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安倍三選で日本株は浮上するか? リーマン危機10周年で噴出する「次」への恐怖=山崎和邦

我々は安倍三選で織り込み済みだが、日本の政局に詳しくない海外勢は改めて買い直す可能性はある。しかし脳裏に浮かぶのは、次のリーマン危機への警戒感だ。(山崎和邦)

※本記事は、有料メルマガ『山崎和邦 週報『投機の流儀』(罫線・資料付)*相場を読み解く2018年9月10日号の一部抜粋です。今月分すべて無料の定期購読はこちらからどうぞ。

中期的には上値は取れない?いずれ転換点が来るとの警戒感が蔓延

安倍三選で海外勢は…

我々は安倍三選で織り込み済みとしているが、日本の政局に詳しくない海外勢は、安部三選なら改めて買い直す可能性はある。

小幅続落とは言え、日足で6日連続陰線、騰落レシオで83%台というのは、超目先で言えば陰の極かもしれないから、ここで超目先は弱気になる必要はないであろう(編注:原稿執筆時点9月9日)。

【図-1】

【図-2】3月・6月と同様に、決算月である9月末にかけて、価格維持のための日銀ETF買いが積極的に実施されるかを注視したい

少なくとも中勢的には上値はとってこられない

当メルマガの5月13日号で、9項目の内外要因を簡単に列挙し、最終的に結論としては「少なくとも中勢的には上値はとってこられない」とした。

5月中旬にはチャート上でゴールデンクロスしたから、長期的な上昇相場につながるようなことをはやし立てて強気筋が騒いだが、筆者は、5月13日号で「チャート上でゴールデンクロスしても投資家心理は弱い」を標題とし、こう述べた。

「今回のゴールデンクロスは、必ずしも長期的な上昇相場につながらない場合がある。75日移動平気が上昇し、25日移動平均も上昇してクロスした場合にはホンモノであることが多い。しかし今回の場合、75日線は下向きである。ゴールデンクロスはいわゆる『罫線上のダマシ』であり、1960年後半に移動平均によるチャート分析を日本に輸入したグランビルの言葉で言えば、『技術的修正』があり得るということになる。今日の言葉で言えば、『テクニカルで言えばダマシとなるケース』が多いということになる」

市場内外要因を色々と列挙した結果、結論的には「少なくとも中勢的には上値はとってこられない」と断定した。これが当メルマガの5月13日号(1)であった。

少なくともそれ以降の4カ月間、1月高値24,100円はとってこられなかった。

Next: 小すくいの姿勢が重要?「年末にかけて大相場」との予測もあるが…



【図-3】短期的には、確かに、年末高を期待し日経平均の23,000円節目を突破し、上昇機運が高まる可能性もある

ただ、この節目を突破すれば再び大相場を迎えるとの一部記事が見られるが、「TOPIX」「東証マザーズ指数」の200日移動平均線の方向性(長期の方向性を示唆)はすでに下向きへ転換してきている。

その中では、上昇の継続性は限られること、また最後の上昇局面となる可能性を孕んだ上昇となることを指摘しておきたい。そして、必ず利益を確定する「小すくい」の投資姿勢で臨みたい。

なお、日銀ETF買いの影響度の低い指数ほど、チャート形状は悪化している。

好業績を裏付けにした「年末高」のシナリオ

米国の対中追加制裁が実際に発動されれば、「悪材料出尽くし」として株式環境は好転する。好材料は出尽くせば下がるし、悪材料は出尽くせば上がる。市場心理とはそういうものだ。

その時に悪材料出尽くしに合わせて、日本の企業の好業績が市場の関心に向かうシーズンになる。今期の一株利益は1,736円となり、もちろん過去最高水準である。それに対して、今のPERはアベノミクスの始動点のレベルでしかない。

本稿でも「動画」でも時々「里帰り銘柄」という言葉を用いるが、東証第一部のPERの軌跡こそ里帰りだ。もちろん先進国で最も低いPERになる。

ここに目を向けて好業績発表の年末に向けて株式が上がる例は、アベノミクス相場では6回年末を迎えたうちの2012年・2014年・2016年・2017年は8月・9月までの市場は冴えなかったが、その後に業績拡大を裏付けに年末高を演じた(もっとも12年の年末は業績相場ではない。アベノミス始動から1ヶ月目であって青春期相場の真っ最中だった)。

Next: リーマン危機から丸10年、いずれ転換点を迎えるとの警戒感が背景にある



いずれ転換点を迎えるとの警戒感が背景にある

今週の土曜日が世界を揺るがした2008年9月のリーマン・ショックから満10年の日となる。

そこで日経ヴェリタス9月2日~8日号の1面の見出しにこうある。「その日が来る前に」、これが大見出し。次は文面にこうある。

「8月下旬、都内にある外資系証券の株式担当者に、米国のヘッジファンドから連絡が入った。しばらくキャッシュ・ポジションを増やすことにしたと。しばらく日本株は買いにくいという含みだ」。中略して、こう続く。「いずれ転換点を迎えるとの警戒感が背景にある」。

次に小見出しだけ挙げる。第1面に「逆回転リスク、くすぶる火種」「強まる警戒、変動に備え」。

次は私見である。危機への備えは平時から心がけるというのは当たり前のことだ。次の危機はいずれ訪れるということも当たり前のことだ。「常在戦場」とは市場行動をする人の日常の心構えであることは言うまでもない。今さら筆者がこんなことを言うことは僭越の極みであろう。

次に同紙の2ページ目の見出し「次の危機、予兆はどこに」とあり、その小見出し「新興国通貨安の連鎖」「民間債務の拡大」「中国の債務」「根強い不透明感」「米利上げで動揺しやすく」「VIX指数の急上昇を警戒」「低金利で運用難、ショック増幅」「ITバブルほうふつ」「ハイテク株に余剰マネー集中」これが2頁・3頁の小見出しである。

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当面の市況:2万3千円の上値抵抗線/海外勢の日本株売りが10年ぶりの最高ベース

安倍三選の実現と石破氏の正論

生かされなかった金融庁内・専門家チームの忠告

投資信託投資者の評価損

景気動向に敏感な指数が8月末に下落

「晴れた日には3万8千円が見える」(1年前の大和証券・木野内氏)

「晴れた日にはGMが見える」(40年前のJ・パトリック・ライト著作)

原油価格高めに推移する可能性と嘗ての教条主義者の言い分

中国人民軍の正体

NY市場のプレイヤーたちは見通しが甘すぎる

トランプのCIA総括の波紋は

前米国民に及び「理念の共和国たる米国」は崩壊寸前にまで行く恐れあり

マクロの景気の見方

「2%目標」が達せられない背景

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※本記事は有料メルマガ『山崎和邦 週報 「投機の流儀 (罫線・資料付)」*相場を読み解く』2018年9月10日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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山崎和邦 週報「投機の流儀(罫線・資料付)」』(2018年9月10日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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