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米株急落は中間選挙前のトランプ潰しか? この後に続く乱高下と最終的な大暴落=高島康司

10月10日、NYダウは史上3番目の大幅下落を記録した。にわかに信じ難いが、すべてはトランプ政権を潰すための操作だとの見方があるので紹介したい。今後の相場も予断を許さないことがわかるだろう。(『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』高島康司)

※本記事は有料メルマガ『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』2018年10月19日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

トランプの敵はFRB。構造的クラッシュは2020年代初頭に来る?

予断を許さない相場

10月10日、ニューヨーク株式市場は、全面安の展開となった。ダウ工業株平均は大幅に続落し、前日比831.83ドル(3.15%)安い2万5,598.74ドルで終えた。この下落幅は史上3番目の大きさ。ダウ平均を構成する30銘柄すべてが値を下げた。これにともない日経も一時は1,000円近く下げるなど、世界同時株安の展開となり、先行きが懸念された。

しかし、16日になるとダウは急反発し、前日比の上げ幅は500ドルを超えた。好決算銘柄や先週来の下げがきつかったハイテク株への見直し買いが勢いを増し、先週とは逆に「買いが買いを呼ぶ」展開になった。急落した10日以降の下げ幅(1,180ドル)の5割近くを取り戻した。だが、翌17日には92ドル近く(0.4%)ほど下落し、まだ相場が不安定であることを示した。これからどうなるのか、まだ予断を許さない状況だ。

NYダウ 日足(SBIに証券提供)

予見できた暴落

今回の下落の原因は、9月26日に実施されたFRB(米連銀)による利上げ、そして高関税を相互に課すトランプ政権が始めた米中貿易戦争がもたらすマイナスの余波の懸念である。

米経済が好調でインフレ率が2%に到達しそうなので、景気の過熱によるバブルの発生を抑制するために、政策金利を0.25%引き上げた。政策金利と長期金利は連動しているので、長期金利も3.24%に必然的に上昇した。長期金利は国債の利回りであり、企業の貸し出し金利や住宅ローン金利と連動している。そのためこの上昇は景気を減速させる効果がある。また、長期金利の上昇にともない、米国債の市場価格も下落する。これはすべて、米経済の先行き不安を煽る。

さらに今回FRBは、年内さらに1回、そして19年には3回も金利を引き上げるとの見通しを示したので、米経済の先行きにさらに懸念をもたらすことになった。

こうしたことが、相互に25%もの高関税を課す落としどころのまったく見えない米中貿易戦争を背景に起こったのである。26日のFRBによる利上げ発表以後、連日高値更新を続けているダウが大きく下落してもおかしくない状況だった。

ということでは、10日のダウの下落は十分に予想できる範囲のものである。その意味では、金利上昇による米経済の減速懸念が払拭されさえすれば、相場の回復は期待できる。今後神経質な値動きはありながらも、相場は安定する可能性が大きいとする予測が出ている

既存システムの構造的なクラッシュ

このような楽観的に見方がある一方、今回のダウの大幅な下落は、先進国を中心とした現在の経済システムの構造的な破綻の予告だとする予測も多い。

先進国の経済システムは、すでに成長の限界に到達してしまった。グローバリゼーションの影響で主要な製造業の拠点は海外に移転してしまい、国内では金融産業とサービス業が中心になっている。また農業の労働力は、外国人移民に依存している。いまは、経済成長をけん引するだけの強力な主導産業は国内に存在しない状態になった。

そのため、これまで製造業が支えていた分厚い豊かな中産階層は解体し、その多くが所得を減らして没落した。これは国内消費の縮小を引き起こし、経済は慢性的に停滞した。

Next: すべては中間選挙でトランプを潰すための操作。大暴落は近いとの憶測も



最終的には大暴落が起きる

こうした最悪な状況を回避するため、政府と中央銀行は過剰な国債を発行して通貨の流通量を増やすとともに、極端な低金利政策で景気の刺激を試みた。これで経済の低迷は回避されたものの、不動産や金融商品を中心とした巨大なバブルを発生させた。

さらに、市場で行き先を失った過剰な資金は、あらゆる方面に貸し出され、企業も家計も借金づけの状態になった。

加えて、国債の乱発は政府の金利負担の増大となって跳ね返ってくる。国債の利払い費だけでも、年間予算の10%にも上る国が増えている。こうした状況で、もしFRBが政策金利を引き上げると、企業や家計はローンの支払いができなくなって破綻が相次ぐことになる。バブルの破綻である。

さらに、政府は利払い費の増大に耐え切れなくなり、これまでの低金利政策と景気刺激策を止め、緊縮財政を実行するほかなくなる。これは社会保障費や公共事業の大幅な削減を伴うので、経済はとことん低迷する。

こうした破綻は、金利の上昇によるバブルの破綻から始まることは確実である。今回のダウの大幅な下げは、このような状況が近づいたと市場が判断し、経済が破綻する前に株を売るという警戒的な活動の結果である可能性が高い。この予測が正しい場合、ダウはこれから神経質な乱高下を繰り返し、最終的には大暴落するだろう。

構造的クラッシュは2020年代初頭にやってくる

今回の暴落ではこのような異なった2つの見方があるが、構造的なクラッシュは将来確実に起きるものの、それはしばらく先ではないかという意見が多い。2020年代の初頭にやってくるのではないかというのだ。

