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「トランプ相場」は終わらない。日経平均は夏までに2万2000円へ=長谷川雅一

2016年は、米ドル/円が、下は約99.00円(6月24日)から上は約121.70円(1月29日)まで、122円近くも動いたことからもわかるように、まさに「激動」の1年でした。こうした「異常」とも言える価格変動が起きた場合、その影響は一過性のものにとどまらず、その後一定期間、影響を及ぼし続ける可能性があります。このことを念頭に、2017年の相場を予想するべきだろうと、僕は考えています。(『長谷川雅一のハッピーライフマガジン』長谷川雅一)

プロフィール:長谷川雅一(はせがわまさかず)
1959年、岐阜県生まれ。株式会社プレコオンライン(金融商品取引業)代表取締役社長。2000年より株式投資の研究を始め、日本で初めて「株の自動売買」という言葉を使った著書を出版。株式投資の世界では、「株の自動売買」ブームの火付け役として知られている。現在は、自動売買ソフトの開発、投資教室、メルマガの執筆など、多忙な日々を送っている。

一時的なリスクオフは大チャンス。夏には日経平均22,000円も

2016年ここまでの相場

2016年は、米ドル/円が、下は約99.00円(6月24日)から上は約121.70円(1月29日)まで、122円近くも動いたことからもわかるように、まさに「激動」の1年でした。

特に、米大統領選挙当日の11月9日から、わずか27営業日で、米ドル円が101.20円付近から118.70円付近まで、約17.5円も駆け上がったのには、誰もが驚いたのではないかと思います。

これは、政治経験のないビジネスマン(異色の人物)がアメリカの大統領に当選したという歴史的な「事件」が、マーケットに与えたインパクトの強烈さを物語る急騰劇でした。

こうした「異常」とも言える価格変動が起きた場合、その影響は一過性のものにとどまらず、その後一定期間、影響を及ぼし続ける可能性があります。

このことを念頭に、2017年の相場を予想するべきだろうと、僕は考えています。

【関連】トランプ会見後に予想変更。長谷川雅一氏の最新分析はコチラ

トランプ相場は終わらない

2016年の11月以降、マーケット関係者が口を開けば、そこにはいつも、「トランプ相場はいつまで続くのか?」というテーマがありました。

「2016年の年末までだろう」「1月の就任式までだろう」「いや、2月の予算教書までだろう」といった諸説が飛び交い、いまだ「正解」は見えません。

僕自身はメルマガなどで、「トランプ相場の(とりあえずの)『保証期間』は2016年内だ」と述べてきましたが、実は「トランプ相場は(2017年中は)終わらないだろう」という想定のもとに、来年の投資戦略を考えています。

僕が描くシナリオは、次のようなものです。

…もちろん、いろいろ問題も出てくるでしょうし、特に夏以降、何らかの要因で一時的にマーケットがリスクオフになって、為替や株が暴落する局面もあるかとは思いますが、そうなっても、トランプ氏、あるいは「チーム・トランプ」が絶妙な対応を見せることで、マーケットは早期に危機から脱するのではないかと予想しています。

Next: 1年を通して「円安傾向」の2017年、日経平均は夏までに22,000円へ



トランプ大統領がアメリカに革命を起こす?

トランプ氏については、毀誉褒貶、さまざまな意見がありますが、彼が有能な人物であることは間違いありません。なんといっても彼は、「負けて当然」という米大統領選挙を勝ち抜いたのです。

おそらくトランプ氏は、米大統領という仕事にうまく適応し、その力を遺憾なく発揮して、アメリカに活気を与えることでしょう。僕は、トランプ大統領がアメリカに「革命」的な(良い)変化をもたらす可能性さえあるのではないか、と考えています。

「トランプ氏は戦争を起こすかもしれない」などと、彼を危険視する人たちもいます。しかし、それは、彼の過激な発言を真に受けた人々の「妄想」なのかもしれません。戦争がアメリカにとって有益でないことは明かですから、トランプ氏がわざわざ、そんな不利なカードを引くとは思えません。

ともあれ、僕は、「トランプ氏は(意外と)うまくやるに違いない」と思うのです。もちろん「期待を込めて」という部分も大いにあるわけですが。

1年を通して「円安傾向」が続く

では、「トランプ相場は終わらない」ということを前提に、2017年の相場(株価と為替レート)を予想してみましょう。

2017年のマーケットについて、まず言えることは、「アメリカの長期金利が上昇しやすい状況が続くだろう」ということです。トランプ氏自身が、減税公共事業の推進を公約していますし、加えてFRBが年3回の利上げを掲げています。しかも、日本の金融政策は「金利を低く抑える」方向にあるわけですから。

