マネーボイス メニュー

ビットコインの次に来る、ブロックチェーン×不動産のヤバい未来=高島康司

いま不動産の分野では、ブロックチェーンの適用で売買取引の手間やコストが劇的に軽減されている。投資対象にもなる有望プロジェクトを紹介しながら解説したい。(『ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』高島康司)

※本記事は有料メルマガ『ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』2018年5月29日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。6月5日配信された続編「人気のある不動産関連のICO」もすぐ読めます。

売買や登記ほか、不動産投資にかかる手間とコストを大幅に削減!

ブロックチェーンと相性抜群の不動産分野

今回ご紹介する分野は「不動産」である。AI、医療、教育などとともにブロックチェーンの適用が注目されている分野のひとつだ。

ブロックチェーンのテクノロジーが最初に適用されたケースは、2009年にスタートした仮想通貨「ビットコイン」である。その後、多くのアルトコインが出現して今日に至るが、仮想通貨以外の分野におけるブロックチェーンの適用は比較的に遅れた。

そうした分野の中でも適用が比較的に早かったのが、不動産である。

ちなみにブロックチェーンとは、ブロック化したデジタルデータを相互にリンクし、複数の分散台帳に書き込むテクノロジーだ。これは、所有権の登記が必要な不動産の分野に適用できるとして、比較的に早くから注目されていた。

いまは不動産の分野では、次のような方面でブロックチェーンが適用されている。従来の不動産取引を劇的に改善した4つのポイントを解説したい。

その1:いつでも、早く、安全に取引できる

不動産の売買は、多くの専門家がかかわる長く時間のかかるプロセスになる。物件の引き渡しまでには、契約書の締結、抵当権の抹消、所有権の移転登記などのやり取りが必要だ。

これらを(プログラムの自動実行機能を実装したスマートコントラクトの)ブロックチェーンのプラットフォームで処理すると、ほとんどのプロセスが自動化される。すると、人の手を介さないので、365日・24時間いつでも不動産の取引が可能になる。

さらにブロックチェーンの大きな利点の1つは、透明性の確保である。一度ブロックチェーンの分散台帳に書き込まれたデータは、コピーや改ざん、抹消はできない。

データの安全性の高い正確な記録が可能になる。そのため、不動産取引にかかわるすべての当事者が、記録されたデータを閲覧することができる。

その2:手数料が大幅に減る

不動産取引には大きな金額が動く。それは既存の金融機関を介した取引となり、それなりの手数料が発生してしまう。また海外では、売り主と買い主が一時的に信託口座を開設し、そこに代金を振り込む形で処理されることもあるが、これにも手数料がかかる。

ブロックチェーンの不動産取引のシステムを使うと、買い主から売り主への代金の支払いは、仮想通貨で行うことができる。これにより、金融機関に支払う手数料が大幅に軽減できる。

Next: 手間とリスクを大幅に軽減! ブロックチェーンでどう変わる?



その3:売れ残りリスクを軽減

変動が大きい不動産市場では、必ずすべての物件が売れる保証はない。時々の市況の変動よって、かなりの物件が売れ残る可能性がある。

また、資産運用のポートフォリオでは、資産すべてを株式や債権にするのではなく、一部を安全な不動産として保有することも一般的に行われている。しかしこの場合、流動性が確保できるのかどうかが問題になる。

こうした課題を解決するのが、ブロックチェーンを活用した不動産2次市場である。分散台帳で管理され、スマートコントラクトによるプログラムの自動実行機能を持つこの市場に、投資家、金融機関、売り主、ブローカーが登録すると、ローンや保険契約も含め、不動産取引にかかわるすべてのプロセスが自動実行できる。これは売れ残っている不動産を再度流動化させるためには、よい条件になるはずだ。

その4:手間のかかる「登記」をらくちんに

不動産取引の分野でブロックチェーンの活用がなによりも期待されているのが、やはりなんといっても所有権の登記である。

現在これは、オフラインの登記簿で物理的に管理されているので、かなりの手間がかかる。もしこの登記簿をブロックチェーンの分散台帳に置き換えることができれば、登記の手間は大幅に緩和される。

ブロック化したデジタルデータを相互にリンクさせ、複数存在する分散台帳に書き込むテクノロジーであるブロックチェーンでは、完全な透明性と高い安全性が確保できる。また、スマートコントラクトを使えば、登記に必要となる作業のほとんどの過程が自動化できる。これで登記の手間は大幅に軽減される。

このような大きなメリットがあるため、すでに各国政府が登記のブロックチェーン化を目標にして動いている。

イギリス政府は「デジタル・ストリート」というプロジェクト名で2022年までにすべての不動産登記をブロックチェーン化する計画だ。さらに同じようなプロジェクトはスウェーデン、ウクライナ、ドバイなどでも進められている。

さて、このような不動産の分野では、次のようなプロジェクトが注目されている。

Next: 投資対象にもなる、不動産分野の有望プロジェクトとは?



