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竹田和平公式サイト | Krista Kennell / Shutterstock.com

「投資の神様」竹田和平とバフェットに共通する資産運用の黄金ルール=山田健彦

日本の竹田和平氏や米国のウォーレン・バフェット氏。彼らのように「投資の神様」と言われる人達は、どのようなものの見方、考え方をしているのでしょうか。私たちが資産1億円を築くには、税金対策や細かな投資テクニックを磨くより前に、神様の投資哲学を理解しておくことが先決です。(『資産1億円への道』山田健彦)

日本の竹田氏と米国のバフェット氏、意外な共通点と相違点とは?

竹田和平氏

残念ながら今年の7月に亡くなってしまいましたが、「日本のウォーレン・バフェット」と言われた人です。その総資産は最盛期で300億円を超え、大株主(10位以内)として保有する銘柄数は107銘柄。そのほとんどが中・小型株でした。

投資ポリシーは、1株純資産が多く、配当を行っている好資産株への投資。

景気変動がある以上、株価の浮き沈みは避けられませんが、景気下降期において倒産等のリスクが少ない会社の株は景気が良くなれば、平均以上に値上がりするハズ、というスタンスです。

【関連】バフェットの心変わり。なぜ賢人はIT企業への投資を決断したのか?=東条雅彦

つまり配当を重視した財務内容の良い中・小型株への長期投資です。ウォーレン・バフェット氏と良く似ています。

竹田氏は「株式投資ほど、簡単に利益を得られるものは他にないと思っています。なぜ世の中の人は預金ばかりで株をやらないのか、不思議なくらいですよ。私は会社を経営していますが、下手に事業をやるよりも株のほうが儲かるんじゃないかな」と言っていたそうです。

その投資哲学は、株主資本比率が高く、配当性向も高い銘柄が下げて、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)が過去に比べて割安なときに投資する、という極めてシンプルなスタイルです。

しかも竹田氏がユニークだと謳われる点は、情報ソースは「会社四季報」一本やりだということ。「伝統のある四季報スタッフが集めた情報を信頼することだけで十分で、情報が多すぎると迷うだけでいいことはない」とも言っています。

また、「物言う株主」 にならず、企業を「励ますだけの株主」になることを心がけており、株主総会へは出席したこともなければ、大株主となっている会社の経営者と話をしたこともないそうです。

Next: 竹田氏は投資スタイルを思考錯誤しシンプルな戦略に辿り着いた



竹田氏は投資スタイルを思考錯誤しシンプルな戦略に辿り着いた

そんな竹田和平氏も、投資のスタイルを何度か大きく変えている。つまり、「実業家としての竹田和平」も、「投資家としての竹田和平」も常に時代に合わせて進歩しているということです。

今の投資スタイルになったのはせいぜいこの20年。個人の筆頭株主として大株主になっていた山一證券が1997年に倒産し、その株券が紙くずになってしまったことで、大企業を買うよりも多くの中小企業に分散投資するスタイルにシフトしました。

次に挙げる竹田和平氏の投資哲学は、株だけでなく、金融商品全般に通用する投資の普遍の法則といえます。

あわてて投資せずに割安になるときをじっくり待つこと」と「キャピタルゲインを狙うよりも安定成長が見込める企業の継続的好配当を重視すること」です。

  1. 情報源としては『会社四季報』1冊で十分。PER、PBRなどを見て割安株を探すべし
  2. 大企業よりも成長企業、小さな企業の分散投資を心掛けるべし
  3. やる気がある会社を狙うべし。大株主に個人投資家の名前がある会社がよい
  4. 割安の株を買い、買った株は手放さない。あくまで配当収入が基本。大企業は買わない

なんといっても割安株。『会社四季報』でまずPBR(株価純資産倍率)を見ます。PBRは会社の活力を示しています。体温みたいなものです。PBRはまさに解散価値を表しています。PER(株価収益率)ROE(株主資本利益率)も見ます。

自己資本比率も会社の健全性として大事なポイントです。自己資本比率が低いと意思決定しても新しいものにチャレンジできない。つぶれる会社を見ていると、みんな自己資本比率の低いところです。自己資本比率の良しあしは業種によって違うでしょう。

知識産業では物的投資がいらないから、必然的に自己資本比率は高くなります。これが低いとかえって危ない。

立ち上がったばかりの製造業などは一つの種類の品種にかけて立ち上がるわけですから、そこに強力な競争相手が現れれば、かけた資本が無価値になります。だから高率のほうがいい。

などと発言しています。

Next: ウォーレン・バフェット氏と竹田和平氏はどこが違うのか?



