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人生最大の失敗!? 「結婚に後悔している」あなたのための行動経済学=ゆうきゆう

「結婚をしたけど、後悔しています。どうすればいいでしょうか」そんな読者さんからの質問に、『★セクシー心理学GOLD 〜最先端の心理学技術★』のゆうきゆう先生がズバリ回答します。

※本記事は有料メルマガ『★セクシー心理学GOLD ~最先端の心理学技術★』2005年9月7日号を一部抜粋・再構成したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

結婚、夫婦、そして人生についての究極の疑問の答え…かも?

メルマガ読者からの質問

「結婚をしたけど、後悔しています。どうすればいいでしょうか」(Lさん)

ゆうきゆう先生の回答

ご相談、ありがとうございました。では、こんな話をお届けします。

【関連】貯金が捗る8マス!「お金持ち思考」が身につく魔法のチェック表=山田健彦

経済学者カーネマンによって提唱された、プロスペクト理論というものがあります。まずは、この表を見てください。これは、人間が何かによって得られる喜びの強さを表したものです。

0を中心として考えてください。

横軸は、ゲットしたモノの「客観的な価値」。ここではお金で考えます。たとえば右に行くほど、たくさんのお金をもらったと考えてください。

そして上方向が、感じられる喜びの強さ。まさに本人にとっての「主観的な価値」です。

そしてグラフ上の各点をつないだものが、そのお金と対応する喜びの曲線だと思ってください。

このグラフでもっとも大切なのはただ1つ、「価値が高くなるにつれ、喜びのカーブが鈍くなっている」こと。

たとえば、点Aを見てください。これは10,000円をもらったときの喜びです。次に点Bを見てください。これは20,000円をもらったときの喜びです。これらの「喜びの強さ」は、あまり変わりませんよね。

喜びは2倍にならない

ほら、想像してみてください。誰かに「10,000円あげるよ」と言われたら、「えっ!ホントに!?」と、かなり嬉しく感じるはず。

では、「20,000円あげるよ」と言われたらどうでしょう。「10,000円あげる」と言われた場合の、ちょうど2倍、嬉しいでしょうか?

その答えは、おそらくNOのはず。それこそ点Aと点Bの差のように、「少しだけ嬉しさアップ」くらいではないでしょうか。

ですので、たとえば有名な質問に、こんなものがあります。

どちらかを選べ、と言われたら、あなたはどちらを選びますか?

数学に詳しい方なら、「期待値は同じだから、どっちでも同じ」と言うかもしれません。でもこれ、ほとんどの人が前者を選びます

10,000円と20,000円の喜びは、2倍ほどではなく、たいして変わらない。それにもかかわらず、後者はもらえない可能性がある。そのためつい前者を選んでしまうわけです。

さらに金額が上がると…?

さて、このように「人の喜びの変化は、金額が上がるにつれて鈍くなる」という傾向。これは、金額が大きくなるにつれて、さらにハッキリしてきます。

たとえば「1億円あげるよ」と言われたら、「ほほほほ、ホントにぃっ!?」というくらい、嬉しく、ビックリするはずです。

ではこの直後に、「あ、間違えた。実はもっと多いんだよ。1億10,000円だよ!」と言われたらどうでしょう。

「…あ、そうなんだ。ありがとう…!」

というように、たいして驚きや喜びに差はないはずです。

さらにさらに!

100億円をもらった喜び」と「101億円をもらった喜び」を想像してみてください。1億円の差があるのにもかかわらず、喜びの差はほとんどありませんよね。

このように「額が大きくなるにつれ、喜びのカーブは鈍くなる」のです。ここまで、よろしいでしょうか?

