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小池都知事が、どさくさまぎれに成立させた「東京都迷惑防止条例」の危険性

ほとんど注目されていませんが、小池都知事が「東京都迷惑防止条例」を改正しました。真っ当な政治批判や抗議デモも「犯罪」と判断される危険を孕んでいます。(『らぽーる・マガジン』)

※本記事は、『らぽーる・マガジン』 2018年4月9日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

「盗撮」「つきまとい」の防止を強化。一見、改善に見えるが…

反対運動が繰り広げられている

ほとんど注目されていないものですが。小池東京都知事は、「東京都迷惑防止条例」を改正しました。

森友問題で、総理官邸前や大阪府庁前で抗議のデモが行われていますが、この東京都迷惑防止条例改正においても、改正反対の運動が繰り広げられています。

改正の目的は、規制対象の拡大です。

3月22日、都議会の警察・消防委員会では、約40人いた傍聴席から「都民の代表ならもう少しじっくり考えて」「最低だ」などと怒号が飛び交う中で、共産党を除く会派の賛成多数で可決されました。

審議は3日間、合計約3時間での可決です。

この日の夕方には、都庁前で70人ほどの抗議活動が見られ、ネット上でも署名運動が起きています。

東京都迷惑防止条例とは

東京都迷惑防止条例は1962年に制定され、はじめは、繁華街で迷惑行為を重ねる愚連隊などを取り締まることが目的でした。

その後、何度か改正されて、現在の条例には盗撮行為痴漢行為も規制する内容も盛り込まれています。

恋愛感情に基づく嫌がらせ行為を禁じているストーカー規制法とは異なり、恨みやねたみなど「悪意の感情」による行為などを規制していると言えます。

2つの改正ポイント

改正ポイントは2つあり、「盗撮」と「つきまとい」の防止をさらに強化するというものです。

このうち、抗議運動が起こっているのは「つきまとい行為等の禁止」についてです。

これまでは、次の4つが具体的な規制の対象でした。

それが今回の改正で、次の3つの行為を新たに加えることになりました。

電話やファクスを想定していた「連続電話」にメールやSNSを追加し、「つきまとい」の定義も、住宅周辺での待ち伏せや見張りなどに加えて「みだりにうろつくこと」も新たに禁じることになりました。

Next: 警察が「悪意」を勝手に決めつける? 改正でどんな問題が生じるのか



政治批判が犯罪になることも

これに対し、反対の意見書を出した弁護士団体「自由法曹団東京支部」などは、「名誉を害する事項を告げる」や「監視していると告げる」などの規制対象の拡大は、市民が国会前や路上、SNSで国会議員の批判をすることや、報道活動を規制することにつながるなどと批判しています。

東京都知事選挙にも立候補経験がある宇都宮弁護士は「国会で森友問題が騒がれているタイミングで、東京都はこっそりと条例改悪しようとしている」と指摘し、森友学園問題での抗議デモも、条例が改定されれば警察の恣意的判断で取り締まられる可能性があると訴えています。

次の2点が、宇都宮弁護士の主張です。

悪意の感情などは内面の問題であるのに、警察の恣意的判断に委ねられてしまうことが問題だとしています。

「つきまとい」に関する解釈の拡大は、記者の張り込み取材が規制対象になる恐れがあるというのも反対者は訴えています。

なぜ小池都知事は改正を急いだのか?

このような反対者の解釈が出てくる改正を、審議3日間、合計約3時間の議論で決めていいのかという疑問は確かに残ります。

なぜ小池都知事はこの改正を急ぐのでしょう。

日刊ゲンダイ記事内に船尾遼弁護士の以下の弁が掲載されています。

現状、規制強化が必要な事態は生じていないのに、なぜ条例を改めるのか。立法事実が明らかではない。それでも成立を急ぐのは、今後の改憲に向け、「反対」世論の盛り上がりへの警戒ではないでしょうか。例えば、デモ参加者に「条例違反になりますよ」と注意するだけで、萎縮しますからね。

出典:審議は1回 小池都知事が密かに急ぐ“デモ封じ条例”の中身 – 日刊ゲンダイDIGITAL(2018年3月18日)

なるほどね。そういう見方もありますかね。

Next: 安倍政権への援護射撃か。東京都版「共謀罪」との声も



東京都版「共謀罪」との声も

安倍政権への、小池都知事なりの援護射撃なのでしょうか。

ほとんど注目されていませんが、「東京都版共謀罪」との声もある条例に関して、当メルマガではご紹介しておきます。

皆さんはどう思われるでしょうか…。

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らぽーる・マガジン』(2018年4月9日号)より一部抜粋
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