ウォーレン・バフェット氏

次に、「投資の神様」といえば、絶対外せないのは何と言ってもウォーレン・バフェット氏ですね。2016年10月のForbes誌によれば、バフェット氏の保有資産は655億ドル。円に換算して8兆円近くになります。資産の1965年から約50年間の年間平均リターンは約20%です。

自分が理解できないものには投資しない」と宣言して、IT関連株に投資していませんでしたが、近年IBMやアップルなどにも投資をしています。

前述の竹田和平氏の投資スタイルと似ている点は「長期保有と経営に口出しをしないこと」ですが、異なっている点もあります。

バフェット氏の投資スタイルは、どちらかと言うと分散投資ではなく集中投資です。バークシャー・ハサウェイという元々は保険会社だった会社を通じて投資していて、会社としての資産は1290億ドルになります。

「私達は、ごく少数のものしか購入しませんが、とても大きなポジションを買います」と話しています。

投資候補の会社を徹底的に分析して、その本質的価値に基づいた優良割安株への投資です。会社の業績を徹底的に分析し、投資した後も定期的に事業内容の再分析をするのですから、保有銘柄数は必然的に少なくならざるを得ません。

また本質的価値に基いて投資するので、保有期間は短期である必要はありません。一説には、株式の平均保有年数は24年とも言われています。

「良い買い物をしなさい。そうすれば売却する必要はなくなります。10年間その株式を保有する気がないのなら、10分たりとも持ってはいけません。売却するのは、その企業内部で根本的なものが変化したときだけです」とも言っています。

そうはいっても、景気の変動に対処するためなのか、個々の銘柄の保有株数はその時々で上下があります。投資分野のウェートを上手く変えているのですね。

Next: 現在のバフェット氏が保有している注目銘柄・セクターは?



現在のバフェット氏が保有している注目銘柄・セクターは?

米国SECに提出した届出書によると、2016年9月現在の保有銘柄の上位10は下記の通りです。

セクター別投資先は、下記となっています。

生活必需品:37.42%
金融:32.06%
テクノロジー:13.33%
エネルギー:5.4%

生活必需品や金融といった、人々が生活する上で必要不可欠な企業に主として投資をしているのです。それも、「10年先でも利益が伸びるであろう優良銘柄」に、です。

Next: 「分散投資は単なる無知の表れ」と断言、バフェット氏の真意とは?



「分散投資は単なる無知の表れ」と断言、バフェット氏の真意とは?

基本的にバフェット氏は、厳格な選定基準を通して予めマークしていた優良企業の株価が下がったとき、特にマーケット全体が暴落したときに買いをいれます。「最高のタイミングで買えた株式は、一生手放す必要は無い」これは彼の有名な言葉です。

現在はP&G傘下になってしまいましたが、ジレットというカミソリを生産している企業があります。バフェット氏はこの会社に多大な投資をしていて、P&G傘下になっても株式は保持したままです。

我々はともすると、業績が急激に伸びている会社、例えばバイオ関連IT関連カジノ関連人工知能関連などのテーマ株が投資先として良いのでは考えてしまいますが、バフェット氏はそうは考えないようです。

「人がヒゲを剃る限り、カミソリの需要はなくなりません。新しい替え刃の開発を常に怠らず、販売力の増加にも努め、力強いブランド力を保持している企業があるのなら、これに投資しない手はないでしょう。
人は毎日、ヒゲを剃ります。年間20ドルの替え刃代を支払って、あの爽快感を得るのです。今こうしている間にも、地球に住む25億万人の男性のヒゲが少しずつ伸びている、そう考えながらベッドに入れば、とても心地よく眠れるはずです。多分、ジレットの社員に不眠症の人はいないと思いますよ。「今こうしている間にも、地球に住む25億万人の男性のヒゲが少しずつ伸びている

なんてすごい発想ですね。

またバフェット氏は、「企業の事業内容を正確に理解した後に投資する。事業内容が理解できない会社には投資しない」と言っています。また似たようなことですが、「事業構造がシンプルな会社に投資する」とも言っています。

日本の場合、大企業はさまざまな分野に手を出しているので、事業構造は複雑です。

バフェットさん好みの銘柄は、日本では大企業ではなく、中・小型株の企業となると思われます。リスクについては、伝統的に専門家と言われる人は「多くの銘柄を保有する分散投資を行うことで、リスクを避けることができる」といっていますが、バフェット氏は「リスクを避けるための分散投資というのは、聞こえは良いが、単なる無知の表れであり、投資家が自分の行っていることを自分自身で理解できていないだけのことだ」と言っています。

やはり集中投資なのです。

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資産1億円への道』(2016年12月5日,12月20日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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資産が1億円あるとゆとりある生活が可能と言われていますが、その1億円を目指す方法を株式投資を中心に考えていきます。株式投資以外の不動産投資や発行者が参加したセミナー等で有益な情報と思われるものを随時レポートしていきます。

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