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「忖度相場」からの6月14日ショック説、最悪ケースの株価下値は?=藤井まり子

安倍政権は夏の都議会選挙を控える中、日本株式市場を高値圏で維持したいところでしょう。日銀とGPIFがその意向を「忖度」するのも無理はありません。(『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』藤井まり子)

※本記事は有料メルマガ『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』2017年6月6日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

最短で6/14~今夏にかけて、株式市場は大幅調整を余儀なくされる

2万円台回復という「忖度相場」

6月1~2日の日経平均は2日連続で大幅上昇、2万円台を回復しました。ただし「では、誰が買っているのか?」という問題になると、「それは日銀とGPIFである」と言わざるを得ないでしょう。

日本金融村やマスメディアは、安倍自民党政権に「忖度(そんたく)」して口を閉ざしていますが、「今の日本株式市場で日本株を買い支えている主体は、日銀とGPIFだけではないのか?」という噂が、日本金融村では流れています。
※正確な情報は、投資主体別売買動向が明らかになる木曜夕刻にならないとわかりません

もちろん、今現在の日経平均の予想EPSはおおよそ1,400円。これに平均PERの14.8倍をかけ合わせれば、「日経平均のフェアバリューは、およそ20,720円」ということになります。

ですから、「今の日本株式市場は、外人にも個人にもそっぽを向かれているために安値圏で放置されており、日経平均もやや割安」という仮説も成り立つのです。その意味では、「日銀とGPIFが2万円前後で日本株に買い向かう」ことは、大きく間違っているわけではありません。

安倍自民党政権としては、夏の都議会選挙を控える中で極力、日本株式市場を高値圏で維持したいところでしょう。日銀とGPIFが、安倍自民党政権の意向を「忖度」するのも無理はない――

アメリカ株式市場に「暴落の前兆」

さらに言えば、アメリカ株式市場は、連日史上最高値を更新していますが、じゃぶじゃぶのグローバルマネー(ウルトラ過剰流動性)は、アメリカ株があまりにも高値圏に入ってきたので、国際分散投資の一環として一部枝分かれして、ヨーロッパや新興国群へと流れ込んでいます。

そのため日銀やGPIFは、「自分たちこそが、ここで日本株を大きく買い支えたならば、ヨーロッパや新興国群へ流れ込んでいるグローバルマネーの一部が、日本株式市場にも向かい始めてくれるかもしれない」と期待したのでしょう。

6月14日のイエレンFOMCまでは、日本株式市場はたいして下がらないかもしれません。

しかしそんな中、アメリカ株式市場のNYダウで、テクニカル分析上、暴落の前兆とされている「ヒンデンブルグ・オーメン」が点灯したのです。

Next: 激しく入れ替わる相場の主役。6/14~今夏にかけての下値メドは?



「ヒンデンブルグ・オーメン」が点灯

ヒンデンブルグ・オーメン(Hindenburg Omen)」とは、テクニカル分析において「株価の調整あるいは暴落の前兆」とされるサインのことです

その名は、1937年のドイツ飛行船ヒンデンブルク号爆発事故に由来します。「オーメン」は、「悪いことが起こる前兆」という意味で、盲目の物理数学者ジム・ミーカが考案したテクニカル分析指標です。

この「ヒンデンブルグ・オーメン」は、下記の「4つの条件」が同じ日に起こった時に点灯します。そして、一度点灯すると、向こう30営業日(およそ42日間)は有効とされています。
※ただし、マクラレンオシレーターという指標がマイナスからプラスに転じた場合は無効となります

以下がその4つの条件です。

1. ニューヨーク証券取引所(NYSE)での52週高値更新銘柄と52週安値更新銘柄の数が、共にその日の値上がり・値下がり銘柄合計数の2.8%以上になる。

2. NYSEインデックスの値が50営業日前を上回っている。

3. 短期的な騰勢を示すマクラレンオシレーターの値がマイナスになる。

4. 52週高値更新銘柄数が、52週安値更新銘柄数の2倍を超えない。

「史上最高値更新」の危うい中身

今のNY株式市場は、ごく一部の銘柄が連日高値を更新して、大相場を牽引しています。その筆頭が、フェイスブック、アマゾン、アップル、ネットフリックス、アルファベット(グーグル)など、「FAANG」と呼ばれる銘柄群です。

現在の相場は、これら一部のFAANG銘柄だけで牽引されていると言っても過言ではありません。ハイテク企業が主役となっての、ロボット、人工知能、IoT等々ハイテクブームが進行中なのです。そのほか、半導体・半導体製造装置関連も堅調です。

一頃の「トランプラリー」は明らかに終了し、それに取って代わって「大型のハイテクブーム」が始まっており、相場の主役、相場の牽引役がものすごい勢いで入れ替わっています。

ですから実は、「主役の座」から引きずり下ろされた銘柄群は下落しています。トランポノミクスへの期待が露と消えた今となっては、金融・エネルギー関連などの、かつての「トランプ銘柄」は連日軟調です。自動車販売数が頭打ちになっているので、自動車株も冴えません。

つまり現在のアメリカ株式市場は、ごく一部の銘柄が連日史上最高値を更新するいっぽうで、じっくり調べてみると、株価が下がっている銘柄も実に多いのが実情なのです。

NYダウ1万8,000ドル水準は想定内

さて、「ヒンデンブルグ・オーメン」が点灯すると、以下のようなことが発生すると指摘されています。とても不気味ですね。

かつて2015年6月中旬にも、この「ヒンデンブルグ・オーメン」が点灯しました。このときのアメリカ株式市場は暴落しています。

忘れもしない2015年8月の中国株大暴落を受けて、NYダウは1万8000ドル台から1万5000ドル台まで、およそ2,000ドル強の大幅下落を演じました。6月から8月にかけて、およそ2カ月で15%の下落となりました。

15%の大幅調整に慣れていなかった当時の株式市場は、これを「暴落」と感じたものです。

仮にこのときの下落率を当てはめて、NYダウが今夏にかけて15%の大幅調整をすると考えると、およそ1万8,000ドル前後まで下落するかもしれない、という見方ができます。

Next: 「先行」する為替と金利を株式市場が後追いすればどうなる?



「先行」する為替と金利を株式市場が後追いすればどうなる?

NYダウで1万8,000ドル前後といえば、トランプが大統領選挙に勝利する前の水準です。

先週号のメルマガでもお伝えしましたが、為替市場はすでに「大統領選挙前」の水準にまで戻しました。ドルインデックス指数は97ポイントを下回っています。

さらに、長期金利(=ドル国債10年物の利回り)も、先週末には「大統領選挙前」の水準にまで戻っています。2.20%を下回りました。

トランプ大統領の登場は、人々のセンチメントだけは明るくしました。でも、マクロ経済的には、トランプの政策は何も巻き起こせないだろうし、現に何も巻き起こせなかったことは、こちらのメルマガでも幾度も繰り返しお伝えしてきたとおりです。

ところがこれまで、どんな悪材料に遭遇しても、反応するのは為替市場と長期金利市場だけ。株式市場は全くもって反応しませんでした…。

とは言えこの夏、アメリカ株式市場も遅ればせながら調整を余儀なくされることでしょう。

すでに今のアメリカ経済の実態は、2016年11月初旬の「大統領選挙前」の水準に戻っているかもしれないのです。すなわち――
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※本記事は有料メルマガ『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』2017年6月6日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。本記事で割愛した内容(さらに詳細なアメリカ株式市場の分析と6月FOMCの展望、さらに中国経済について)や、当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

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藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』(2017年6月6日号)より一部抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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