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9月総裁選は安倍vs麻生に? 政争の具にされた日銀人事=藤井まり子

安倍首相は9月の総裁選を前に、財務省をはじめとする守旧派の「麻生担ぎ」の動きを封じ込めたかったと言われています。そのための「黒田日銀総裁続投」なのです。(『資産形成・マクロ金融deあそぼ♪ − 貞子ちゃんの連れ連れ日記』藤井まり子)

※本記事は有料メルマガ『資産形成・マクロ金融deあそぼ♪ − 貞子ちゃんの連れ連れ日記』2018年3月6日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

黒田続投は安倍首相の苦肉の策?背景にある守旧派と改革派の争い

麻生太郎氏、9月総裁選への出馬を画策していた?

とても悲しいことに、この日本では「日本銀行の人事」が「政争の具」に使われてしまっているようです。

日本株式市場では、力強い上昇気流に乗るのは、もしかしたらひょっとすると、9月以降となるかもしれません。「9月の総裁選」で、安倍首相が自らの権力基盤を再び揺るぎないものするまでは、日本株式市場は再び「ぱっとしない状態」「悪くはないけれども、とても良いわけではない状態」に足踏み・後戻りするかもしれません。

もちろん、その前に「教育無償化」「消費税増税は無し」をかけての「国民投票」が実施されれば話は別。その時こそは、日本株式市場は沸騰し始めることでしょう。

すなわち、「国民投票」の時期が後ずれするような事態が起きれば、9月までは、日本銀行の金融政策は現状維持で、外人から眺めれば「日銀は出口に向かいたいのか? 向かいたくないのか?」はっきりしない状態が続くのではないでしょうか。

9月までは、日銀の金融政策は「外人から見たら、2%インフレ目標を真剣に目指しているのか? 現状の1%インフレで満足しているのか?」はっきりしない状態が続くかもしれません。

9月の総裁選が終わるまでは、黒田日銀の金融緩和策は「玉虫色の現状維持」を継続するかもしれません。

なぜならば、麻生財務大臣が、今年に入ってから、9月の総裁選出馬に色気を出し始めているようなのです。

明確になった「守旧派と改革派の勢力図」

言わずと知れた麻生財務大臣は、消費税・増税論者にして財政再建論者です。しかも円高論者で、金融引き締め論者です。

麻生氏の後ろには、「緊縮と増税と不況が大好きな日本財務省」が控えています。麻生氏は、守旧派なんです。今の日本財務省は、国益よりも省益を優先させる「だらしない省庁」に成り下がっているようです。

日本国内の「守旧派と改革派の勢力図」が混戦状態から脱して、だんだん明瞭になってきています。2月16日の日銀人事で明瞭になってきたというべきなのか…。

日本のコア消費者物価指数の上昇率が0.9%まで上昇してきたので、かえって、こういった「守旧派と改革派」の区別がしやすくなったのかもしれません。

Next: 財務省が主導する守旧派。彼らが「日本の失われた25年」を作った…



「日本の失われた25年」を作りあげた守旧派の面々

「守旧派 vs. 改革派」という対立軸で眺めるならば、守旧派は、日本財務省をはじめとする増税派です。「1%インフレで十分だとする人々」で、金融引き締め派です。

この守旧派には、財務省に洗脳された守旧派の政治家(麻生氏や野田聖子氏や石破氏などなど)や、大手新聞社、経済連などの大企業の経営陣も含まれます。もちろん、大手都市銀行も地銀も、この系列のシンクタンクやエコノミストたちも、こういった守旧派です。

さすがに、日本国内のシンクタンクや著名エコノミストたちが「日銀、出口近し」と大きな声で唱えれば、それが間違っている内容だとしても、AIを駆使したCTAヘッジファンドの一部は、「円買い日本株売り」トレードを行ってしまうわけです。人工知能は「悪い人間がついているウソ」は見破れないのです。

もちろん、金融緩和の出口を急ぐ日銀幹部もこういった守旧派です。「長期金利目標を引き上げよう」と言っているような日銀幹部も、それを支持するエコノミストも大新聞も、日本財務省の「差し金」なのです。

彼らは一人一人はエリートなんです。偏差値も高いし高学歴なのです。会ってみると、とても好感度の高い気さくな人だったりします。

が、この日本では、高学歴の人々が大勢終結すると、なぜか「腰が抜けそうなくらいのアンポンタン」になることが多いのです。それは歴史が証明しています。彼ら高学歴エリートたちは、終結すると「日本経済が駄目になるように、駄目になるように」行動してしまうのです。

こういった守旧派こそが「日本の失われた25年」をつくり上げてきた戦犯です。

守旧派は「自分たちだけ逃げ切ればいい」という考え

「失われた25年」は当メルマガで幾度も取り上げてきましたが、人災だったんです。もう病気なんです。中世で言えば、「天動説」を信じる人々です。

守旧派を支持する人々は、「自分の世代だけでもいいから逃げ切ろうとする人々」です。「日本経済の将来がどうなっても構わない。デフレ脱却できなくても構わない。インフレは1%くらいで十分だ」といった人々です。足し算掛け算は得意なんだけど、高等数学ができない…。どういうわけか、ケインズ経済学が苦手。