さて、このグラフ、これだけではありません。実は「お金を失ったときの悲しさ」までカバーしているのです。

Next: 「得ることの喜び」と「失うことの悲しさ」があなたの人生を支配している



「失ったときの悲しさ」も基本は同じ。ただし…

あわせて表にすると、こうなります。

いかがでしょうか。赤色が喜び、青色が悲しさの点です。悲しみに関しても、基本は同じ。やはり「カーブが鈍くなる」のです。

たとえば、点C「10,000円失う悲しさ」と、点D「20,000円失う悲しさ」。後者は前者より悲しいですが、2倍というほどではないはずです。同じように、「101億円失う悲しさ」と「100億円失う悲しさ」は、「たいして変わらない」ですよね。

マイナスに関しても、プラスと同じように、感じ方はどんどん鈍くなるわけです。

悲しみの方が、喜びよりも、ずっと大きい!

しかし、ここからが重要。

このグラフによると、「同じ金額の場合、悲しみの方が、喜びよりも、ずっと大きい」ことが分かりませんか?たとえば、

点Aは、10,000円を得たときの喜び。点Cは、10,000円を失ったときの悲しさ。比較すると、点Cの方が、ずっと強いことが分かるはずです。

なぜ悲しみの方が大きくなる?

たとえば想像してみてください。

あなたが、誰かに突然、10,000円をもらいました。しかしその10,000円を、落としてしまいました。このときに、「あ、じゃあプラマイ0だ」と思えるでしょうか?おそらくその答えはNOのはず。

せっかくもらったのに、落とすなんて~!

というように、マイナスの方がずっと強くなるはずです。これは順番が逆でも同じこと。

「10,000円を落とした直後に、偶然に他の人から10,000円をプレゼントされた」

この場合も、「あぁ…これで差し引き0円になったのはいいんだけど、あのとき落とさなければ、素直にプラス10,000円だったのに…

というように、やはりマイナスの方がずっと記憶に残るのではないでしょうか。すなわちここまでをまとめるなら、

ということ。このことを覚えておいてください。

Next: 心理実験やビジネスでも証明、「失う悲しさ」のすごい威力とは?



失う悲しさが強いから

たとえばこんな実験があります。

実験者は、被験者に対して、「今からあなたに、マグカップか、ペンを差し上げます」と言いました。この際に、「どちらも値段は同じ」であることを説明した上で、どちらかをランダムに渡したのです。

そしてそのあとで、全員を集めて、「もし、もう一方のものが欲しければ、みなさんで互いに交換してください」と言いました。

普通に考えたら、ランダムに渡しているため、半分くらいの人が交換してもいいはずですよね。しかし、実際に交換した人は、ほとんどいなかったのです。

これは、今の考えで説明できます。たとえばペンをもらった人が、マグカップに交換する場合。このときその人は、「ペンを失う悲しみ」と「マグカップを得られる喜び」を同時に感じます。

このペンとマグカップは、値段としての価値が同じ。ですので「失う悲しみ」の方がずっと大きく、そのため交換するのがためらわれるわけです。

ビジネスでは、こんな応用が

また、こんな調査もあります。車を買いたいという相手に対して、

この場合、どちらの方が、多くのオプションを一緒に買ったと思いますか?今までの考えがあれば、分かるはずです。

たとえば、カーナビというオプションが50,000円だったとしましょう。このとき、「カーナビで得られる喜び」と「50,000円を失う悲しさ」は、カーナビと50,000円が同じ価値の場合、後者の方がずっと大きくなります。そのため、ついカーナビを買おうと思う人は少なくなります。

逆に、すでにカーナビがセットに含まれていたらどうでしょうか。この場合、それを削ると言うことは、「カーナビを失う悲しさ」と「50,000円を得られる喜び」を天秤にかけるようなもの。

このときも「悲しさ」の方が強くなるので、今度は、なかなか「削る」という行動はしなくなるもの。

そうです。正解は、B。

最初からすべてをセットで提示した方が、人はたくさんのオプションを買ってしまうものなのです。

これはブティックなどでも同じ。

ベテランの店員さんは、相手がシャツなどに興味を示していたら、とにかく「それには、このパンツとコートとクツなどが合いますよ」というように、セットで売り込んできます。