となれば、まず為替の円安傾向が続く可能性大であると予想するのが妥当でしょう。その円安が追い風となり、日経平均株価も堅調に推移するだろう、というのが、僕の基本的な2017年の相場見通しです。

日経平均株価は夏までに22,000円に到達する

僕の2017年の日経平均の予想レンジは、17,000円~22,000円です。値動きとしては、アベノミクスを追い風に株価が21,000円に迫った2015年と同じようなパターンになるのでは、と予想しています。

2017年の日経平均の値動きのイメージは次の通りです。

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為替(米ドル/円)は「瞬間風速」で128円がありえる

為替(米ドル/円)の、2017年の予想レンジは110円~128円です。為替についても、やはり「2015年型」の値動きを想定しています。

2017年の年初は、やや調整するものの調整幅は限定的。その後はゆるやかに上昇を続け、6月頃にいったん125円を超える場面があるのではないかと思います。(日経平均のピークより、為替のピークが先に来ると予想しています。)このときは、やや「暴走」的な上昇となり、いったん128円付近まで円安が進む場面があるかもしれません。

ただ、米ドル/円の120円より上は、いろいろな面で「困る人が出てくる」水準ですから、120円より上に長くとどまる動きには、なりづらいと予想しています。(したがって、米ドル/円の120円より上を積極的に買うべきではないと考えています。)

また、株と同様、やはり8月の中旬以降に暴落があり、いったん110円付近までの下落がありえると予想します。

2017年の政治日程から、「ドイツの議会選挙」がリスクオフのトリガーになる可能性があると見ていますが、現時点では何とも言えません。

米ドル/円も、リスクオフの場面があったとしても1~2ヵ月で危機を脱し、120円手前のレベルまで値を戻して年末を迎えるのではないか、と予想しています。

マーケットに逆らわず「買い」から入るトレードを

現実には、いつ何が起こるかわからないのがマーケットです。上記のような予想を立てたからといって、「では、年末に買って来年の8月に売ろう」といったトレードができるはずもありません。また、大きな「事件」や「自然災害」などの悪材料が出れば、相場のムードがガラリと変わってしまうであろうことは言うまでもありません。実際には、ひとつひとつのイベントにより、マーケットがどう動くのかを見極めながら、必死で対応するのみです。

2017年は、まず1月6日(金)の「アメリカ雇用統計」に相場がどう反応するかを考えるところからスタートです。その後も1月20日の大統領就任式、1月31日からの米FOMCと、マーケットに大きなインパクトをもたらす可能性の高いイベントが続きます。

トランプ政権下では、マーケットは良くも悪くも、政治の動向に大きく反応しやすいと思います。ですから、トレードのスパンを短くして、できるだけノーポジションでいる時間を長くすることが重要だと考えています。

また、基本的にマーケットは強いので、「売り」から入るトレード(マーケットに逆らうトレード)は控え、「安いところを買う」トレードを中心にするべきだろう、と考えています。

Next: 2017年相場の「次」を読む「カン」を養う方法とは?



相場の「次」を読む「カン」を養う方法とは?

最後に、特に「日本株を中心に売買している」という方に申し上げたいのは、「2017年は、もっと為替相場を観察しましょう」ということです。

1日500兆円ほどの売買が行われる為替相場が持つエネルギーは強大で、当然、マーケット全体に大きな影響を及ぼします

株中心の売買をしているトレーダーは、為替市場の動向に、あまり興味がわかないかもしれませんが、為替相場の観察に力点を置くことで、マーケット全体の動向が、より鮮明に見えるようになります。

そうなれば株取引の精度が上がると同時に、相場の「次」を読む「カン」が養われること請け合いです。

2017年の相場がどうなるか? それは誰にもわかりません。実際のトレードに必要なのは、本稿で述べたような長期予想ではなく、むしろ目の前の相場の動向を観察しながらの短期予想かもしれません。

短期的な相場の見通しについては、僕の無料メルマガ「長谷川雅一のハッピーライフマガジン」に書きますので、ぜひ参考にしてください。

皆様の2017年が、実り多い1年でありますよう、お祈り申し上げます。

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2016年1月3日)

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