もちろん、一般に人々でも、地方都市の年金生活者や、いや都市部の年金生活者でさえも、「景気が良くなってインフレになるのは嫌だ」「物価が上がるのは嫌だから不況のほうが良い」と、はっきりと言う人は多いです。

彼らは「(年金財源が足りなくなるのは嫌だから)不況に後戻りしてもよいから消費税も上げてほしい」という人々です。けれども、増税してデフレに後戻りしたならば、年金財源こそが真っ先に狙われ、「マクロ経済スライド制で年金は減額される」のです。

しかし、彼ら年金生活者はこういった「仕組み」がよくわからないんです。厚労省にすぐ騙されてしまいます。そういう人々が、日本の守旧派を支持していたりします。

Next: 守旧派・麻生氏を封じ込めるのための「黒田日銀続投」か?



安倍首相が率いる「改革派」

これに対して、改革派は、安倍首相が率いています。彼ら安倍首相率いる「2%インフレ目標」派は、国内では「守旧派」から「リフレ派」と蔑称されている人々です。

彼らリフレ派は、グローバル基準で眺めると「普通に金融理論が理解できている人々」です。中世で言えば「地動説」を信じられる人々です。

安倍首相を筆頭とするリフレ派は、自分でリスクを取って生きている中小企業経営者たちや将来の若者たちが支持者です。

彼らは、日本経済をもう一度「普通の国」へと取り戻して、再び景気を普通によくしたい、デフレから脱却したい、普通に幸せになりたいと願う人々です。

麻生氏封じ込めのための「黒田日銀続投」?

安倍首相は、この「守旧派・麻生氏の総裁選出馬」を封じ込めるために、今回2月16日の日銀人事(黒田続投・若田部副総裁誕生)で日本財務省に「花を持たせた」と言われています。

今、本田悦郎氏が日銀総裁として誕生すると、速攻で円安になります(やがて、日本の景気が普通に良くなって、日本国内でも長期金利が普通に上昇し始めてしまいます。守旧派はそうなると困る人々が多いのです。すると、地銀などの国内金融機関が日本国債運用でも再び多大な評価損を抱えてしまうかもしれません)。

一部の産業のない地方都市は、ガソリン価格上昇などで再び円安不況に苦しむかもしれません。守旧派をそこまで追い詰めると、麻生財務大臣を次期首相に担ぎ出そうとする「財務省をはじめとする守旧派」が勢いを増してしまうかもしれません。

今の安倍首相にとっては、守旧派をそこまで追い詰めてしまうのは、今は得策ではないのです。

憲法改正までは、あるいは、9月の総裁選が無事終わるまでは、安倍首相は守旧派を追い詰めないのが得策なのです。

安倍首相は、9月総裁選の前には、こういった「麻生担ぎ」の動きを封じ込めたかったと言われています。そのための「黒田日銀総裁続投」だったようです。

Next: 安倍首相が直前まで悩んだ「日銀人事」。今後の景気にどう影響する?



発表前日まで悩んだ安倍首相

実は、安倍首相は2月16日の「黒田続投」発表の前日まで、日銀人事の決断を迷いに迷ったと言われています。

黒田氏本人の言葉によれば、「黒田氏に政権側から続投の依頼」があったのは、前日の2月15日だったようです。前日まで、安倍首相は、「黒田か?本田か?」で、迷ったわけです。

けれども、安倍首相は、麻生封じ込めのために、黒田続投に甘んじたというわけです。

日銀人事が経済状態ではなく政争で決まるなんて、「なんだかな~」という感じなんですが…。それが「日本経済の現実」なのです。

9月以降、日本の金融政策が大きく変わる可能性がある

というわけで、安倍首相が黒田日銀をびしばし締め上げるのは、9月以降になるのではないのか? 日本の金融政策や財政政策が大きく変わるのは、秋以降かもしれません。

2018年半ばから2019年初めにかけては、「国民投票」も行われる可能性が断然高いです。「教育無償化」「消費税増税は無し」の憲法改正ともなれば、日本経済は再び沸騰することでしょう。

それまでは、日本株式市場は「気迷い相場」「乱高下」が継続することでしょう。

日経平均が2万1,000円あたりになるたびに、買い増していけばよいのではないでしょうか。日経平均は下がってもせいぜい2万0,500円あたりでしょう。

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トランプ大統領の「政治ショー」再び

4月(?)までは需給の良くない日本株式市場

4月の日本株式市場は上昇する


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資産形成・マクロ金融deあそぼ♪ − 貞子ちゃんの連れ連れ日記』(2018年3月6日号)より一部抜粋、再構成
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