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居酒屋も禁煙へ。進むタバコ規制の中で「JT株」が輝きを増す理由=八木翼

飲食店を2019年9月までに原則禁煙とする健康増進法改正案が検討されるなど、喫煙者の肩身がますます狭くなっていく昨今。タバコを吸う人が減り続け、JTは苦境に立たされているように見えます。しかしこの企業、実は海外展開に積極的で、日本の売上よりも海外の売上の方が圧倒的に大きいのです。さてさて、今後JTはどうなっていくのでしょうか?(『バフェットの眼(有料版)』八木翼)

会社名:日本たばこ産業<2914>
現在株価:3,805円(2017年2月24日終値)

※『バフェットの眼(有料版)』では、読者からのリクエストも踏まえ、毎号さまざまな企業を詳しく分析しています。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

JT(日本たばこ産業)の企業価値をバフェット流12の視点で分析

喫煙者の減少が続くなか、JTは成長できるのか

JTは実は海外展開に積極的で、日本の売上よりも海外の売上の方が圧倒的に大きい企業です。今後JTはどうなっていくのでしょうか? 個人的には素晴らしい企業だと思っており、既に株を保有していますが、買い増すべきなのか?考えてみたいと思います。

Q1:その企業は消費者独占力を持っているか

日本での売上高シェア59.9%(2015年)。世界での売上シェアのはっきりした数値は出ていませんが、2014年時点で第3位となっています。

これだけ世界に進出できている会社は、世界にそうそうないでしょう。たばこ愛好者は、自分の吸うたばこに深い愛着を持ちます。消費者独占力を持っているのは間違いありません。

Q2:その企業を理解しているか

売上を見てみましょう。

2014年(単位:億円)
全体売上 :24,335(100%)
国内たばこ:6,859(28.1%)
海外たばこ:13,280(54.5%)
医薬事業 :658(2.7%)
飲料事業 :1,813(7.5%)
加工食品 :1,612(6.6%)

こう見ると、一目瞭然ですが、海外たばこ産業が売上の多くを占めていますね。グローバルの視点で見れば、これだけ海外に進出している企業は珍しいです。

Q3:その企業の製品・サービスは20年後も陳腐かしていないか

ここは少し怖いところですね。タバコの利用者は明らかに減っていますので、絶対になくなっていないなんてことは言えません。今後日本で、回復していくことは難しいでしょう。

ところが世界での喫煙者数は、実は増加し続けています。1980年の7億2100万人が、2012年は9億6700万人になっています。10億人は超えそうです。そう考えれば、海外でのシェアもあるので、まだまだ成長余地があると言ってもいいでしょう。

現在、JTは世界第3位と言われています。積極的なM&Aを武器に、たばこ業界で確固たる地位を築いています。

今思えば、これほどブランドが重視されている業界を私は知りません。健康への害が懸念されていますが、それでも根強い人気を持っているのは、ブランドが確立されているからです。

今後も安定した推移が期待できます。そして、矛盾することを言うようで恐縮ですが、なんといっても期待されていないのがいいですね(笑)。

また、現在は、電子タバコの普及が確実視されています。体内に含むと有害とされる物質の一つであるタール部分がなくなったため、吸いやすく、以前よりも健康的になっています。

そう考えれば、今後、タバコは健康的なものへとシフトする可能性すら秘めているのです。ある意味、期待できます。既にそういったタバコも存在するようです。今後に期待ですね。

Next: 日本の企業とは思えないJTの好業績、その秘密とは?



Q4:その企業はコングロマリットか

たばこ事業がメインであり、コングロマリットではありませんね。

Q5:その企業の1株当たり利益(EPS)は安定成長しているか

これは本当に素晴らしいですよ。日本の企業とは思えない業績です。

何がすごいって、見事なまでのM&A戦略です。恐れ入ります…。ちなみに2009年の純利益の減少は、のれんの消却のためです。今振り返れば、しっかりとシナジー効果を発揮していますので、全く無駄な支出ではありませんでした。ここら辺に、JTの実力が見えます。

決算年 EPS(円/株) 前年比成長率
2015 271 35.5
2014 200 -15.2
2013 235 30.7
2012 180 7.2
2011 168 32.2
2010 127 97.3
2009 64 -48.3
2008 125 13.3
2007 110 4.8
2006 105

年平均EPS成長率:9.9%

Q6:その企業は安定的に高いROE(株主資本利益率)をあげているか

決算年 ROE
2015 19%
2014 14%
2013 20%
2012 20%
2011 20%
2010 15%
2009 9%
2008 9%
2007 7%
2006 12%

平均ROE:14.6%

高いです。そして何より安定していますね。JTは今後も海外事業が伸びる可能性が高いうえに、堅調ですね。

Next: 気になる「JT」の財務基盤をチェックして分かること



Q7:その企業は強固な財務基盤を有しているか

すぐ返せます。まったく問題ありませんね。

今期の長期負債(億円):10
今期の税引き後利益(百万):866
長期負債/税引後利益(年):0.01

Q8:その企業は自社株買い戻しに積極的か

株式の希薄化などは行っていますが、全く買い戻しはしていません。ただし、この成長力を見ると、自社株に使うよりも、他に投資したほうが儲かるという算段のもと、動いていると思います。そして、それが功を奏しています。素晴らしいですね。

と思っていたら、コチラの記事が(笑)。

※参考:JT、3600万株・1000億円上限に自社株買いを決議 – REUTERS(2015年2月5日)

自社株買いという選択肢も入れられるなら、より素晴らしいと思います。

Q9:その企業の製品・サービス価格の上昇はインフレ率を上回っているか

いやー、ずっと上げていますね。完全に上回っています。素晴らしいブランド力。商品力です。

Q10:その企業の株価は、相場全体の下落や景気後退、一時的な経営問題などのために下落しているか

PER:16.9倍

安いですね。個人的には既に買い増ししています。安定感のある良い株式だと思いますし、今後の発展途上国需要も十分検討できます。

Q11:株式の利回りと利益の予想成長率を計算し、国債利回りと比較せよ

有料版にて公開しております。
http://www.mag2.com/m/0001595741.html

Q12:株式を疑似債券と考え、期待収益率を計算せよ

有料版にて公開しております。
http://www.mag2.com/m/0001595741.html

まとめ

それにしてもタバコの未来は気になりますよね。タバコがもし
・吸えば吸うほど健康になる
・医薬品の新しい摂取の形

となっていけば、今後ますます需要の拡大が見込めます。私は全然、悲観的ではありません。
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※本記事は、『バフェットの眼(有料版)』2017年2月27日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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バフェットの眼(有料版)』2017年2月27日号より抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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