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2つの危険日。日経平均「急落」のタイミングと値幅を予想する=長谷川雅一

前回の記事で、「日経平均はゆるやかに上昇したあと急落する可能性がある」と書きました。ただ、これだとちょっと「あいまい」なので、今回は「では、どんなタイミングで、どの程度下落する可能性があるのか?」を予想し、付記しておきたいと思います。(『長谷川雅一のハッピーライフマガジン』長谷川雅一)

プロフィール:長谷川雅一(はせがわまさかず)
1959年、岐阜県生まれ。株式会社プレコオンライン(金融商品取引業)代表取締役社長。2000年より株式投資の研究を始め、日本で初めて「株の自動売買」という言葉を使った著書を出版。株式投資の世界では、「株の自動売買」ブームの火付け役として知られている。現在は、自動売買ソフトの開発、投資教室、メルマガの執筆など、多忙な日々を送っている。

日経平均株価は16,500円まで一気に下がる可能性がある

それはいつ起こるか?

あらかじめお断りしておきますが、相手は相場ですから完全な予想などできません。

今、「日経平均18,000円説」や「19,000円説」「20,000円説」が飛び交っていることも知っていますし、去年の今の時期、日経平均は大きく上昇しましたから、今年も同じように上昇するかもしれません。

ただ、これまでの日経平均のチャートを見ると、ゆるやかに上がった後に急落するパターンの値動きが散見されるため、「同じことが起こる可能性がある」と見ておくべきだ、と考えるわけです。

【関連】ヒラリーもトランプも消える、アメリカ大統領選「第3のシナリオ」とは

今の相場が堅調な理由

このところの相場が堅調なのは、「悪い材料が目立たなくなっているため」です。

アメリカの12月利上げはほぼ確実ですが、これは「織り込みずみ」なので、株式相場へのネガティブな影響は限定的。アメリカ経済は、そこそこ堅調で経済指標は申し分なしです。

大統領選挙も、どうやら「クリントンで決まり」。ここへ来て、原油価格も安定してきた。だからリスクオン、ということになっているわけです。

しかし、マーケットには常に、いろいろなリスクが潜んでいます。そういったリスクの中には、ある日突然登場して、いきなり「マーケットの主役」になるものもあります。

また、前回も書いたように、「リスクオンが続いた反動によるリスクオフ」もあります。株でも為替でも、高くなれば売られるのです。

その意味で、マーケットは常に「暴落」「急落」のリスクにさらされている、と見ておかなければなりません。

「急騰」の直後こそ「急落」のリスクが高まる

現在の日経平均株価は、25日移動平均線から上方に乖離して(離れて)います。つまり「割高だ」ということです。

最近の日経平均は、25日移動平均線から大きく離れることが少なくなっています。上向きの「乖離」については、25日移動平均線から500円以上離れると、調整が起こる確率が高まります。

日経平均株価 日足・25MA(SBI証券提供)

現在、日経平均株価は25日移動平均線から約500円、上方に乖離しています。つまり、すでに「いつ下落してもおかしくない水準にある」のです。これが「1,000円の乖離」となると、さらに調整する可能性が高くなります。

それでも調整が起きていないのは、株価には、「急騰すると急落しやすくなるが、ゆるやかに上昇すれば急落は起こりづらい」という性質があるからです。

現在の上昇がまさにその「ゆるやかな上昇」であるため、日経平均株価は、じりじりと25日移動平均線との乖離を広げながらも、調整らしい調整が起こっていないのです。

裏を返せば、今後、急落が起きる可能性が高くなるタイミングは、「急騰の直後である」と言えます。

このあと、何かの好材料が出るなどして、1日に300円以上の上昇があったりしますと、25日移動平均線からの乖離が1,000円に近づくとともに、「急騰の反動」が起こりやすくなります。つまり「急落」のリスクが高まります。

急騰」があったら、直後に「急落があるかもしれない」と警戒すべきです。

Next: 急落の可能性があるのはいつか? 2つの「危険日」が近づいている



「急落」の可能性があるのは「いつ」か?

このあと、急騰、急落が起こりやすいのは、ズバリ11月1日(火)です。この日に、日銀の金融政策決定会合の結果が公表されるからです。

さらには11月8日(アメリカ大統領選挙の日)にも、急騰、急落があるかもしれません。

上記の2つの「危険日」に限らず、なにかの要因で「急騰」があった場合、その直後の「急落リスク」に注意を払う必要があると思います。

また、急落したときの値幅ですが、「16,500円までは一気に下がる可能性がある」と分析しています。16,600円には200日移動平均線がありますし、日経平均が急落した場合、経験則から1,000円程度は簡単に動くためです。

日経平均株価 日足・200MA(SBI証券提供)

急落は買いのチャンス

もう1つ付け加えておきたいのは、「急落は買いチャンスである」ということです。しかも、11月中に急落があれば、なおさらです。

なぜなら、毎年12月は、いわゆる「年末相場」となり上昇する確率が高くなるからです。

ただし恐いのは、日経平均の、「25日移動平均線の上には1,000円程度しか行けない(上昇できない)が、下側なら2,000円でも行ける(下落できる)」という性質です。

