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グリーンスパン元FRB議長とロスチャイルド「極めて悲観的な見通し」で一致

グリーンスパン元FRB議長が「米国の金利は今後急速に上昇する」と見ているとの報道がありました。彼の結論は2つ、「現在の低金利は長くは続かない」そして「ユーロ圏は分裂する」です。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)
Greenspan Sees U.S. Interest Rates Rising Soon, Perhaps Rapidly – Bloomberg

※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2016年8月25日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

グリーンスパン元FRB議長「米国の金利は今後急速に上昇する」

報道のポイント

グリーンスパン元FRB議長は、ブルームバーグのラジオ・インタビューで、米国証券取引委員会のArthur Levitt元委員長に対し「金利を長く抑え続けることはできないだろう」と語った。

金利は上昇するはずであり、一旦動き出すと、驚く程急速に上昇するだろう」という。

現在、満期10年もの米国債の金利は1.55%で、年初の2.27%から大きく下落しているが、同元議長は、米国経済は景気沈滞下のインフレ、スタグフレーションになるとの懸念を示し、「現在は、スタグフレーションの極めて初期の状態にあることは間違いない」とした。

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また、ユーロ圏が現在の姿で今後も存続できるかどうかについては非常に悲観的で、同元議長は「EUは分裂するだろう。すでに色々な地域でその徴候が見られるではないか」と語った。

彼が、19カ国の通貨をまとめるのは無理があると考えるのは、まず各国の文化が違うこと。次にインフレーションに対する考え方が、欧州の南側と北側の国々とでは異なることが理由だ。

ドイツやオーストリアなど、インフレ嫌いの数カ国で独自の共通通貨を創設することも可能だろうが、そうなると、これらの国々は経済的な利益を得ることができなくなると同議長は語った。

ノーベル賞受賞者のスティグリッツ教授は、別のブルームバーグTVのインタビューで、EUは何らかの改革を進めない限り分裂するだろうとして、「一緒にいることができないのであれば、友好的な協議離婚となり、多分2つか3つの通貨ブロックに分かれるのが好ましいだろう」と語っている――

以上です。

有限の地球表面に、ヘリコプターから無限にマネーを散布すれば、ある日突然物価が上昇し、同時に金利が高騰するだろうという「予言」は、元議長だけでなく、多くの論者が語っています。のみならず、ワイマール時代のドイツ、現在のジンバブエなどで実際に起きた歴史的事実でもあります。

国家が信認を失ったときが、そのスタート地点となります。それとも、日銀総裁が全世界に語りかけたように、「ピーターパンのように飛び続けることができると信じれば、飛び続けられる」のでしょうか?

Next: ロスチャイルド投資ファンドトップも「極めて悲観的な見通し」



ロスチャイルド投資ファンドトップのJacob Rothschild伯爵が、その2016年上半期の業績報告書で、経済の先行きに対して極めて悲観的な見通し(英文)を語っています。

報告のポイント

2016年上半期のトータルリターンは、目下の悪い環境の中でも3.6%あり、純資産は87.9Mポンド増え、純資産は過去最高の2.5Bポンドに達した。

投資ファンドを率いる総帥のJacob Rothschild伯爵は、業績報告書の中で「この半年間を考えてみると、現在、全世界の中央銀行は世界の金融政策史上最大の実験をしている。それゆえ今後どうなるのか予測がつかない。超低金利政策、マイナス金利となった全世界の政府国債、巨額の量的緩和政策の影響により、予期せぬ結果が出てくるかもしれない」と述べている。

そのため最重要課題は資産の保護であり、ロスチャイルド氏は「株式への資産配分を55%から44%に減らした。またスターリング建ての資産も34%から25%程度に減らし、その代わりゴールドや貴金属の資産を8%に増やした。加えて“Absolute return and credit”(間違いなくリターンのあるものや信用の置ける資産)も増やし、これがこの半年間のリターンとして戻ってきた」とした。

報告のポイントはここまでですが、さらに掘り下げて、2016年上半期の業績報告書の詳細を見ましょう

彼の言う、トータルリターンに貢献した“Absolute return and credit”とは何なのか?同資産ファンドの業績報告書を見てみると…


(ア)業績報告書の冒頭部分で「量的緩和で株価を上げることに成功したが、これは永遠に続けられるものではないだろう。地政学的に超不安定要因になっていることなど、多くの逆風が市場を襲うだろう」と見ていることが読み取れます。それゆえに、安全資産に軸足を移し、ゴールド、貴金属の資産配分を8%増やしたと述べています。

(ウ)業績報告書の資産配分内訳データの一部です。“Absolute return and credit”(間違いなく信用できる安全資産)の欄には不動産が2つ、そしてブラックロック金鉱株ファンド、金先物、銀先物ロングと明記されています。

(イ)ただしこの2つの不動産資産は普通のものではなく、歴史的に重要な貴族の邸宅、居城であったり、歴史的な住宅資産です。その一つのSpencer Houseの写真が(イ)です。

一番安全なものが一番リターンが高いことは、この百年間の歴史で証明されています。


※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2016年8月25日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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いつも感謝している高年の独り言(有料版)』(2016年8月25日号)より一部抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による
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