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今週のドル円見通し~想定レンジは1ドル103.50~108.00円=ゆきママ

ドル円が一段と上昇するのであれば、106.00円ラインがポイントでしょうか。このラインをしっかり維持し続けるのであれば、106円台からの勝負も検討できるでしょう。(『お値段以上!?ゆきママの「週刊為替予測レポート」(有料板)』)

※本記事は有料メルマガ『お値段以上!?ゆきママの「週刊為替予測レポート」(有料板)』2016年7月17日号の抜粋です。毎週いち早くゆきママさんの解説をご覧いただくには、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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1.先週のドル円相場総まとめ(1ドル=100.51~106.31円)

先週(7月11~15日)のドル円相場は、1ドル=100.51~106.31円(予想1ドル=99.00~103.00円)でした。予想をはるかに上回る円売りの動きとなりました。

理由は臨時の増刊号やブログでも散々述べてきた通り、ヘリコプターマネーや永久国債というワードが一人歩きする形で、日銀の追加緩和期待が急激に高まったからです。

もちろん、本邦当局が否定していることからも実現の可能性はほとんどないと思われますが、とりあえずは思惑が先行して円が売られるという流れでした。

金曜日のNY市場終了間際にトルコでクーデターが発生したことから、終盤はリスクオフで円が買われたものの、失敗に終わったため週明けの相場への影響は限定的でしょう。

(11日)
東京市場は、1ドル=100.50~101.90円台で1円幅を超える暴騰。参院選で与党大勝隣、安倍首相が新規国債発行による10兆円規模の景気対策を表明。そこにバーナンキ前FRB議長の訪問したことでヘリコプターマネー(財政ファイナンス)的な思惑が報じられ、大幅な円売りとなった。景気刺激策を好感した日経平均の大幅高も影響した。

海外市場は、1ドル=101.80~102.80台と上昇力は弱回ったものの上値を追う動きは相変わらず強かった。欧州市場では、イギリスの次期首相がメイ内務相に確定したことを好感し、リスクオンの円売りが継続。前週末の雇用統計の好結果も後押しした模様。

NY市場では、株高の流れでSP500は過去最高値をつけ、米長期金利(10年国債利回り)も上昇する中で円売りとドル買いの動きが続いていた。

(12日)
東京市場は、1ドル=102.40~103.40円台で1円幅の上昇となった。前日に続いて日経平均が大幅高で、ドル円も上値を伸ばした。バーナンキ前FRB議長訪問によるヘリマネ期待の他、ポケモンGOの大ヒットから任天堂株が大暴騰でポケモノミクスという単語もできあがった。

【関連】『ポケモンGO』ヒットで株価爆上げ、任天堂の復活劇に潜むリスク=栫井駿介

海外市場は、1ドル=102.80~104.90円台で急騰しています。欧州市場では、菅官房長官が日銀への追加緩和圧力とも取れる発言をしたことや安倍首相がデフレ脱却への意欲を表明したことで、思惑的な円売りが強まり、米長期金利(10年債利回り)の上昇とともに一段高となった。

NY市場では、各国企業の決算が好調で世界的な株高の流れに乗ってNYダウが史上最高値を更新し、ドル円も上昇が続いて105円に迫った。

(13日)
東京市場は、1ドル=103.90~104.80円台で値を下げる場面もあった。序盤こそ実需筋からのドル売りで下押され急落したが、緩和期待による円売りは根強く、その後はジワジワと反発した。菅官房長官はヘリコプターマネーを否定していたが、思惑的な円売りは続いた。

海外市場は、1ドル=103.90~104.80円台のレンジ内で大きく上下しました。欧州市場では、欧州株の上昇からリスクオンムードとなり、小高く推移して高値をつけた。

NY市場では、これまでの上昇の調整の影響や原油安、株安の流れで反落して安値をつけたが、NYダウが反転したことでドル円も値を戻して取引を終えた。

(14日)
東京市場は、1ドル=103.90~105.70円台と2円近い上昇を記録した。本田前内閣官房参与が永久国債に言及したことで期待感先行で急騰。永久国債は一種のデフォルト(債務不履行)宣言に近い政策でもあるため、敏感な海外勢が反応した模様。

