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なぜレインズ未掲載? 不動産投資 5パターンの「非公開物件」を攻略する=姫野秀喜

不動産サイトなどでたまに見かける「非公開物件」。本当に「非公開物件」は存在するのでしょうか。そして「非公開物件」の情報を業者はどうやって入手しているのでしょうか。(『1億円大家さん姫ちゃん☆不動産ノウハウ』姫野秀喜)

プロフィール:姫野秀喜(ひめの ひでき)
姫屋不動産コンサルティング(株)代表。1978年生まれ、福岡市出身。九州大学経済学部卒。アクセンチュア(株)で売上3,000億円超え企業の会計・経営計画策定などコンサルティングに従事。合間の不動産投資で資産1億円を達成し独立。年間100件以上行う現地調査の情報と高い問題解決力で、顧客ごとに戦略策定から実行までを一貫してサポートしている。

レインズに載っていない!? 5種類の「非公開物件」のカラクリとは

どんなものが「非公開物件」なのか

不動産投資のサイトを見ていると、たまに「非公開物件」と書かれた物件を見ます。日本で売買されるほとんどの不動産は業者専用の物件サイトであるレインズに掲載されているので、いわゆる「公開物件」です。では、レインズに掲載されない「非公開物件」はそもそも存在するのでしょうか?

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答えは「存在する」です。それでは、どんなものが「非公開物件」なのでしょうか。

私は「非公開物件」を以下の5つに分類します。

  1. なんちゃって非公開物件
  2. 時間差非公開物件
  3. 一般媒介型非公開物件
  4. 売主型非公開物件
  5. 他人物売買非公開物件

以下、一つずつ説明します。

1.なんちゃって非公開物件

これは読んで字のごとく「なんちゃって」です。つまり「レインズ」や「at home」のような一般サイトにも掲載されている、にもかかわらず、なぜか「非公開物件」とか「未公開物件」とか書いちゃっているものです。

なぜ、そんな小学生レベルのなんちゃってな記述をするのか理解に苦しみますが、事実として存在します。まぁ、次に挙げます時間差非公開物件の名残で、もともと「非公開」だったものが時間がたって「公開」になり、そのまま「非公開」の文字を消し忘れたというだけのものならまだましですが…。なぜか、最初から公開物件なのに非公開と言い張っているものも存在します。

まぁ、この非公開というのに法的な定義がないため、各社が非公開だと思うものは、勝手に非公開と名乗ってもよいので、このような状況なのでしょう。

2.時間差非公開物件

次に挙げる非公開物件は「時間差」を利用したものです。

物件の売却の仲介を依頼された際、通常、不動産業者は売主と「専任媒介」の契約を結びます。これは簡単に言うと「うちの業者で売るので、他の業者に依頼はしないでくださいね」という契約です。不動産業者はこの契約をしたら、一定期間内に業者専用の不動産サイトであるレインズに売却物件の登録をしなくてはならないという義務があります。そして、その義務を破ると処罰されます。業者による物件の囲い込みを防ぐためにそういう法律が存在します。

でも、これには一つ抜け穴があります。それは契約後「一定期間内」に登録するということです。

この一定期間とは、休業日を除く7日以内(専属専任は5日以内)です。つまり週休2日の業者の場合、最大9日間の猶予期間があるのです。この9日間をフルに活用して「非公開」とするのが、この時間差型です。

通常、業者はこの期間に自社のお客さんや、他の業者などに声を掛けたりします。レインズに公開された瞬間に契約申し込みが入っているという物件はこのパターンでしょう。

Next: 3.一般媒介型非公開物件/4.売主型非公開物件~様々な手法をご紹介



3.一般媒介型非公開物件

これは全くもって合法なやり方です。物件売却の際に売主と「一般媒介」契約を結ぶ方法です。先ほど述べた「専任媒介」と異なり、「一般媒介」は複数の不動産業者と売却仲介の契約ができるものです。売主は4社でも5社でも自由に売却を依頼することができるので、業者による物件の囲い込みの心配がなくなります