したがって今回の大幅な下げは、前者の短期的な現象であるとする見方のほうが一般的だ。

中間選挙でトランプを潰すための操作

しかし、このような状況で、著名な地政学者のF・ウィリアム・エングドールが実に示唆に富む記事を書いた。これは、ダウが大幅に下落する前の9月25日に出た「FRBはトランプ政権を転覆するために、次のクラッシュを演出するか?(Will Fed Engineer Next Crash to Topple Trump?)」という記事だ。

Next: トランプ政権を潰すためのクラッシュ? 驚くべき記事の中身とは



FRBによる大胆な株価操作

その大まかな内容は次のようなものだ。

1893年の恐慌以来、JPモーガンをはじめとした巨大銀行、そして1913年以降はそうした銀行が結集して設立したFRBは、政策金利の操作を通してバブルとその破綻を演出してきた

例えば1920年代にアメリカで発生したバブルはFRBによる低金利政策によってもたらされ、1929年のバブルの破綻は、アメリカへの資金集中を嫌がったイギリスの圧力による金利の急激な上昇が引き起こしたものだった。

また最近では、1990年代の終わりから2000年代のドットコムバブルのブームと破綻も、FRBによる金利の低下によって始まり、金利の上昇で弾けた。

これは2008年に発生した金融危機でもそうだ。2003年にFRBは金利を大幅に引き下げたことで、不動産バブルと住宅バブルが発生した。そして2006年に金利を引き上げると、サブプライムローンの破綻をきっかけとして金融危機が発生した。

このように、バブルの発生と破綻をコントロールしているのはFRBである。いまの状況を見ると、最悪である。旺盛な公共事業を続けるトランプ政権では政府の債務は21兆ドルになっている。これはリーマン・ショックが起こった2008年の倍の大きさだ。

さらに、家計は13.3兆ドル、不動産担保ローンは9兆ドル、授業料ローンは1.5兆ドル、自動車ローンは1.25兆ドルなど、どの分野も過去最大の債務を抱えている

こうした状況で、FRBがペースの速い利上げに踏み切るとどうなるか、結果ははっきりしている。金利負担の増大に耐えられなくなった企業や家計の一斉破綻だ。米経済は打ちのめされることは間違いない。

結果はこれほど明らかなことを、FRBはなぜ推し進めているのだろうか?その裏には明白な政治的意図があると疑ったほうがよい。

それは、2020年におけるトランプの再選をなにがなんでも阻止することである。トランプの支持を支えているのは好調な経済なので、これが破綻するとトランプが再選される可能性はほとんどなくなる。中間選挙でもトランプの勝利を阻止したいのだろうが、それには時間的には間に合わないかもしれない。だが、2020年の再選阻止を狙って経済をあえて破綻させる可能性はあると見なけれならない。

以上である。

十分に考慮すべき陰謀論

エングドールのこのような見方は、間違いなく陰謀論である。FRBの政策金利の引き上げの意図が、こうした政治的なものであるとはちょっと考えにくいかもしれない。

しかし、いまのアメリカで行われている後先を顧みないヒステリックなトランプ阻止の動きを見ると、エングドールの見方にも一定の根拠があるようにも思う。

8月に行われたアレックス・ジョーンズをはじめとしたトランプ支持のネットメディアの一斉弾圧や、先頃実施されたフェイスブックによるアカウントの一斉削除などの状況を見ると、反トランプのリベラル派も必死で、なにがなんでもトランプの中間選挙の勝利を阻止する構えだ。

ちなみにフェイスブックは11日、虚偽もしくは誤解を招く政治コンテンツを拡散していたとして、米国内の数百に及ぶページやアカウントを閉鎖したと明らかにした。中間選挙を控え、アメリカ人による偽情報の拡散を阻止する狙いがあるという。閉鎖は559のページと251のアカウントに達しており、これらの多くはトランプを熱烈に支持する保守系や右派のものである。

Next: トランプの敵はFRB。中間選挙(11月6日)の直前にも要注意



トランプの敵はFRB

トランプ自身もFRBのペースの速い利上げを強く批判し、FRBには政治的な意図でもあるかのような発言をしている。

最近行われたFOXビジネスニュースとのインタビューでトランプは「私にとって最大の脅威はFRBだ」とし、「私が指名した他のFRB当局者の数人についてもあまり満足していないが、大部分は非常に満足している」と述べた。さらにトランプは、FRBを「異常」、「狂っている」、「ばかげている」、「生意気」などと呼び、FRBの利上げペースは速過ぎると強く批判した。

もちろん、エングドールの言うように、FRBにトランプの潰しの政治的な意図があり、それによって利上げが決まったというはっきりした証拠はない。単なる陰謀論のように聞こえたとしても、しょうがないだろう。

だが、トランプ潰しにあまりにヒステリックになり、本当に狂ってしまったかのようないまのアメリカを見ていると、エングドールのこの見解も考慮したほうがよいのではないかとの印象も持つ。

この見解が当たっているとするなら、11月6日の中間選挙の前に、FRBのなんらかの行動がきっかけとなり、ダウの相場は大きく下落してもおかしくない状況になるのかもしれない。要注意だ。

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※太字はMONEY VOICE編集部による

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