海外市場は、1ドル=105.20~105.90円台で一旦は上昇一服。欧州市場では、流れを引き継ぐ形で上値を伸ばしたが、本邦政府筋からヘリマネや永久国債は検討していないといった否定的なアナウンスが続いたことで106円へは行けず。また、英中銀がこの日の金融政策委員会で予想外に金利を据え置いたことがポンド買い(円売り)となったことも一定の下支えに。

NY市場では、アメリカの経済指標が好調だったことでNYダウが史上最高値を更新したものの、ドル円は伸び切れずレンジ内での上下が続いた。

(15日)
東京市場は、1ドル=105.00~106.30円台と6月24日のイギリスEU離脱の国民投票以来の水準へ上昇した。日経平均は小幅な上昇にとどまったが、政策期待から円売りは止まらず仕掛け的な動きもあって上昇を続けた。

海外市場は、1ドル=104.60~106.10円台でトルコのクーデターにより急落した。欧州市場では、週末ということもあり利益確定の動きもあって売り買いが交錯していた。ただし、底堅い動きは継続しており、105円台半ばを維持。

NY市場では、ジワジワと円を買い戻す動きが続き、終了間際にトルコでクーデターが発生との一報で大きな下落を記録して取引を終えた。

Next: 2.今週のドル円相場の展望(1ドル=103.50~108.00円)



2.今週のドル円相場の展望(1ドル=103.50~108.00円)

先週はアベノミクスの大胆な政策期待から円売りが加速しましたが、これ以外にもポケモノミクスと呼ばれるほどの株高が続いており、少し出来過ぎ感のある1週間でした。

市場が冷静さを取り戻せば上昇も一服といった感があり、週末の値動きを考えれば市場参加者の多くもそう考えていることでしょう。

しかしながら、一方で流れに乗り遅れている参加者も多く、上方向への動きがあれば流れに乗っかりたい、反落しても拾おうという意欲は強めであることから、よほどのことがなければ底堅い動きは継続しそうです。

ちなみに、トルコのクーデターは気になる材料でしたが、失敗に終わったことで一旦はリスクオフの動きは収まるでしょう。具体的な影響は今後数か月以降に出てくることになります。

(ファンダメンタルズ)
今週はアメリカ発の決算は少なめで、19日の6月住宅着工件数・建設許可件数や21日の6月中古住宅販売件数といった住宅関連指標しか見るべき指標がない状況です。

ただし、今週から8月の第1週にかけて海外の決算発表は本格化します。先週は先週は任天堂株が2倍になるなどして日本が世界の株価を牽引してきた部分がありますが、今週はアメリカを中心に戻る可能性が高く、本質的な強さが問われる可能性がありますので、注意が必要でしょう。

また、21日にはECB理事会が予定されています。イギリスのEU離脱に伴って新たな緩和策が期待されています。流石に今回の理事会で追加緩和が決定されることはなさそうですが、次回9月にはといった向きがありますので、全く示唆がなければ株式市場を中心にネガティブな反応も予想されます。

(テクニカル)
テクニカル的には、今年に入っての急速な下落に対する調整的な動きに過ぎないため、これをもって反転とするのは難しいでしょう。何より、思惑的な動きが強すぎますからね。

107.89円(ボリンジャーバンド3σ上限)
106.77円(6月24日高値)
106.34円(ボリンジャーバンド2σ上限)
104.00円(1時間足のサポートかつ節目)
103.23円(21日移動平均線)
103.14円(日足の一目均衡表・転換線)
103.02円(日足の一目均衡表・基準線)
100.13円(ボリンジャーバンド2σ下限)
100.00円(心理的節目)

102円を中心としたボックス圏(100~104円)をあっさり抜け出しており、今後は強力な引力に影響されることなく、この大気圏外で落ち着き続けることができるかどうかが1つの焦点となるでしょう。

そして、104.00円ちょうどのラインに1時間足のサポートが存在していますから、下値の最初の攻防はここになりそうです。先週は104円台での値固めをしていたこともあり、ここをあっさり割り込むようだと黄色信号でしょう。