よって、業者の囲い込みを防ぐ目的で登録が義務付けられていたレインズへの登録は任意となります。つまり、自社だけが一般媒介で契約してレインズに登録しなければ、それは「非公開物件」となるのです。

この「一般媒介型非公開物件」は、他の業者が一般媒介契約を行い、レインズに載せられると非公開でなくなるというリスクはあります。それは、その物件の市場での流動性が確保されているということに他ならないので、法的にもリバタリアン的な道義においても、問題ないと思います。

4.売主型非公開物件

これも多いのですが「売主型」とあるように、これは業者が「売主」になるというものです。

良心的パターンの場合、自社の管理物件の売却を依頼されたが、大家さんが売り急いでいたので、自社で買い取った。その後、自社の持ち物を売り始めた。自社が売主の場合、レインズに登録する義務はないので「非公開」にすることができます

まぁ、利益目的のパターンがほとんどで、最近のトレンドだと首都圏で12%くらいの物件を自社で購入し、利益や費用を単純に乗っけて、9%くらいの利回りで「非公開物件」として売り出すみたいな感じです。

業者としては、単に12%で仲介して手数料をもらうよりも多額の利益を得られるので、良い物件や割安な物件は、速攻で買い付けまくっているみたいです。本来は売主さんや買主さんが得る利益を、情報の非対称性を最大限利用して業者が得るというモデルです。

まぁ、仕入れるということは、現金もしくは借金をして購入しているわけで、業者は安くない取得税や金利も支払っています。つまり、ちゃんとリスクをとって物件所有者になっているので、まだ良いかもしれません。

Next: 5.他人物売買非公開物件~「他人の物を売る」という方法で非公開にする



5.他人物売買非公開物件

これは「他人の物を売る」という方法で「非公開」にするやり方です。

物件所有者に対して、女性オペレーターが電話をします。電話の内容は「○○エリアの○○というマンションを購入したいという方がおられます」という内容です。まぁ、物件の名前などは登記簿で誰でも見られるので公開情報ですが、その情報とケータイ番号などが紐づいていると、どんどん連絡がきます。

このオペレーターに「どんな人が欲しがっているのか、いくらで買ってくれるのか」という具体的な質問を投げかけても、「私は電話のみでわからない、営業の方がご存知のお客様ですので…」という回答しか得られません。

で、いろいろ質問した結果、彼らの仕事は、仲介や売買の契約をせずに売る「他人物売買」の「非公開」物件を作ることのようです。正確には、エンドユーザーの買主が購入するギリギリのタイミングで仲介や売買の契約を交わすようですが、文字通りそれまでは他人の物を売っているということです。

法律上可能なので「他人物売買」に関しても、きちっとした手順を押さえている業者であれば、まぁ違法ではないです。

ただ「非公開」になってしまい、結果として、本来売れる金額よりも安い金額でしか売れない売主はかわいそうですし、マーケットの健全性を歪めているという道義上の問題はあるのではないかと思います。

また、税収的にも問題があると思います。この「他人物売買」の場合、業者は不動産取得をしても、その瞬間にエンドユーザーの買主に売るため、不動産登記を省略します。つまり、取得税などを支払わないということで、当然ながら得られるべき税収が得られないという点において問題があるともいえます。ちなみに、「他人物売買」でも「仲介」の場合、取得税は発生しないので税収的な問題はクリアできます。

なお、これらの「非公開物件」情報は、同業者に対して売り込みをかけてきたりする場合もあるし、エンドユーザー向けのサイトなどに載せたり、セミナーを開いてそこで公開したりしているようです。

ということで「非公開物件」の5つのタイプとその仕入れ方法についてでした。

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1億円大家さん姫ちゃん☆不動産ノウハウ』(2016年10月19日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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