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知っているようで知らない「トレンドライン」の正しい活用法=清水洋介

相場の動きを探り、買い時・売り時・休み時を判断するのに役立つチャート分析講座。今回は株価の方向を見るうえで非常に重要な「トレンドライン」について、証券アナリストの清水洋介さんが解説します。(『投資の視点』清水洋介)

筆者プロフィール:清水洋介(しみずようすけ)
大和証券、外資証券会社、外資系オンライン証券会社などを経て、証券アナリスト「チャートの先生」としてテレビ・雑誌等で活躍し、現役ディーラーとして日々相場と対峙している。日々是相場や講演などを行っている。2014年5月株式スクール開校。

相場の見え方が変わってくる!基本的なトレンドラインの引き方講座

株価の大きな流れを掴む「トレンドライン」

株価の動きを表わすものとして「ローソク足」等を見てきましたが、「ローソク足」で見ると株価の動きが細かすぎて、大きな動きとして上・下どちらの方に向かっているのかがわかりにくいことがあります。

【関連】天底を見極める!「ローソク足」の必修チャートパターン9つ=清水洋介

株価の大きな流れがどの方向に向かっているのかを表わすものとして、「トレンドライン」というものを使用します。日々の株価は多少の上下はありますが、全体的には上昇しているような場合を「上昇トレンドにある」というような言い方をします。この時に引かれる線を「トレンドライン(=傾向線)」と言います。

トレンドラインの中には上値抵抗線や下値支持線となるもの、値動きの幅を決定するようなチャネルライン、トレンド曲線等、いろいろな種類があります。

基本的なトレンドラインの引き方の解説は、株価の高値とそのあと安値をつけたあとの高値を結ぶ(上値抵抗線=図1)、逆に安値と安値を結ぶ線(下値支持線=図2)から始めます。

上値抵抗線と下値支持線

上値抵抗線は株価の高値と高値を結んだ線です。株価が細かく上下しているところで、二つ以上の高値が直線に近い形で並びその直線のところを上に抜けにくくなっています。これを「上値抵抗線」といってこの線によって「トレンド」が見つけられます。(図1参照)

これとは逆に下値支持線は株価の安値と安値を結んだ線で株価がこの線より下に下がりにくいということで「下値支持線」といわれ、安値、安値で「トレンド」を見つけることが出来ます。(図2参照)

「上に抜けにくい上値抵抗線」、「下に抜けにくい下値支持線」を抜けてしまったらどうなるのでしょうか?答えは、「上値抵抗線」は「下値支持線」に「下値支持線」は「上値抵抗線」に180度変わってしまいますが「トレンド」自体が変わってしまう場合と、「トレンド」は変わらず抵抗線自体が変わるケースがあります。(図3、4参照)

「上値抵抗線」と「下値支持線」は両方同時に出ることが良くあります。このときにもまた、「トレンド」を見出すことができますが一つの「線」ではなく、ある程度の幅を持った株価の「トレンド」と見ることが出来ます。この時の形状によって「チャネル」とか「トライアングル(三角保ち合い)」、「ペナント」「フラッグ」「ダイアモンド」等と呼ばれます。ここでは、代表的な「チャネル」と「トライアングル」に触れておきます。(図5、6、7参照)

3つとも下値支持線と上値抵抗線の中の動きです。このレンジの中での動きなので売り買いのタイミングが取り易い反面、いったんレンジを外れると大きく動く事が多いです。また、チャネルラインから逸脱して、元のチャネルラインに戻るケースや同じ幅でチャネルラインのレンジを変えるケースなどもあり、「チャネルライン」をしっかり把握しておくと相場の変化がわかり易くなります。

Next: 少し特殊な「トレンド曲線」を使いこなす/自分でいくつか引いてみよう!



上昇・下落スピードが加速したときに描く「トレンド曲線」

「トレンドライン」は通常は直線を引くことで株価の方向性を指し示すものですが、少し特殊なものに「トレンド曲線」があります。これは、時間が経つに連れ上昇や下落のスピードが増していくようなときに使います。途中でスピードが上がるためにトレンドラインが曲線となることからこの名前がつけられました。具体的には図8のようになります。図8のトレンドラインの場合、最終的にはかなり垂直に立った形となり、その場合、相場はかなり過熱しているものと思われます。

トレンドラインは株価の方向を見る上で非常に大切なものです。ここにあげた他にもこのトレンドラインからパターン分析等なされているケースも多くあります。以前、このチャートの世界で取り上げました「酒田五法」の「三尊天井」もこういったトレンドからも分析することが可能です。

逆にトレンドの引き方一つで相場の見方も変わってしまいますので、基本的なトレンドラインの引き方はしっかりと身につけておいて下さい。最後に、具体的なチャートを載せておきます。例を参考にいくつかご自分で引いてみてください。(図9)

【関連】わかりやすい!「移動平均線」が下値支持線や上値抵抗線になるしくみ

投資の視点』(2016年4月14日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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