米国とイランの緊張が高まっています。米国はイラン産原油の禁輸を計画しており、イランは中東の通商ルートの封鎖を仄めかすなど、お互いに本気モードです。(『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』児島康孝)
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イランの勢力拡大を阻止したいイスラエル。もう後には引けない?
今回のアメリカとイランの対立は本気モード
このところ緊張が高まっているアメリカとイラン。アメリカは、イラン産の原油を禁輸にしようとしています。対するイランは、ホルムズ海峡の封鎖をちらつかせています。
アメリカはイスラエルの意向で足並みを揃えているとみられ、今回のアメリカとイランの対立は本気モードのように見えます。
イラン「ホルムズ海峡の封鎖」で巻き添えになるのは…
ホルムズ海峡はイランとオマーンに挟まれた海峡で、ペルシャ湾の沿岸の国々が原油を運ぶ上での重要ポイントです。
世界で輸送される原油の3割から4割、日本へ輸送する原油の7割から8割が、ホルムズ海峡を通過しているといわれます。
イランもそうですが、サウジアラビアやクウェート、アラブ首長国連邦(UAE)など中東の産油国が輸出のルートに使っているわけです(※アラブ首長国連邦は、リスク対策で迂回パイプラインを持っています)。
このため、アメリカがイラン産の原油輸出を禁止すると、イランは「破れかぶれ」でホルムズ海峡を封鎖し、他の産油国も道連れにできるわけです。
現実味を帯びてきたイラン産原油「禁輸」
イランがこのホルムズ海峡の封鎖をちらつかせ始めたということは、それだけ、アメリカが主導するイラン産原油の禁輸が現実化するところまできているということです。
トランプ大統領は、イラン側の言動を強く批判しています。
ツイッターで、「イランのロウハニ大統領へ:決して、絶対にアメリカを脅したりするな。そうでなければ、歴史上、まれにみる、苦しみを受けるだろう「」などと警告。
このことからも、アメリカとイランが本気モードなのがわかります。
Next: 米国に同調せざるを得ない日本。イランの原油輸出は11月に止まる?
今年11月に「イランの原油輸出」は止まる
アメリカの「イラン原油の禁輸」政策が進めば、今年11月頃には、イランの原油が実際に輸出できなくなります。
日本のメガバンクでもアメリカの金融制裁を恐れて、イランの原油輸出の決済業務から撤退し始めています。
従来のまま、日本の銀行がイランの原油の決済をしていると、アメリカからペナルティを受け、国際金融業務から事実上の排除となる可能性があるためです。
銀行が決済をやめれば、イランの原油輸出は事実上ストップします。
最近のイランの対応をみますと、今年11月頃から、イラン産原油の禁輸が現実化しそうなことが伺えます。
イランの成長を阻止したいイスラエル
イスラエルと連携するトランプ大統領は、イランの現状について、イスラエルから連絡を受けているのでしょう。
イランが国際社会に復帰して経済力を強化すると、イランはますます中東の経済・軍事大国としての地位を確立することになります。
イランには潜在的な力があり、今後も経済成長を進めると、イスラエルが及ばないところまで行きます。イスラエルはこれを危惧しているのです。
つまりイスラエルは、このあたりでイランの経済成長にストップをかけたいわけです。
オバマ前大統領やEUは、イランとの関係改善を進めていました。その間に、イランはどんどん強くなってきていたのです。
イスラエルとイランはお互いに今後の「存続」がかかっていますから、必死であり、本気です。
そして、イスラエルを助けるアメリカも、本気モードになっているということです。
Next: 事実、超長期景気サイクルの波に合わせて戦争が起きてきた
コンドラチェフサイクルの転換点では、戦乱が起きやすい
超長期の経済サイクル「コンドラチェフサイクル」について、これまで何度かご紹介してきました。歴史上、この転換点では戦乱が起きやすいのです。
起きやすいというよりも、ほぼ起きているという方が正しいかもしれません。
経済が悪化してデフレ基調になったあと、回復に向かうのですが、そこで、戦争によって需要と供給のバランスを回復することが多いのです。
破壊によって復興需要を生み、破壊によって供給力を減らす。こうしたことが、いわば「必然」のように、歴史上、繰り返されているのです。
現在はまさに転換点
現在はまさに、コンドラチェフサイクルが上昇転換する時期。
アメリカによるイラン産原油の禁輸は、どうやら本気モードのようです。とくにアメリカは中間選挙を前にして、好戦的な動きが起きやすい時期でもあります。
再び、かつてのオイルショックのようなことが起きる可能性も考えられます。
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『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』(2018年7月24日号)より抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による
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