業界全体で発展を目指す:国際ブロックチェーン不動産協会(IBREA)

公式サイト:https://www.ibrea.network/

ブロックチェーンの不動産への適用では、業界団体が存在する。ブロックチェーンの分野では、ICOで資金を集めるスタートアップがほとんどなので、個別の企業の利益には左右されない業界団体が存在していることは大変に珍しい。不動産の分野は、仮想通貨の次にブロックチェーンの適用が早かったので、こうした業界団体が設立される程度に成熟しているのだろう。

国際ブロックチェーン不動産協会は、ブロックチェーンのエンジニアや不動産の専門家が終結し、ブロックチェーンを不動産に適用するためのアイデアを共有し、発展させるための組織だ。

協会のメンバーに登録した企業や個人は、世界各地でブロックチェーンの不動産の適用をテーマにしたセミナーやワークショップの開催を申請できる。協会は2013年に設立され、すでに世界40カ所でセミナーなどのイベントを開催している。

組織の運営は、スポンサーからの寄付を主な収入源として賄われているようだ。このサイトでは、不動産分野におけるブロックチェーン適用の最新情報を入手できる。グーグルのクロームなどのブラウザーを使うと、ワンクリックで比較的に読める日本語に翻訳してくれるので、ぜひ一度アクセスしてみるとよいだろう。不動産におけるブロックチェーン適用の動向がよく見えてくる。

ここは企業ではないので、投資対象にはならない。また、残念ながら日本支部も存在しない。

賃貸も便利に:レントベリー(Rentberry)

公式サイト:https://ico.rentberry.com/
紹介ビデオ:https://www.youtube.com/watch?v=n-KhWQMcRk4(※すでにICOは終了)
トークンの相場:https://coinmarketcap.com/ja/currencies/rentberry/

レントベリーは賃貸物件の仲介業者である。すでに全世界5000都市で20万件の物件を登録している。最近ここはブロックチェーンの導入を決定し、サービスの提供を始めた。提供されるサービスは、賃貸の仲介だけではなく、テナントによる設備のメインタナンスのリクエスト、テナントと家主や地主のスクリーニング、配管工のような必要となるサービスの手配、そしてオークションのシステムだ。

なかでも特に興味深いのはスクリーニングのシステムだ。テナントは過去の家賃の支払い履歴、立ち退きの履歴、クレジットカードの信用状態や、そのほかの公共的にアクセス可能な情報を用いて信用度が査定される。また同じスクリーニングは家主に関しても行われる。このようなスクリーニングのシステムがあることで、テナントと家主は相互の信頼に基づく取引が可能になる。

また、レントベリーのブロックチェーンが提供するオークションのサービスもユニークだ。ここでは家主や地主が物件の詳細を掲載し、それをテナントが競り落とすシステムになっている。このシステムのお陰でテナントは、複数の物件を一度に比較しながら、自分の条件に合った物件を競り落とすことが可能になる。オークションに参加したテナントには、1000ベリートークンが支払われる。ベリートークンとは、レントベリーのブロックチェーンで流通する仮想通貨のことだ。テナントに与えられたベリートークンは、事務手数料など必要となる雑費の支払いに充当できる。

仲介業者なしで売買可能:アトラント(Atlant)

公式サイト:https://atlant.io/jp/(日本語対応)
紹介ビデオ:https://www.youtube.com/watch?v=SuD_XHoX8-8
トークンの相場:https://coinmarketcap.com/ja/currencies/atlant/

アトラントは2016年に設立された新興企業だ。アトラントのブロックチェーンのプラットフォームは賃貸のP2Pシステムと所有権のトークン化という2つのサービスを提供している。

賃貸のP2Pシステムとは、テナントと家主が不動産会社のような第三者の介入なしで、テナントが家主に直接家賃を支払い、また問題が起こったら話し合いで直接解決するためのシステムだ。

しかし、アトラントのプラットフォームが際立っているのは、不動産の所有権のトークン化のコンセプトである。所有権の権利が確認された不動産の価値はトークン化される。このような方式のメリットは、ひとつの不動産を多くの人々で分割所有できることである。

もちろんこうした所有形態は投資目的だが、そうすることでこれまで大きな不動産物件に固定されていた投資を、多くの物件に分散投資しやすくなる。これは大きなメリットだ。

アトラントは、イーサリアムのスマートコントラクトのブロックチェーンを使っている。また会社の設立には、BNPパリバやHSBCなどの大手投資銀行の幹部クラスだった人物が複数参加している。2018年4月からサービスの一部が本格的に稼働している。

