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コストゼロの株を持て!「株価2倍で半分売る最強投資法」成功の条件=山田健彦

「コストゼロの株」を作るのは、投資の王道かつ最強の方法です。今回はその具体的な方法について、いくつかの銘柄を例にシミュレーションを交えて解説します。(『資産1億円への道』山田健彦)

成功の秘訣は「時間分散」。リクルートやクックパッドを例に解説

株価の上下が気にならない「最強の投資法」

今回は「コストゼロの株を持つ方法」について解説します。ずばりその方法とは、「株価が2倍以上になったら、半分売却して投資資金を回収してしまう」ということです。

投資資金は回収しているので、株価の上下に気を揉む必要がなくなります。極端な話、株価がゼロとなっても、損はしません。配当を出している銘柄であれば、コストゼロどころか、コストはマイナスにもなります。また、コストゼロの株は放ったらかしにしておけます。そして気がついたら、10倍20倍になっていたりするのです。

筆者の保有するある銘柄は、この方法で現在20倍近くに上昇しています。最盛期には25倍近くまで行きました。少し下がったのは残念といえば残念ですが、コストはゼロなので、ほとんど気にしていません

コストゼロの株を作るのは投資の王道であり、かつ最強の方法だと思います。今回は、その具体的な方法について説明します。秘訣は「時間を味方につける」です。

まずは、投資理論の基本中の基本「分散投資」について説明します。

投資理論の基本「分散投資」

投資理論の中で有名なのは、「分散投資」という考え方です。

卵は1つの籠に盛るな」と言われますが、卵は壊れやすいので、運ぶ際には1つの籠にたくさん入れてはいけない、という教えです。

実際の投資でも、1つの銘柄、商品に集中投資するとリスクが高いので、分散投資が大切というのはずっと言われてきました。

日本においても、預貯金・土地・株式の3つに分散して投資する「財産三分法」が昔から有名です。

我が国がまだ高度経済成長期のころに、投資の神様と呼ばれた直木賞作家の故・邱永漢先生が、経済誌や投資系の雑誌で紹介されていた方法です。

まだ日本経済が活況を帯びていた頃の話ですが、邱先生は資産を、

それぞれ3分の1ずつ振り分けて運用していました。

すると、現預金はインフレで実質価値は目減り、有価証券投資は損をすることもあって安定はしていないが、総体的に見ると利益が出ている。そして不動産投資は安定して大きく利益が出た、とのことです。

そこからこの「財産三分法」を提唱されたのですが、バブル崩壊後に不動産価格が10分の1くらいまで下落したのをみて、邱先生は「高度経済成長期には不動産投資が有力だが、低成長、人口減の状況では有力な投資先ではない」と指摘しました。やはり三分法といっても、その3つを何にするかは、その国の経済状況によって変わってくるのです。

この三分法に新たに入ってくる商品の候補は、現預金有価証券投資以外に、FX仮想通貨アンティーク・コイン古美術品などでしょうか。

昔ながらのプラチナ等の貴金属も依然として根強い人気がありますし、少し前はビンテージ・ワインなども人気がありました。これらは、異なる商品にお金を振り分けるので、「ヨコの分散投資」といわれます。

その他にも「国際(地域)分散」「通貨分散」という考え方もあります。

では、実際に「コストゼロの株」を作り出す、「時間分散」について説明します。

Next: コストゼロの株は「時間分散」で作り出せる!



「時間分散」でコストをゼロにする

コストゼロの株を持つための方法は「時間分散」をすることです。

異なる商品に投資資金を分散する「ヨコの分散投資」に対して、1つの商品に集中投資はしますが、投資するタイミングを分散させるので、「タテの分散投資」と呼ばれます。時間分散の代表的な例は、「ドルコスト平均法」というものです。

ドルコスト平均法は、「定期・定額購入法」とも呼ばれ、ある一定の期間毎に、継続して一定額ずつ商品を購入する投資方法です。例えば、毎月10日に、1回につき2万円で、ある銘柄を継続して購入し続けるというものです。

この方法により、中長期で平均購入コストを引き下げることができます。さらにこの方法で、コストゼロの資産を持つこともできます。

私のブログに、いくつかの例を挙げておきました。まずはセブン&アイ・ホールディングス<3382>です。

こちらでは、「2011年10月を起点として毎月、月初の始値で3万円ずつ同社の株式を購入した」としてシミュレーションしました。セブン&アイ・ホールディングスの株は100株単位で取引されていますが、証券会社で提供している「ミニ株(証券会社により名称が異なりますが、1株から売買できる制度)」を利用して取引をします。2011年10月の月初の始値の株価は、2141円なので、3万円では14株買えます。一方、株価が上昇した2013年5月は、株価3770なので予算3万円の範囲では7株しか買えません。

このように、ドルコスト平均法では、株価が安いときはより多く、高いときはより少なく株式を購入していきます。その結果、投資開始日から約2年3ヶ月経った2014年1月の時点では、

となりました(※証券会社に支払う手数料は考慮していませんが、この間に配当も出ているので、実際の投資額は80万4830円よりは少なくなるはずです)。

ここで192株を売却すると、80万6400円(4200円×192株)のお金が返ってくるので、残りの108株はコストゼロの株式となります。

キャピタルゲインが出ているので、税金が課され、厳密にはコストゼロにはなりません。しかし、この108株をそのまま持っていれば、配当でさらにコストは下がっていきます。