すると客は自然、そのオプションのうちいくつかをセットで買ってしまうもの。

これが「とりあえずシャツを買わせた後に、他のものを勧める」場合だと、せいぜい買ってくれるにしても、1品くらいでしょう。

いずれにしても、「最初からセットにする」ことは、とても重要なビジネスのテクニックなのです。

Next: なぜ人は結婚に後悔するのか?プロスペクト理論で考えると――



人は、必ず…

そして。ここからが、今回もっとも伝えたいことです。繰り返しになりますが、

「同じ価値のものの場合、失う悲しさの方が、得られる喜びより、ずっと大きい」。

何か、気がつくことはありませんでしょうか。

そうです。

進学か、就職か。

今すぐ結婚するべきか、しないべきか。

Aさんか、Bさんか。

C社か、D社か。

そんな二択を目の前にすることは、誰にだってあるはず。そして人は、迷いながらも、そんなときにどちらかを選ぶものです。

ここで人は、「ほとんど同価値」だと判断しているからこそ、迷っているもの。すなわち、たとえばAさん=Bさんとして、Aさんを選んだのなら、「Aさんを得た喜び」より、「Bさんを失った悲しさ」の方が、ずっと大きくなるのです。

これは他の選択肢でも、基本的には同じことです。もう、結論は言うまでもありませんね。人間は、必ず後悔するようにできているのです。

さらに話はそれだけではありません。普通、選択は、二択だけではないのです。

Aさんか、Bさんか、またはCさんにするか。もしくは今は誰も選ばないか。進学か、就職か、もしくはもうちょっと考えてみるか。

そういう、3位や4位や5位…の選択肢を失った悲しさも、同じように心の中にのしかかってきます。

すなわち、あなたが選んだ、1位(と考えたもの)の喜びが、それらすべての総和よりも、ずっと大きくなければ、確実に後悔することになるわけです。

Next: 人間は、人生の決断をしたとき、必ず後悔するようにできている



みんな、同じ

覚えておいてください。

人間は、何かの決断をしたときに、必ず後悔するようにできている

これは、誰がどんな決断をしたとしても、同じことです。

ですので、あなたが後悔したとしても、それは「みんな同じ」。別の何かを選んだとしても、そして他の誰であっても、同じように後悔するもの。

そう考えると、気持ちが楽になりませんでしょうか。

大切なのは、掘り起こすこと

そして、僕からはこんなアドバイスをしましょう。

とにかくプラスに、過剰に期待するのはやめることです。どんなプラスであっても、他のすべてのマイナス以上のプラスになることはできません。

そして、もう1つ。「待つ」だけの人間にはならないことです。何もしないで得られる喜びには、限りがあります。

Aさんがくれる喜びと、Bさんがくれる喜び。結婚することによって、ただ得られる喜び。そこには、確実に限界があります。

とにかくあなたの選んだものが何であっても、あなたの行動によって、さらなる喜びを「掘り起こしていく」こと。こうすれば、確実にあなたの感動は増えていくはず。

あっちにしておけば良かった…
『やめる』という選択をすれば良かった…

なんて考えているだけでは、その掘り起こす喜びは、永遠に得られません。

とにかく「掘り起こす」ために行動してみること。小さく相手の行動を誉めるだけでも、プラスの気持ちをメールするだけでも良いでしょう。

後悔したり、キャンセルしたりするのは、それからでも遅くないんですよ。

Next: それでもあなたは、サイコロをもう一度振りますか?



結論

質問:「結婚をしたけど、後悔しています。どうすればいいでしょうか」

回答:人は、どんな選択肢を選んでも、必ず後悔するようにできている。だから、安心すること。そしてその上で、今の選択肢の中で、最大限の喜びを掘り起こしていくこと。

さいごに

もう一度、言います。

人は、必ず後悔するんです。

あなたの感じている気持ちは、何度やりなおしても、きっと感じるものです。

ほら、今この瞬間を、もう一度思い出してみてください。

あなたは気がついていないだけ。

サイコロをもう一度振るより、ずっと大切なものが、あなたの目の前にあるんですよ。


※本記事は有料メルマガ『★セクシー心理学GOLD ~最先端の心理学技術★』2005年9月7日号を一部抜粋・再構成したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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