注目されたアメリカ中間選挙は、上院は与党・共和党が過半数維持、下院は野党・民主党が過半数を8年ぶりに取り戻す形となった。ここからトランプは難しい舵取りを迫られる。(『「ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!」連動メルマガ』児島康孝)
有料メルマガ『「ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!」連動メルマガ』好評配信中。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
勢いがある民主党と、激戦区を押さえた共和党。争いはこれから…
「ねじれ議会」誕生へ
大統領選並みの激しい戦いとなった、アメリカの中間選挙。速報値をもとに解説したい。
<下院は野党「民主党」が勝利>
CNNによると(日本時間11月8日 0時現在)下院は民主党222議席・共和党199議席(議席数435議席)。ABCによると、民主党223議席、共和党201議席。
過半数は218議席なので、民主党が過半数を超えている。
下院は人口に比例して議席が割り当てられており、獲得議席をアメリカ合衆国の地図で、色分けして「面積」で見ると、トランプ大統領の与党・共和党が圧倒的に多い。
つまり、人口密集地で民主党が勝っているというわけだ。
トランプ大統領は終盤でかなり追い上げてきて、もしかすると下院も過半数をとるのでは?と思われた。しかし、そこはなかなか厳しかったということになる。
<上院は与党「共和党」が勝利>
同じくCNNによると(日本時間11月8日 0時現在)、上院は民主党45議席・共和党51議席(全議席は、100議席)。
上院は、3分の1ずつ改選される。そのため、共和党は今回、改選がない42議席を占めていて有利であった。
しかし、ご覧のように、時間が経過しても、あまり、共和党の議席が伸びていない。過半数(50議席)は、超えたものの、どんどん議席を上乗せするほどではなかった。
トランプ擁する共和党は激戦区で勝っている
一方で、トランプ政権の共和党は接戦をものにしている。
大統領選挙の共和党指名争いでトランプ氏と激しくののしり合いをしていたクルーズ上院議員(テキサス州)は、トランプ大統領のテコ入れを受けて再選。一時は再選が危ぶまれていた。
また、注目のフロリダ州知事選でも、共和党が勝っている。州知事選挙はあまり目立たないが、その後の国政選挙の区割りを決める際に、押さえていると極めて有利なポジションである。
全体としては民主党が勢いがあるが、要所は共和党も押さえている。このような選挙結果になっている。
Next: 中間選挙前に大事件が頻発/反トランプ・キャンペーンに莫大な広告費
中間選挙前に事件が相次ぐ
今回の中間選挙の前にはなぜか大きな事件が相次ぎ、とくにトランプ政権には不利に作用した。
一番、衝撃的であったのは、10月27日にピッツバーグのユダヤ教のシナゴーグ(礼拝所)で起きた銃撃事件であった。11人が死亡し、トランプ大統領の激しい言動が事件を引き起こしたという見方もされていた。これは、トランプ政権・共和党には極めて不利に作用した。
また、トルコ・イスタンブールで起きた、サウジアラビアのカショギ氏殺害事件。サウジに大量の武器を売却しているトランプ大統領にとっては、対応が難しいものであった。
不思議とこのような事件が中間選挙の前に相次ぎ、トランプ政権には不利に作用したのである。
さらに、トランプ政権への影響はまちまちだった、あの移民集団「キャラバン」も、中間選挙の後はどうなるのであろうか…。
「グローバル路線」との戦い
今回の中間選挙での本当の焦点は、グローバル路線とトランプ政権との戦いだった。
民主党を支援するために莫大な広告費が投入され、共和党を圧倒した。反トランプ・キャンペーンに莫大な広告費が投入されたのだ。トランプ大統領の方が金持ちイメージがあるが、実際は逆なのである。
広告は、グルーバル企業が以前のように大きく儲けることができるように、投入されたものだ。
つまり、グローバル企業にとっては、トランプ政権が中間層の復活に力を入れるのが邪魔なわけだ。格差を拡大して、安い労働力が供給される方が好都合なのである。
このあたりの問題は、極めて、おかしなことになっている。
Next: トランプに立ちはだかる壁。グローバル企業による搾取は止まらない?
