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「銀」を買う者だけが生き残る?日銀の「神風特攻」に怯える世界経済

価格の不正操作という重い上蓋がはずされた銀(シルバー)は、どれほどのパフォーマンスを演じるか?JPモルガンにはまだ、多くの未決済の売り玉が残っているはずです。(『カレイドスコープのメルマガ』)

※本記事は、『カレイドスコープのメルマガ』 2017年6月1日第208号パート2の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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もはや誰も疑わない、ゴールド・シルバー価格「不正操作」の実態

「シルバーを買ってJPモルガンを潰そう!」運動

金融ジャーナリストのマックス・カイザーが、「銀(シルバー)を買って、JPモルガンを潰そう!(Crash JP Morgan, Buy Silver)」運動をスタートしてから、かれこれ10年が経とうとしています。

当初、ほとんどの投資家は、彼が言っている意味を理解することができませんでした。しかし、それが正しかったことが誰の目にも明らかになろうとしています。

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マックス・カイザー(Max Keiser)とは、ロシア・トゥデイ「RT」(ロシア国営のデジタルTVニュース・チャンネル)に自分のチャンネル「カイザー・レポート」を持っている元株式ブローカー。仮想通貨技術や仮想通貨それ自体の発案者でもあり、市場の予測などを提供しています。

一貫しているのは、ウォール街と国際銀行家を猛烈に批判し続けていること。その独特な語り口と辛辣な批評が、彼の特異な個性をいっそう際立たせると同時に、多くのファンの心を掴んできました。

彼は10年前と変わらず、「国際金融マフィア、国際銀行家によって金融恐慌がまもなく引き起こされるだろう」と言い続けています。

時間の経過とともに、彼に同調する専門家が増え続けている中で、いまや、彼は特異な個性の持ち主などではなく、至極まっとうな常識人であったと、世間の見方が変わってきたようです。

非常識なのは、むしろ、市場が永遠であるかのように信じたいと願うあまり、認知的不協和に取りつかれたままになっている投資の専門家たちであり、経済評論家たちのほうかもしれません。

彼らは、マックス・カイザーがターゲットとしている国際銀行家の資金によって運営されている、いわゆる主流メディアが創り上げた偶像に過ぎず、その正体は、国際銀行家のカルテルから市場を操作するミッションを与えられた単なるアジテーターに過ぎないことがわかってきた、というわけです。

「バンキング・カミカゼ」

カイザーは、「次の金融恐慌の引き金を引くのは、グローバル・エリートたちの奴隷となって徹底した金融緩和を続ける日本だ」と言っています。

彼は、2012年12月22日に配信したロシアのRTの「カイザー・レポート エピソード383」で、そのことを「banking KAMIKAZE(バンキング・カミカゼ)」という象徴的な言葉を使って表現しています。

彼は、ここで、こんなことを言っています。

安倍政権に替わって、積極的な金融政策を進めようとすることが引き金となって、これから激化するであろう世界通貨戦争(global currency war)の口火を切る可能性がある。今回の日銀改革は最悪の結末を迎える。日本の神風バンカーたちが、世界の金融都市に致命的な爆弾を落として行くのだ。

「banking KAMIKAZE」は、安倍政権の発足と同時に、カイザーが使い始めた言葉です。

彼が過去に行ってきた発言の数々の行間を埋めていくと、以下のような意味になります。

JPモルガンに象徴されるようなメガバンクは、談合して金(ゴールド)や銀(シルバー)の価格を不正操作している

特に、JPモルガンによる銀(シルバー)の値の引き下げは、確実に凶悪犯罪である。この不正な値の操作は、もはや不可避となった通貨の崩壊に備えて、国際銀行家たちが、金(ゴールド)や銀(シルバー)を安く買い集めるためである。

日本の中央銀行は、完全にコントロールされており、世界規模の金融崩壊の引き金を引かざるを得ないように追い込まれ、自ら進んで(異次元の)量的金融緩和に乗り出すだろう。

そして今、それが現実となりつつあるのです。

Next: なぜJPモルガンは執拗に銀(シルバー)の値下がりを仕掛けるのか?