つまり、1,000円下がったところで「安い」と思って買うと、さらに1,000円下がる可能性があるわけですから、買いのタイミングはとても難しいのです。

東証1部は死んでいる

ここからは、日本株の「個別銘柄」について書きます。

率直に言います。今、特に東証1部の市場は完全に「死んでいる」と思います。動かないか、不安定かのどちらかですから。

チャート分析をやっていても、個別銘柄については、なかなかトレードのアイデアが浮かびません。

ここ1ヵ月ほど、日経平均はゆるやかに上昇していますが、個別銘柄は、まるでヘリコプターの「ホバリング(空中停止)」のような状態になっていることも多くなっています。

たとえば、ソフトバンク<9984>トヨタ<7203>。これらは「動かない銘柄」の代表選手です。買って上がらず、売って下がらず。儲からない。

だからといって、いわゆる「新興市場」の銘柄を売買してみると、もちろん動きはするのですが、こんどは乱高下が激しく、恐ろしくて、とてもついていけない。結局、「相場に手が出せない」と嘆いている投資家さんが多いのではないか、と思います。

ちなみに、僕は、東証1部が動かないからと言って、新興市場に走るのは危険だと思っています。トレードをやっているのか、ギャンブルをやっているのか、わからなくなってしまう恐れがありますから。

Next: 決算で下がった銘柄は「買い」なのか? 最近の相場に潜む罠とは



決算で下がった個別銘柄は「買い」なのか?

ここ数日は、決算の影響を受けて、上下に派手に株価が「飛んでいる」銘柄も多くなっています。1年に4回の決算シーズンは投資家にとって「鬼門」ですね。

上がるか?下がるか?決算発表が出るまで予想がつかないのでドキドキです。この時期「いきなりの急落」で青くなる人も多いと思います。

通常、「急落した銘柄は買い」ですが、最近の個別銘柄の値動きで目立つのは、「下がったまま浮上しない」パターンが多いことです。

たとえば今日は花王<4452>が急落しました。原因は「業績予想の下方修正」です。

花王の、昨日(27日)の終値は5,743円でした。ところが決算発表を経た、今日(28日)の終値は5,418円。1日で325円、5.65%もの急落です。

通常の(健全な)相場では、こうした急落銘柄は「買い」です。急落の反動で上昇する場合が多いからです。しかし、最近の相場では、急落の後の反発が見られません。長く安値圏で低迷することが多いのです。

花王の場合も、割安に見えますが、すぐに買うのは危険でしょう。「しばらく反発しないかもしれない」と警戒しつつ、8月の安値5,200円付近程度をメドに、下がるのを待って買った方がいいと思います。

いえ、できれば「5,000円割れを狙う」ぐらいの慎重さが欲しいところです。

上昇トレンドの銘柄は「買い」なのか?

一方で、決算がよく上昇した銘柄は、しばらくの間、そのまま上昇トレンドを続ける傾向があります。ですから、「安くなった銘柄を買う」よりは「高い銘柄を追いかける」方が、いいと思います。

しかし、上昇している銘柄も、やはり急騰したあとは調整するので、買いのタイミングが難しく、無理に買うと「買ったら天井だった」ということになりかねません。

また、上昇トレンドを作っている銘柄に目を付け、慎重に上昇トレンドを確認してから買うと、まさに買ったところ(上昇トレンドがハッキリした時点)で上昇トレンドが終わったりします。

結局、日銀の過剰な買い支えで、正常な株価の上下変動が起こらなくなってしまっている今、個別銘柄のトレードは難しいと言わざるを得ません。

Next: 今の「官製相場」で日経平均株価が急落したらこれを買え



日経平均株価が急落したらETFを買え

今の、いわゆる「官製相場」でトレードする場合、ETFを売買するのがいいのではないか、と思います。ETFなら、決算発表による急騰、急落がなく、日経平均ともシンクロ(同期)しやすいからです。

ただ、ETFを買うにしても、やはり売買タイミングは難しいです。できれば、日経平均の急落を待ち、急落したところで、NEXT日経平均レバレッジ<1570>のようなETFを買うという方法が、もっとも簡単で、確実だと思います。

その「急落」はいつ起こるのか?については、この記事の前半に予想を書きました。また、ETFの種類や売買の仕方については、8月の記事に書きました。参考にしていただければ、と思います。

ETFの下落を待っても、なかなか「押し目」はありませんから、トレードのチャンスは少ないです。しかし、この方法が最も安全、確実だと思います。ちなみに弊社の「ロボトレーダーRT10」も、主に、1570と1357のトレードを行っています(もちろん「自動売買」です)。

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長谷川雅一のハッピーライフマガジン』2016/10/27,28号より一部抜粋、再構成
※記事タイトル・太字はMONEY VOICE編集部による

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