アトラントの目標は高い。今後は各国の政府と協力し、全世界の200兆ドルを越える不動産取引の5%を取り込むつもりだ。

Next: まだまだある、成長が期待できる不動産関連のプロジェクト



少額から分散投資を実現:アイ・ハウストークン(i-house token)

公式サイト:https://ihtcoin.com/?lang=ja(日本語対応)
紹介ビデオ:https://www.youtube.com/watch?v=aEulmWXHCvw
トークンの相場:ICOを終了して間もないようで、まだ上場していない。

スマートコントラクトのブロックチェーンに登録した不動産物件の所有権を登録した金融機関に分割し、多くの人々が不動産に投資できるようにするプロジェクト。これにより、規模の大きな不動産物件の流動化が可能になる。

プロジェクトには3つの段階がある。最初の段階は物件の所有者に配布するコインの開発である。そして2段階は、IHIのネットワークの参加者が使うアプリの開発である。そして第3段階は、大きな不動産物件の所有権の分割、ならびにそれの金融機関への販売である。

世界では、IHIのシステムが適用できる不動産の物件は10億ドルはあると見込まれている。IHIは2020年までに中国や日本を中心にしたアジア圏でプロジェクトを開始し、その後北米へと広げる計画だ。

世界に拡大中。家主と借り主の問題を解決する:●●●●

※この項目は有料メルマガ購読者限定コンテンツです →いますぐ初月無料購読!

不動産登記の記録に特化:●●●●

※この項目は有料メルマガ購読者限定コンテンツです →いますぐ初月無料購読!

いくつかの壁があるが、不動産分野は期待できる

不動産はもっとも価値の高い資産である。ブロックチェーンのテクノロジーを導入すると、不動産の登記のようなブロックチェーンの本来に機能に合致したサービスのみならず、所有権の分割と販売のような、不動産の流動性を実質的に高めるプロジェクトも出てきている。

一方、不動産の分野へのブロックチェーンの適用には、大きな壁があることも事実だ。それは各国の法的規制という壁だ。

たとえば日本の場合、不動産の売買を行うためには、住建士の国家資格の取得が必要になる。したがって、ブロックチェーンで管理された大型不動産物件の所有権を分割し、それをすぐに売買するようなことは、おそらく日本では困難だ。こういった法的規制の問題を解決することが、ブロックチェーンを不動産に適用することの大きなポイントになると思われる。

ただ、そのような法的規制の壁が低く、ブロックチェーンの適用が比較的に容易な地域もあるはずだ。したがって、発行されるトークンに投資するのであれば、もしかしたら比較的にうま味のある投資になるかもしれない。

次回は、この分野における人気のあるICOを一挙に紹介する。

続きはご購読ください。初月無料です


※本記事は有料メルマガ『ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』2018年5月29日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。6月5日配信された続編「人気のある不動産関連のICO」もすぐ読めます。

<初月無料購読ですぐ読める! 6月配信済みバックナンバー>

※2018年6月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。

・不動産とブロックチェーン(2)(6/5)

<こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー>

※6月分すべて無料の定期購読手続きを完了後、各月バックナンバーをお求めください。

・不動産とブロックチェーン(1)(5/29)
・最先端テクノロジーの組み合わせ、AIとブロックチェーン(2)(5/22)
・最先端テクノロジーの組み合わせ、AIとブロックチェーン(1)(5/15)
・ブロックチェーンが健康と医療分野にもたらす革命(2)(5/8)
・ブロックチェーンが健康と医療分野にもたらす革命(1)(5/1)

4月配信分
・ブロックチェーンがもたらす教育分野の革命(2)~ICO一挙紹介(4/24)
・ブロックチェーンがもたらす教育分野の革命(1)(4/17)
・ブロックチェーンの適用で変化する再生可能エネルギーのプラットフォーム(2)(4/10)
・ブロックチェーンの適用で変化する再生可能エネルギーのプラットフォーム(1)(4/3)

【関連】AIにとって人間が邪魔になる時、助けてくれるのはブロックチェーンかもしれない=高島康司

【関連】ソロスが狙う次の通貨危機。養分になるのが嫌なら「タイ株」を刮目して見よ=鈴木傾城

【関連】成功したいならやっぱり東京。田舎のマイルドヤンキーが知らないチャンスがある=午堂登紀雄

ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』(2018年5月29日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中

ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン

[月額1,100円(税込) 毎週火曜日]
昨年から今年にかけて仮想通貨の高騰に私たちは熱狂しました。しかしいま、各国の規制の強化が背景となり、仮想通貨の相場は下落しています。仮想通貨の将来性に否定的な意見が多くなっています。しかしいま、ブロックチェーンのテクノロジーを基礎にした第四次産業革命が起こりつつあります。こうした支店から仮想通貨を見ると、これから有望なコインが見えてきます。毎月、ブロックチェーンが適用される分野を毎回紹介します。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。