メガバンクが談合して金と銀の価格を引き下げてきた

マックス・カイザーは、米連邦準備制度(Fed)の外国のエージェントである、JPモルガン・チェース、HSBC、スコシア(カナダの五大銀行の1つ)などのメガバンクが、金(ゴールド)と銀(シルバー)の価格が上昇してくると、ニューヨーク商品取引所(COMEX)の先物取引において、各行と共謀していっせいに空売りを浴びせて値を下げてきた手口についても説明しています。<中略>

奇妙なことに、金(ゴールド)市場、銀(シルバー)市場における不正操作問題は、世界の商品市場に重大な影響を与えるにも関わらず、「LIBOR(ライボー)事件」として知られる、360兆ドル(当時の為替で約2京8000億円)にも上る米ドルの金利不正操作事件ほど騒がれていません。<中略>

発覚したJPモルガンによる950万トロイオンス分のシルバー空売り

貴金属市場における不正操作が明らかになったのは、2014年にドイツ銀行が、金(ゴールド)と銀(シルバー)の価格操作を行っていたとして訴えを起こされたことがきっかけとなりました。

このとき、ドイツ銀行が捜査当局に提出した資料によって、貴金属市場における価格操作は、バンク・オブ・アメリカ、英スタンダードチャータード、BNPパリバ・フォルティス、英銀バークレイズ傘下の部門によっても行われていたことが明らかとなったのです。

つまり、かねてから言われていたとおり、金(ゴルード)と銀(シルバー)市場においては、値を引き下げるために、「談合」が日常化していたということです。

さらに、その「談合」に加わっていたとされるのが、UBSとBNPパリバ・フォルティス、HSBC、スタンダードチャータード、ノヴァスコシアで、それは現在でも広がりを見せているのです。

すでに、ドイツ銀行に関しては、去年の10月、訴訟を起こした投資家たちに対して3800万ドル(約39億円)の損害賠償金を支払うことで和解に向かっていますが、これは、始まりに過ぎません。

銀(シルバー)の価格操作の主犯格、JPモルガンの場合は、多数の専門家と主流メディアが推算したところ、950万トロイオンス分の銀(シルバー)のショート・ポジションが発覚しています。

これは、レバレッジが効いているので、JPモルガンを筆頭とする銀(シルバー)価格不正操作のカルテルの思惑に反して、銀(シルバー)の値が上がった場合は、投資家が被る損害額は天文学的な数字になるのです。

JPモルガンは、銀(シルバー)の価格を意図的に引き下げて、これを買い漁り、銀(シルバー)の現物として退蔵していました。

この銀(シルバー)の量は、ビジネス・インサイダーによれば、同じく銀(シルバー)の価格不正操作によって起訴されたハント・ブラザーズ(Hunt brothers)と、そのカルテルが1980年代に集めた銀(シルバー)の約2倍に上るとのこと。

過去数年にわたって、一般投資家たちが見ていた金(ゴールド)や銀(シルバー)のチャートは、不正操作された価格を反映したものであって、市場の洗礼を巧妙にすり抜けた後の価格だったのです。

つまり、過少に評価された値であったということです。

この犯罪に加担していなかった他の銀行は、貴金属の値を下げていた銀行の当事者に対して刑事責任を求める裁判を訴えており、その結果、20人以上が刑事罰を受けるに至っているのです。

この問題は、まだ全貌が明らかになったとは言えません。

発覚するごとに、裁判所は妥当な和解金を提示して、この民間訴訟の熱を冷まそうとするでしょうが、それは「終わりのない闘い」になりそうです。

Next: 金(ゴールド)は1400ドルを超えないようにコントロールされている



金(ゴールド)は、1400ドルを超えないようにコントロールされている

メルマガパート1(第208号)で示したように、金(ゴールド)や銀(シルバー)などの貴金属は、中国人やインド人にとっては、経済の混乱時のときの保険と位置付けられています。

中国が、すでに値が上がり始めた金(ゴールド)を世界中から買い漁っているのは、西側のメガバンクによる不正操作によって過小評価されていることを知っているからです。

中国にしてみれば、多少値が上がっても、それは、迫りつつあるドル崩壊によって引き起こされるであろうハイパー・インフレから人民元の購買力の低下を防ぐための微小なコストと捉えているのです。

