会」には、あらゆる省庁の局長クラスの官僚が横断的に参加している。

さらに、「日米合同委員会」が単に在日米軍との協議機関ではなく、日本の国法を左右する重要な決定がここで行われていることは、『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』という2014年発刊の本でやっと明らかになった事実である。

鳩山元首相もこの組織の存在を知らなかったと告白しているように、「日米合同委員会」の存在と機能を知るものは自民党の中枢の一部の政治家と、各省庁の限られた幹部だけであろう。これを知る官僚の数は限定されている。

このように考えて見ると、各省庁の主要な官僚を横断的に結集し、価値観と世界観を共有する集合体へとまとめる機軸となる機関が存在するのではないか。これが筆者の疑問であった。

実はそのような機能を果たしている可能性のある組織が存在する。それが「フォーラム21」というほとんど知られていない研修機関なのだ。

外資系シンクタンクのレポートを読むと、彼らがなんと「日本会議」よりもこの「フォーラム21」の影響力に注目し、安倍政権の去就を分析しているのが分かる。

Next: 海外も注目、梅下村塾こと「フォーラム21」の構成メンバー一覧



梅下村塾こと「フォーラム21」の構成メンバー一覧

フォーラム21」とは、ユーエスコーポレーション社長の梅津昇一が1987年に、「21世紀の日本・世界を担う新しい指導者を育成」することを目標に設立した研修機関だ。1999年からは幕末の吉田松陰の「松下村塾」にちなんで「梅下村塾」と呼ばれている。

これだけ見ると、よくある経営塾のような感じにも見えるが、実はそうではない。以下は参加省庁と企業のリストである。なお、参加企業は、それぞれの産業分野を代表する主要な一社に限定されている。同一の産業分野から複数の企業が参加することはない。

参加企業

参加省庁

OB会参加企業

Next: 日本の中枢に食い込む「フォーラム21」の狙いとは?



日本の中枢に食い込む「フォーラム21(梅下村塾)」の狙い

さて、これを見るとどう思うだろうか?日本の主要な産業分野を代表するリーディングカンパニーと、主要な省庁の集まりである。

ちなみに、この研修機関の参加者は若手ではない。40代から50代の生え抜きのエリート官僚と、企業の幹部候補生だ。

参加団体を見ると、これは経営塾どころか、日本の中枢に食い込む集団であることが分かる。彼らはいったいなにをしているのだろうか?これは次回に書く。


※本記事は、未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 2016年7月15日号の一部抜粋です。メルマガでは今回ご紹介した内容以外にも、EU離脱が決定したイギリスの抱える危険な領土問題について詳しく解説しています。興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ(2016年7月15日号)より一部抜粋・再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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