トランプ政権を押し戻したグローバル勢力
人権向上や低所得者への支援を訴える側が、グローバル企業による「搾取」を求める側と同じということになっているのだ。
民主党のサンダース氏のように低所得者支援を掲げる勢力と、オバマ前大統領やヒラリー・クリントン氏のようにグローバル大企業の利益を優先する勢力が「呉越同舟」なのである。
あるいは、グローバル勢力が、サンダース氏や人権派を利用しているとも言える。
こうした勢力が、アメリカの景気上昇や国民所得の向上を目指すトランプ政権を、今回の中間選挙では「押し戻した」わけである。
「ねじれ議会」をどうさばくか?
下院の過半数を失った、トランプ政権。
このあとの2年間は、下院の多数派である民主党との調整を余儀なくされ、これまでのように思い切った所得や雇用の向上策には取り組みにくくなることが予想される。
<初月無料購読ですぐ読める! 11月配信済みバックナンバー>
※2018年11月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。
・共和党は、上院過半数維持も、下院は厳しい結果に(11/8)
・NYハドソン川で、サウジ姉妹の遺体みつかる、心中か(11/3)
・サウジ事件は波及する?ソフトバンクの巨額「ビジョン・ファンド」強みと弱み(11/2)
→いますぐ初月無料購読!
有料メルマガ『「ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!」連動メルマガ』好評配信中。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
<こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー>
※初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込324円)。
- 【速報】アメリカ・ピッツバーグで、ユダヤ教徒など11人射殺される(10/28)
- カショギ氏の遺族、サウジ出国し、アメリカへ。不透明感がマーケットに暗い影(10/26)
- やはり、キーマン動く。サウジ皇太子とムニューシン財務長官が会談(10/23)
- (号外)サウジ、カショギ氏の死亡確認。18人拘束、高官解任(10/20)
- カショギ氏事件に、ユダヤ人脈が反応(10/19)
- ポンペオ国務長官がリヤドに到着。流動的な情勢続く(10/16)
- NYダウ、下げ止まりの様子。警戒するのは、FRB利下げ(10/12)
- (号外)IMF世界経済見通し、きょう日本時間午前10時に発表予定(10/9)
- IMF、世界経済見通しを下方修正か(10/5)
- 日米貿易協議は、無難に着地も、トランプ大統領に微妙な変化(9/28)
- 安倍首相の総裁3選、NYダウ26000ドルが示すもの(9/21)
- 不穏な動き続く、シリア情勢(9/14)
- やはり、日本のデフレは、災害か戦争で終わるのか?(9/7)
- 北朝鮮問題は、金融制裁がカギを握る(8/31)
- トランプ大統領、イタリア国債購入で支援申し出(8/24)
- 妙に違和感がある、トランプ大統領の「ドル高」発言(8/17)
- 河野外相ツイートから「日本の勢力図」をみる(8/10)
- 海外投機筋が狙う、長期金利の上昇(8/3)
- 2期目をめざす!トランプ大統領(7/27)
- ヘッジファンドの円キャリートレードが復活(7/20)
- ヘルシンキで米露首脳会談、16日に開催(7/13)
- 【号外】ドル円の見通し変更について(7/11)
- 本気モードのトランプ政権。米中貿易摩擦の行方は・・(7/6)
『「ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!」連動メルマガ』(2018年11月8日号)より抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による
初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中
『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』連動メルマガ
[月額330円(税込) 毎週金曜日]
日本に影響を与えてきた欧米勢の勢力図が変化し、国際情勢も激変の時期を迎えています。トランプ政権の前の欧米勢力は、日本の1990年のバブル崩壊以降、日本の衰退を狙ってきました。超長期の経済サイクルである、コンドラチェフ・サイクルが、戦後最悪の大底でもあったことから、日本経済はデフレに陥り、低迷したままであったのです。ところが、トランプ政権の誕生以降、欧米勢の勢力は変化し、日本の今後も、大きく変わろうとしています。このメルマガでは、有料読者に限定して、ちょっと書きにくい話にも踏み込んで、欧米勢の動きをお伝えします。