これに対して、西側の投資家は、金(ゴールド)や銀(シルバー)の資産をポートフォリオに組み込むことを嫌います。

理由は、金(ゴールド)や銀(シルバー)は金利を生まない「正貨」であるからです。

つまり、それは、本当の意味における「通貨」なのです。

ヘッジファンドやJPモルガンのような投資銀行が、「正貨」の取引によって利益を出すためには、その値を人為的にコントロールしてボラティリティ(価格変動率)を高める必要があります。

それが、今回の金(ゴールド)と銀(シルバー)市場における不正操作につながったわけですが、こうした手口に対して投資家たちが疑惑の視線を投げかけているのは、彼らが長期にわたって値を下げてきたことです。

隠された目的

彼らの隠された目的は、貴金属の現物を退蔵することであるはずです。

メルマガパート1(第208号)では、米国が保有している金(ゴールド)を、貿易取引の決済に充てている現実に焦点を当てました。

アジアは、もはや米ドルを信用しておらず、死刑宣告を受けた米ドルの代わりに金(ゴールド)での支払いを要求しているからです。

そして、米国拠点のCMEグループが英国王立造幣局(ロイヤルミント)との協力によって、金(ゴールド)の裏付けを持つゴールド・デジタル・トークンという新しいタイプの通貨の発行に本格的に取り組んでいることも、その背景にあるでしょう。
(※メルマガ第207号「中央銀行の仮想通貨から、うまく逃げおおせろ!」にて詳述)

金(ゴールド)と銀(シルバー)は、デリバティブ取引の主役です。

有力なインサイダー情報によれば、「金価格が1オンス1400ドルに達すると、それ以上、価格が上がらないようにするために、デリバティブの『売り』が自動的に発動するようにプログラミングされている」ということです。

この考え方は、金(ゴールド)の価格を抑えることによって、貴金属の価格が過熱しないようにするというものです。

万一、金が1オンス2,000ドルの最高値に達したら、どうなるでしょうか?世界のトレーダーは、連邦準備制度理事会(FRB)と、その代理人であるJPモルガンのようなメガバンクでさえ、もはや金価格を制御できないところまできたと判断して、金(ゴールド)を買い始めるかも知れません。。
(※ メルマガ第62号(パート2)「金価格は上昇しないよう不正に操作されている」にて詳述)

いや、そのボーダーラインは、もっと低くなりそうです。

理由は、金(ゴールド)の抽出と精製には1トロイオンス当たり、約1100ドルのコストがかかっているので、もし、1トロイオンス1300ドル、ないし1,400ドルで一般の個人投資家までもが金(ゴールド)を買うような事態になった場合、金鉱株が暴騰するからです。

そして、次の段階で、金(ゴールド)現物の底堅い値が形成されるのです。

Next: 外国人勢は、無防備になった日本国債の売り浴びせを狙っている



無防備になった日本国債

アベノミクスと同時にスタートした日銀の異次元の量的金融緩和によって、日銀の国債保有残高は、去年の秋ですでに400兆円を超えました。これは、国債発行残高の4割強に当たる量です。

その後、日銀はマイナス金利政策を加えて「量的・質的金融緩和」と、よりマイルドな響きを持つ言葉に置き換えてはいるものの、依然として国債の買い増しを続けおり、このままいけば、年内には500兆円を超えることが確実視されています。

この多くに、国民の虎の子である年金の原資が投入されているわけですが、いっぽうで、海外のヘッドファンドの空売りによる暴落から日本国債を守るという役目を果たしていることも否定はできません。

問題は、日銀の保有資産の50%が日本国債で占められるようになったとき、国家としての信用リスク、いわゆるソブリン・リスクが一気に表面化することです。

第2次安倍晋三内閣で、「公的資金の運用・組織改革に関する有識者会議」の座長として、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の資産運用方法を、従来の安全・確実と言われ続けてきた国内債券偏重主義から、リスク性資産中心の運用に舵を切る提言をまとめた米コロンビア大学大学院の伊藤隆敏教授は、「出口戦略なき日銀が、最終的に債務超過に陥る可能性がある」ことを指摘するようになりました。

