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マイホーム購入とアパート投資、本当にハイリスクなのはどちらか?=姫野秀喜

私のところに相談に来られる方に、リスクが怖いから不動産投資ができないと思っている人は多いです。しかし、そういう方の自宅は立派な持ち家だったりします。年収の10倍程度のマンションや一戸建てなど様々ですが、概してアパート1棟よりも高いです。不思議なことに多くの人は、自宅についてはリスクをそれほど感じないみたいなのです。(『1億円大家さん姫ちゃん☆不動産ノウハウ』姫野秀喜)

プロフィール:姫野秀喜(ひめの ひでき)
姫屋不動産コンサルティング(株)代表。1978年生まれ、福岡市出身。九州大学経済学部卒。アクセンチュア(株)で売上3,000億円超え企業の会計・経営計画策定などコンサルティングに従事。合間の不動産投資で資産1億円を達成し独立。年間100件以上行う現地調査の情報と高い問題解決力で、顧客ごとに戦略策定から実行までを一貫してサポートしている。

投資用アパートよりも「自宅」のリスクが高くなる3つのケース

不動産投資にリスクはつきもの

不動産投資にリスクはつきものです。特に築古物件であれば、建物が壊れる心配や、古くて入居者がつかなくなる心配など様々なリスクが存在します。たとえ新築物件だったとしても、それらのリスクがゼロになることはありません

私のところに相談に来られる方にも、リスクが怖いから不動産投資ができないと思っている人は多いです。本人がリスクを恐れている場合もあれば、両親、配偶者、彼女などの身近な人がリスクを恐れている場合もあります。

しかし、そういう方の自宅は立派な持ち家だったりします。年収の10倍程度のマンションや一戸建てなど様々ですが、概してアパート1棟よりも高いです。

不思議なことに多くの人は、自宅についてはリスクをそれほど感じないみたいなのです。不動産投資のリスクは恐れているのですが、アパート1棟よりも高い自宅については、そのリスクを全く恐れていないのです。

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自宅よりも「投資用アパート」の方がリスクは小さい

自宅とアパートだったら、私はアパートの方がリスクは小さいと思っています。その理由は3つです。

  1. 自宅はお金を生み出さないが、アパートは生み出す
  2. 自宅は買うときにリセールバリュー(再販価格)を検討しないが、アパートは考えて購入する
  3. 自宅は賃貸需要を無視して買うが、アパートは賃貸需要を考慮して買う

順に詳しく解説していきましょう。

Next: マイホーム購入が「ハイリスク投資」に化けてしまう理由とは?



1.自宅はお金を生み出さないが、アパートは生み出す

当然ですがアパートは賃貸しますので家賃収入が入ります。それに対して、自宅は自分たちで住むので家賃収入が入りません。

アパートの借金は賃貸収入から支払いますが、自宅の借金はサラリーマンであれば会社からもらう給料で支払います。仮に、病気になって働けなくなったとき、アパートの場合は家賃収入から借金を返済できますが、自宅の借金は会社の給料がなければ支払えません。病気や怪我で給料が出なくなったときに備えて、渡辺直美さんと西島秀俊さんがCMをしている保険に入るとしたら、月々のランニングコストが上がりますね。

つまり病気や怪我で働けなくなったときのリスクアパートの方が低く、自宅の方が高いのです。

2.自宅は買うときにリセールバリュー(再販価格)を検討しないが、アパートは考えて購入する

多くの人はいまだに持ち家は資産だという認識を持っています。

広い意味では間違っていません。しかし、資産は資産でも、どれくらいの金額の資産かということを正しく把握している人は少ないです。多くの人は自宅を3,000万円で購入したら、その自宅が3,000万円の資産だと思っています。

購入価格を資産だと考えているとしたら、それは正しく資産を把握しているとは言えません。正しく自宅の資産価値を把握するということは、実際に売れる金額を把握するということです。

