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世界経済の先行きがわかる「銅相場」の正しい見方と注意ポイント=田中徹郎

商品相場をずっと見ていると、世界経済のゆくえがなんとなくわかるときがあります。なかでも、銅などの非鉄金属相場を見ているとよくわかります。相場は一年ほど先を見越して動くといわれますが、現在の非鉄金属相場は少なくとも「今年一杯は世界経済が順調に拡大する」と見ていることになります。(『一緒に歩もう!小富豪への道』田中徹郎)

プロフィール:田中徹郎(たなか てつろう)
(株)銀座なみきFP事務所代表、ファイナンシャルプランナー、認定テクニカルアナリスト。1961年神戸生まれ。神戸大学経営学部卒業後、三洋電機入社。本社財務部勤務を経て、1990年ソニー入社。主にマーケティング畑を歩む。2004年に同社退社後、ソニー生命を経て独立。

非鉄金属相場は「今年一杯、世界経済が順調に拡大する」と見ている

世界経済の動向を予見する銅価格

商品相場をずっと見ていると、世界経済のゆくえがなんとなくわかるときがあります。なかでも、非鉄金属相場を見ているとよくわかります。

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銅・アルミ・亜鉛などの非鉄金属は、住宅・鉄道・自動車から電線まで私たちの生活に幅広く使われています。ですので、世界の経済活動が活発に動き始めると、需要が高まります。

その傾向が最も顕著なのは「」でしょう。

銅は、送電線・屋内配線・鉄道から自動車まで幅広くしかも大量に使われますので、非鉄金属の中でもより世界経済との連動性が高いとされています。また、商品相場は先を読みますので、銅価格の値動は世界経済の動向を予見するとも言われます。銅が「ドクター・コッパー」と呼ばれるのは、このような理由からです。

Copper先物(COMEX)月足(SBI証券提供)

経済動向と無関係な「供給変動」に注意せよ

ただし、銅だけを見ておくのは、やや危うい部分があります。なぜなら、供給サイドの問題があるからです。例えば、実際に今年に入ってチリの銅鉱山で大規模なストライキがあり、年初から銅の供給は減っています。これが現在の銅相場の上昇に寄与しているのは、間違いありません。

このように世界経済の動向とは無関係に「供給側の理由」で相場が揺れることもありますので、その点も考慮に入れておく必要があります。

一時的な供給変動の影響を薄めるためには、銅だけでなくアルミや亜鉛など、非鉄金属全体を見ておくという手法が有効でしょう。僕がよく使うのは「Power Shares DB Basemetals」という銘柄(ニューヨーク市場に上場するETF)で、銅・アルミ・亜鉛を1/3ずつ組み入れています。証券コード(ティッカー)はDBBですので、興味ある方はご覧ください。

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足元の非鉄金属相場は、世界経済の先行きを楽観的に見ている

ではこのDBB最近の値動きはどうなのでしょう。

直近のピークは2011年につけた25ドルで、そこからダラダラと下げ続け、2015年央には一株11ドル台まで下げました。ただし、そこからは上昇に転じ、直近は一株16ドル台半ばまで値を戻しています。

私たちは、この値動きから何を知ることができるのでしょう。

まず2011年から2015年央にかけての下げですが、実はこの間日米欧の中央銀行は紙幣を刷り続けていました。本来供給されたマネーは商品相場に流れ込みやすく、従ってこの間は逆に商品相場は上がっていても不思議ではありませんでした。にも関わらずこの間下げ続けたのは、

・世界経済の停滞観測→商品相場からおカネの流出

このような下げ圧力が強くかかったのではないかと僕は思います。

振り返れば、この間よく「長期停滞論(※世界経済の成長性が長期にわたり低下する、という理論で僕も共感する部分があります)」を耳にしましたし、中国経済の成長がみるみる低下したのも、この時期とちょうど重なります。

逆に2015年央から現在に至る上昇

・世界経済の回復→非鉄金属の需要拡大観測

という流れによるものではないかと思います。

もしこの理解が正しければどうでしょう。非鉄金属相場は一昨年からすでに世界経済の先行きを楽観しはじめ、いまでもその流れは止まっていないと言ってよいでしょう。

相場は一年ほど先を見越して動くといわれますので、非鉄金属相場は少なくとも「今年一杯は世界経済が順調に拡大する」と見ていることになります。

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一緒に歩もう!小富豪への道』(2017年2月15日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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