しかし、彼は、「(そうなったとしても)全然大変ではない。中央銀行なので将来のシニョレッジ(通貨発行益)で返済できる」と楽観的です。

その反面、「(今後)財政政策の領域でも何か出来ることはないか探す流れに来ている」ことを踏まえれば、バーナンキ氏の発言も「理論的に分からないではない」と言っています。

これは、先月26日、都内でブルームバーグのインタビューに応じたときのコメントですが、彼は相矛盾することを言っているのです。

その矛盾とは、「問題ない」と言いつつも、バーナンキが進言したヘリコプター・マネーに一定の理解を示したことです。

海外のヘッドファンドは、日本国債を売り浴びせるタイミングを虎視眈々とうかがっています。ここにきて、外国人勢にやや不穏な動きが見えてきました。

Next: もはや「玉砕」あるのみ? 限界に近づく日銀の日本国債引き受け



限界に近づく日銀

日経新聞は、「短期国債市場の主役が日銀から外国人に交代した」と報じています。今年2月末の時点で、外国人の短期国債の保有比率が5割を超えたとのこと。

彼らの手口は、国債とCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)をセットにして購入することです。

CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)とは、国債が暴落した時、損失分が補てんされるというクレジット・デリバティブの一種です。CDSが保険の代わりを務めるのです。

外国のヘッジファンドにとって最良のシナリオは、購入した日本国債の金利が上がることです。短期償還時の利息で潤い、国債が暴落して損失が生じた分だけCDSによって補てんを受けることができるので、まさに一挙両得というわけです。

そのため、ヘッジファンドは何かの悪材料を探して国債の先物を売り浴びせたくなるでしょう。つまり、ヘッジファンドは、日本国債を売ることによって利益を得ることができるのです。

しかし、現実には、日本の金融機関が国債の買いに打って出るので、下手をすれば海外のヘッジファンドは、再起不能の返り討ちに遭うリスクもあるのです。

ところが、日銀のマイナス金利導入によって、三菱UFJが国債特別資格を返上したように、今まで、国債の大口引き受けてであったメガバンクが、財務省のコントロールから逃れようとする動きが見えるのです。

これは、「もう、日本政府に言われても国債を買わない」という婉曲な意思表示です。

裸状態になった日本国債をヘッジファンドの猛威から守るのは、もはや日銀しかないのかもしれません。

その日銀も、これ以上、国債を引き受けることができない限界に達しています。

Next: 購買力を失う不換紙幣。シルバー価格上昇の条件は整いつつある



継続的に購買力を失ってきたペーパーマネー

不換紙幣の通貨システムは、明らかにぐらつき始めています。

「政府の信用」を裏付けとした不換紙幣と、「正貨」そのものである金(ゴールド)と銀(シルバー)について、私たちは何を知っているでしょう?

1913年12月23日に連邦準備制度(Fed)が設立されて以来、ドルは、1世紀以上にわたって金(ゴールド)と銀(シルバー)に対して平価が切り下げられてきました。ドルは、100年以上もの間、継続的に購買力を失ってきたのです。<中略>

結局のところ、増大する負債に目をつぶりながら、恐ろしい消費者物価インフレに突入していくのです。

相対的に、金(ゴールド)と銀(シルバー)の値はつり上がります。そして、以後も、ドルは平価を切り下げられて、価値が減価されていきます。

銀(シルバー)の値は、過去90年の間、指数的に上昇してきました。それは、一定のバンドの振れ幅の中におさまっています。

金(ゴールド)と銀(シルバー)の信仰者が、今後、重石が取れて銀(シルバー)の値が上放れしていくと期待するのは、希望的観測ではなく経験則からです――
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銀(シルバー)上昇の条件がととのいつつある

では、銀(シルバー)の値はどのくらい高くなるのだろうか?

「銀(シルバー)を買いなさい!金(ゴールド)ではなく……」

※本記事は、『カレイドスコープのメルマガ』 2017年6月1日第208号パート2の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した全文(詳細なチャートを含む金・銀相場の分析)もすぐ読めます。

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「カレイドスコープ」のメルマガ』(2017年6月1日第208号パート2より抜粋、再構成

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