日経平均が下落すると「下値のメドはどこか?」という質問を受けることが多い。今回はPERではなくPBRとBPSに着目し、現在と過去ショック時の水準を比較してみよう。(『億の近道』Bコミ)
プロフィール: Bコミ(ブッコミ)
個人投資家。証券会社で株のディーラーを6年、機関投資家で株と債券のファンドマネージャーを7年それぞれ経験し、短期売買から長期運用まで幅広いスパンの運用を身に付けた。人形町にて、リアルタイムで株式を中心としたトレードを指導するスクールを運営。
もし3.11やリーマン・ショック級の危機が再来したら――
やっぱり気になる下値メド
先週の日経平均株価は前週末比約3.7%下落。週初から欧州の金融機関の債務問題再燃が懸念され、リスク回避の動きが続いた。日本株は週半ばから週末の雇用統計に向けたポジション整理と為替の円高方向の推移を受け、週末は15,100円台まで売り込まれた。
このように日経平均が安値で推移している時期は、「下値のメドはどこか?」という質問を受けることが多い。
PBRに着目する
私が下値のメドを考える際は、マクロ経済の動きやイベント、テクニカル指標、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)など多角的に分析して決めているが、今回はあまり用いられることのないPBRに特に着目したい。
PBRよりPERでの判断がメジャーだが、PERは業績変動の影響を受ける。円高の影響から下期に向けて減益が想定されているため、PERは使いにくい。そこで今回は変動しにくい値としてBPS(1株あたり純資産)を使用する。
日経平均のPBRは、日経平均から日経平均の1株純資産(BPS)を割ったものであり、足元は約1.05倍。アベノミクスの好景気により、企業が内部留保を積み上げたため、BPSはリーマン・ショック時と比較して約1.7倍になっている。
日経平均12200円前後
過去のPBRの下限は、リーマン・ショック時、東日本大震災時に記録した0.8倍前後。足元のBPSは14500円前後。14500円にPBRの0.8をかけると11600円となる。
ただ、このBPSは前期の実績ベースのため、今期末に積み上がるBPSを仮に700円と想定すると12200円前後となる。

日経平均株価 月足(SBI証券提供)
BPSから見ると、この12200円前後の水準が、リーマン・ショック時や東日本大震災時とほぼ同じということになる。下値を考える際の1つのメドとしていただきたい。
『億の近道』(2016年7月8日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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