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海外勢がドン引きする「森友スキャンダル」。さらなる日本売りも=今市太郎

国内ではすっかり幕引きになってしまったかのような森友問題。しかし海外勢はまったく納得しておらず、日本株を買う動きはこのまま示現しない可能性もあります。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)

※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2018年4月3日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。

なぜ誰も責任を取らない? 海外投資家の疑念は払拭されていない

海外投資家に不信感が膨らむ

国内ではすっかり幕引きになってしまったかのような森友問題。佐川・元国税庁長官が国会の承認喚問に登場するもわけがわからない内容でしたが、政権と自民党はこれで一定の禊が済んだと思いこんでいるようです。

しかし、どうも海外の投資ファンドなどをはじめとする投資家は、この問題への疑惑の念をまったく払拭できていない模様。新年度入りした相場に、さらに悪影響を与える可能性がではじめています。

いかがわしさ満載で、欧米人には理解できない

そもそもこの森友事件というのは、「忖度」などというきわめてインタンジブル(無形)な役人の配慮が絡む話であり、それが随所に登場している点はきわめて深刻で、欧米人にはいくら説明してもまったく理解できない内容です(国内の人間が見ていてもよくわからない内容ですが)。

しかも、国会に呼ばれた人間がほとんどの質問に対して「刑事訴追の可能性があるので回答できない」と言い切り、その後も司法当局から逮捕されるわけでもなく、誰も責任を取らないし処罰もされないという状況。これは60年代あたりの発展途上国における、為政者絡みの混沌とした状態を彷彿させるものです。

日本市場を嫌気するのは当然

このような状況では、企業業績が多少上向こうがPERが安かろうが、海外投資家が日本への資金投入を躊躇することは間違いないでしょう。

現実に、私が仕事上で付き合っているM&A系の投資ファンドでも、「なぜこういうことが日本では許されるのか?」とかなりの質問攻めにあう始末。政治スキャンダルを特に嫌がる海外の投資家にとっては、現状でも十分に嫌気していることが理解できます。

首相の名前を使ってアベノミクスと呼んでいるから「安倍首相が退陣したら危ない」などという稚拙な理解とは異なる、深層的な状況把握が進んでいることを強く感じる次第です。

Next: ゴールドマンが日本株の見通しを下方修正。海外投資家の売りは止まらない



ゴールドマンは日本の株式見通しを下方修正

ゴールドマン・サックスは、向こう3か月の日本のTOPIXの株価ターゲットを5.6%下げて1700とする見通しを発表しました。

当然、こうした弱気見通しの背景には、森友をはじめとする安倍内閣の政治的な混沌が理由となっていることを暗に示唆しています。

2018年のカレンダーイヤーにおける第1四半期、海外投資家は実に8.2兆円ほどの資金を日本の株式市場から売って資金の大幅な引き上げを行っています。

国内の金融機関の分析では、一旦の日本株の売りは終息したとの見方もあります。ですが、まだまだここからの動きは買いに転換したとは言い難く、安倍政権の不安定性がさらに日本売りを加速する可能性は十分に残されていると言えます。

日経平均株価 日足(SBI証券提供)

トランプ・森友起因の相場暴落も起こりうる

なにより米国の株式市場はトランプがAmazonを猛攻撃しはじめたことから、IT株全般で非常に株価が振るわなくなってきており、ややもすればトランプ起因の相場暴落さえ起こりかねない不穏な状況です。

NYダウ 日足(SBI証券提供)

足元では米国の10年債金利の上昇が一服していることから、いきなりNYダウやNASDAQが暴落することはないとは思います。

しかし、対外的な要因だけでも決して日本株に追い風は吹いていませんから、森友問題起因で日本売りから相場がさらに下押しするリスクについては、常に考えておく必要がありそうです。

Next: 国内の市場関係者は楽観しすぎか。ドル円の動きにも目が離せない



ドル円は下落に素直についていく

ドル円に関しては、日米の株価の下落には比較的素直についていく傾向が非常に強まっています。

米ドル/円 日足(SBI証券提供)

ですから、どちらの株価が先にせよ、下落幅が大きくなれば自動的に下値を追うことになるので、米国10年債利回りとともに株価の動向にも目を光らせながら取引することが必要になりそうです。

新年度早々すっきりとしたスタートダッシュが実現できればいいのですが、足元の相場はどうもそうではないようです。

本邦の市場関係者が口にする「森友問題は一旦相場に影響を与えなくなっている」という見方が本当に正しいのかどうか。そうとは決して言いきれない状況にあることも、しっかりと認識しておくべきでしょう。


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・海外勢は森友スキャンダルを想像以上に嫌気している~さらなる日本売りも(4/3)
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今市太郎の戦略的FX投資』(2018年4月3日号)より抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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