たとえ3,000万円で購入した自宅でも、1,000万円でしか売れないなら、それは1,000万円の資産だということです。そして一部の人気物件を除いて、自宅は買ったときの金額の半分以下の値段でしか売れないこともあります。

ところが投資物件は違います。アパートは買ったときの値段のせいぜい7割~8割程度で売れます(というかそういうものを選んで買います)。

この違いは、買うときにリセールバリュー(再販価格)を考慮して買ったかどうかによって決まるのです。

自宅を買うときは、立地、生活スタイル、設備、住環境、教育、その他、様々な夢や家族の思いを一杯のせて購入します。

アパートを買うときも当然、入居者の生活スタイルや環境、設備なども考慮しますが、それ以上に再度売り出すときの価格、すなわちリセールバリューを考慮します。リセールバリューを考慮して投資をしているアパートであれば、何かお金が必要な時に売却しても大きな損を出すリスクを減らせます。

そういう意味で、リセールバリューを考慮していない自宅の方がリスクは高いと言えます。ちなみに、業者の言いなりで投資物件を買っている人は、リセールバリューなどは考慮していない可能性があるのでご注意下さい。リセールバリューを考慮せずに、アパートを買うということは“投資”ではなく“単なる買い物”をしているだけです。

Next: 万一の「自宅を賃貸」は簡単ではない。リセールバリューを考えておこう



3.自宅は賃貸需要を無視して買うが、アパートは賃貸需要を考慮して買う

当たり前ですが、自宅は住みたいところに買います。たとえ人口が少ないところでも、実家の近くだとか、良い学校の学区だとか、そういう理由で買います。

それに対しアパートは、賃貸需要のある場所に買います(業者の言いなりで畑のど真ん中にアパートを新築したりしなければです)。未来のことはわからないにしても、全く賃貸需要がないような場所には買いません(何度も言いますが、業者の言いなりで行ったこともない地方の物件を買わないという前提です)。

自宅を持っている人は、万一の時に自宅を賃貸してと簡単に考えていますが、賃貸需要を全く考慮せずに買った自宅が簡単に賃貸できるでしょうか?

答えはノーです。特にファミリー向けの住宅地に建てたファミリータイプの間取りの物件は危険です。毎月のローン返済が8万円だからといって、家賃で8万円もらえることはありません。

自分たちが自宅を買うときにどう思ったかを思い出してください。「家賃に毎月8万円も支払うくらいなら自宅を買おう」と思いましたよね。そして家賃8万円で住んでいた便利な都心のマンションから、ちょっと郊外の庭と車庫のついた一戸建てに引っ越しましたよね。

つまりそのエリアは賃貸需要のない、もしくはあっても家賃が8万円にはならないということです。月々8万円のローン支払いがあるのに家賃が5万円だったら大赤字、投資としては大失敗といえます。

「いや、自宅は投資じゃないし」という意見があります。その通りです。まさに自宅は投資ではないのです。だから、いざという時でもなんでも、貸し出すなんて投資的発想はそもそも当てはまらないのです。車を買うときに、いざという時レンタカーにしてローンを支払おうとは考えませんし、高額なパソコンを買うときに、いざという時にリースPCとしてローンを支払おうとは考えません。それと同様です。

一方、アパートは最初から相場家賃を勘案しニーズがある場所を買います。確実に貸し出せることが分かっています。主要都市までの沿線駅からの距離その地域に住む人のニーズを最優先に考えて買います。

そういう点で、賃貸需要があるかどうかのリスク自宅の方が高く、アパートの方が低いということになります。

ということで、自宅とアパートでリスクが高いのはどちらかを考えてみました。もちろん自宅を買うときにリセールバリューをしっかりと考慮して購入されている方もいますので、今日の話はそういう方以外の場合にのみあてはまります。

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1億円大家さん姫ちゃん☆不動産ノウハウ』(2017年2月15日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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