ブログではその他に、毎月3万円で伊藤忠商事<8001>リクルート<6098>を購入した場合のシミュレーションも行っています。

共に100株を超えるコストゼロの株を目指すとすると、伊藤忠の場合は、2011年10月スタートで1年4ヶ月で達成。リクルートの場合は2014年10月スタートで2年3ヶ月で達成しています。

このドルコスト平均法ですが、株価の動向によってはなかなかコストゼロの株を作れないことがあります。次項では、どのような場合にこの方法が有効で、どのような場合に効果が期待薄なのかについて解説していきます。

Next: 「ドルコスト平均法」が使える銘柄、使えない銘柄



「ドルコスト平均法」が使える銘柄、使えない銘柄

ドルコスト平均法に向かないものは、株価が長期下落トレンドにあり、依然として反転の兆候がみえないものです。

例えば、クックパッド<2193>です。同社は料理レシピ専門サイト最大手ですが、創業者と2代目社長の経営方針を巡る内紛が明るみの出たのが2016年1月。株価はその前の月に2,808円の最高値を付け、月足ベースでみるとそこから一貫して下落しています。2015年12月からドルコスト平均法で積立をしたシミュレーションでは、ほぼ2年経過した今でも、コストゼロの株は1株もできていません。これもブログの方に、シミュレーション結果と同社の過去2年間の月足チャートを5、25、75ヶ月移動平均と共に載せておきました。

株価が底練りから反騰しているものは?

株価が底練りを続けて反騰しているものはどうでしょうか。例としてノリタケ<5331>を見てみましょう。同社は一般的には世界的な高級陶磁器食器メーカーとして有名ですが、今ではそのセラミックスに関連する技術を核として、自動車・鉄鋼などの基幹産業から、電子部品や素材に至るまで、幅広い分野に事業を展開しています。

直近のデータでは食器部門の売上は売上全体の9%しかなく、工業機材売上が売上全体の52%、セラミック・マテリアルが26%、エンジニアリングが13%となっています。ちなみに食器部門は営業赤字です。こちらもブログの方に、シミュレーション結果を同社の過去2年間の月足チャートと5、25、75ヶ月移動平均と共に載せておきました。

こちらは底練りを続けていた2015年12月から積立を始めた場合と、底から反騰してきたのを見極めて2017年1月から積立を始めた場合とに分けて、載せてあります。移動平均線は、5、25、75ヶ月移動平均です。

前者の底練りを続けていた2015年12月から積立を始めた場合では、毎月の予算3万円で22ヶ月後に110株のコストゼロの株ができています。

一方、後者の反騰確認をした2017年1月からの積立の場合、10ヶ月後の直近2017年11月段階では29株のコストゼロの株ができています。積立をスタートしてから、まだ1年を経ていないので、単位株(100株)を超えるコストゼロの株ができないのは仕方がありません。底練り状態からのスタートで29株を超えるコストゼロの株ができるのは18ヶ月後なので、やはり反騰を確認してからの投資のほうが効率は良いようです。

Next: どうやって株価の底入れを確認する?



株価の底入れを確認する方法

では、どのようにして株価の底入れを確認するのでしょうか。

さまざまな方法があると思いますが、筆者は10年の月足チャートを手かがりとして確認しています。なぜ10年かというと、筆者の使用しているネット証券のチャートが最大限で過去10年しか出てこないからです(笑)。でも、そのくらいあれば十分です。10年の月足チャートで、移動平均線は5、25、75ヶ月線で見ています。

底値を示すサインとして筆者が重視しているのは、株価の上昇とともに、5ヶ月移動平均線が下向きから上向きに転じ、25ヶ月、75ヶ月移動平均線が下向きからほぼ横向きになり、25ヶ月移動平均線が75ヶ月移動平均線を下から上に突き抜けた後、出来高を伴い株価が陽線を付けて25ヶ月移動平均を抜けたところで、打診買い。

このような所では、25ヶ月と75ヶ月移動平均のゴールデンクロス以外にもMACD、一目均衡表など他のテクニカル指標でも買いサインが出ているはずです。そして株価が75ヶ月移動平均を抜けたところで、追撃買いといったイメージです。

同じくノリタケ<5331>の例で、10年の月足チャートを使い解説しているので、ご参照ください。

ところでチャートを見れば分かるように、底値を確認した後、株価がグングン上昇しています。このような場合は、ドルコスト平均法を途中で変更して思い切って、単位株で買っていく、というのも1つの手です。

無配当の銘柄は除外しよう

コストゼロの株作戦では、配当があるもの(それも高配当の銘柄)を狙いたいものです。

理由は、もし無配の銘柄だと、株価の上昇しか楽しみがないからです。配当のある銘柄なら、定期的に配当収入が入ってきます。100万円を定期預金に入れても、1年後の利息は100円にもなりません。しかもその100万円は1年間拘束され、動かせません。

コストゼロの株なら、計算上、利回りは無限大です。

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<まとめ>

結論としては、長期上昇傾向にあり、配当を継続して支払っている銘柄に的を絞っていくことが良いのでは、と思います。

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資産1億円への道』(2017年10月26日, 11月13日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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