この下には103円台前半に21日移動平均線なども控えていますから、これらを下回ってしまうとかなり厳しい展開が予想されますので要警戒です。

上値に関しては、イギリスのEU離脱時につけた106円後半が目先のターゲットとなりそうです。その上にはボリンジャーバンド3σの上限が控えていますが、ここまでくれば達成感もありそうで、レンジ予想としてここが上限と見ています。

Next: 3.今週のホットイベント解説(欧州中央銀行・定例理事会)



3.今週のホットイベント解説(欧州中央銀行・定例理事会)

21日にECB理事会が予定されており、現在の状況や今後の見通し、追加緩和の必要性が問われることになるでしょう。

ここ最近のECBは2%のインフレ目標が達成の軌道に入りつつあるとし、暗に追加緩和の必要性を否定していましたが、Brexitによって状況は一変しています。この不透明感がEUの景況感を悪化させることはほぼ間違いありませんからね。

Brexit後の動向としては、理事会メンバーの何人かは追加緩和の必要性に言及していますが、相変わらずECB理事でもあるバイトマン独連銀総裁が「緩和策の実施は必要ない」としており、強硬な反対姿勢を明らかにしています。

したがって、各メンバーの見解を含めて、ECB全体として見通しに変化があったかどうかを中心に見ていきたいところです。

少し振り返ると、ECBによる3月の大規模緩和決定以降、世界的に緩和策の打ち止め観測というのが台頭しています。エコノミストからも、これ以上の中央銀行がこれ以上の緩和的なスタンスを維持したとしても、景気を刺激する効果はないといった声が漏れ聞こえています。

しかしながら、相変わらず市場は緩和策を求め、緩和的な政策が続くと考えているからこそ、株や債券も買い進められています。ブログやメルマガでBrexitになったとしても、株価にとっては悪くない環境と書いたのもこのことによります。

なぜなら、現在の市場というのはネガティブな材料があればこそ、緩和を前提条件として織り込み、下がれば買いに動くという状態になっているからですね。

ドラギ総裁も含め、ECBとしては、影響が出てくるとされる年後半まで様子を見たいというのが本音でしょうが、市場がそれを許さない可能性があり、もし緩和策に関してリップサービスも無いようであれば、ユーロ買いのみならず、株価も崩れて市場全体がネガティブなムードに包まれることも考えられますので、このイベントは警戒して見ておくようにしましょう。

Next: 4.トレードアイディア~106円台を維持できるか?



4.トレードアイディア~106円台を維持できるか?

月曜日は様子見のモミ合いとなる可能性が高く、トレードの見極めは難しい部類に入りますので、今週は無理をしないということも考えておく必要がありそうです。

現状はトルコのクーデターによって、一旦は下値抵抗線を下に抜けています。ここが1つのターニングポイントで、ここから下に行くか上に行くかは決め打ちのしにくい状況となっています。

なので、序盤は様子を見ながら、このまま下なのか、それとも底堅く推移して反発するのか、あるいは序盤から上を目指すのかの3パターンを見極めたいところでしょう。

米ドル/円 日足(SBI証券提供)

そして、ポイントは104.00円ラインになります。このラインを底堅く維持するようであれば、104円台からロング(買い)エントリーで50銭~1円幅での利幅を狙い。ここを割り込んで復帰できないようであれば、103円台後半からショート(売り)で同じく50~1円幅の利益を狙いたいです。

また、一段と上昇するのであれば、106.00円ラインがポイントでしょうか。このラインをしっかり維持し続けているのであれば、106円台から勝負ということも検討することができるでしょう。

今回は値動きの大きさも考えて、損切り幅は50銭程度を想定しています。


※本記事は有料メルマガ『お値段以上!?ゆきママの「週刊為替予測レポート」(有料板)』2016年7月17日号の抜粋です。毎週いち早くゆきママさんの解説をご覧いただくには、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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お値段以上!?ゆきママの「週刊為替予測レポート」』(2016年7月17日号)より抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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