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なぜビットコインはここまで落ちた?ブロックチェーン技術は衰退へ向かうのか=高島康司

ビットコインほか仮想通貨全体が暴落している今、ブロックチェーン技術も衰退するという疑念が出ている。暴落原因を探りながら、今後の技術発展について考えたい。(『ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』高島康司)

※本記事は有料メルマガ『ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』2018年12月11日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

金融庁の規制はもしろ歓迎?ブロックチェーンはどう発展するのか

ビットコインの存在が危ぶまれている

いまビットコイン(BTC)とビットコイン・キャッシュ(BCH)をはじめとした仮想通貨市場全体が暴落しており、特にブロックチェーン拡大の基礎となったBTCは実存的な危機の状態にもある。

そのため、このあおりを受けて、ブロックチェーンのテクノロジーそのものも衰退する方向に向かうのではないかという疑念が一部で広まっている。

結論からいうと、現在の仮想通貨市場とブロックチェーンのテクノロジーは切り離して考えた方がよく、ブロックチェーンそのものは分散型システム構築の中心的なテクノロジーとして今後も発展すると考える。

そこでまず今回は、BTCとBCHの暴落の原因を概観して、これがブロックチェーンのテクノロジーの拡散とは相対的に関係のない、これらのコインに特殊な事情であることを解説したい。

次に、今回は分野に分類せず、いまもっとも注目されているプロジェクトを紹介する。さまざまな評価サイトで、5ポイント満点中4.5ポイント以上のプロジェクトだ。

ブロックチェーンとは無関係の暴落

昨年の12月には最高値の240万円まで高騰したBTCだったが、1月後半あたりから次第に下落幅を拡大させ、10月には60万円台の後半までになった。しかし、BCHの分裂問題の影響で11月後半には40万円台まで急落した。

2017年12月から見ると、約80%の暴落だ。投機的な変動幅が大きいBTCの相場でも、これほどの大きな下落は少ない。BTCの将来を悲観して、消滅へと向かうのではないかとする意見も多くなっている。

Next: 仮想通貨の暴落とは無関係。今後もブロックチェーンが発展する理由とは



仮想通貨の暴落とは無関係

もしBTCのこうした暴落の原因がブロックチェーンのテクノロジーの本質的な欠陥に由来しているのであれば、今後はブロックチェーンの将来性が問題になってもおかしくない。

たしかにBTCには書き込めるデータブロックの大きさ(スケラビリティー)の限界や、マイニングできるコインの総量が始めから決まっており、時間とともにマイニングが難しくなるので、送金や支払い手段としては時間がかかり使えないというBTCのブロックチェーン特有の問題はある。

またBCHは、ハードフォークによって新しいコインがBTH保有者にボーナスとして与えられると期待したものの、これが「ABC」と「SV」というBCHを管理する2つのグループの内紛が原因で、新しいコインの付与はないことがはっきりした。この内紛は、BCHのブロックチェーンの信頼性を大きく低下させただけだった。

しかし、プログラムの自動実行機能を内蔵するイーサリアムのスマートコントラクトのように、さまざまなタイプのブロックチェーンがすでに開発されている。実際、ブロックチェーンを適用したプロジェクトの多くはスマートコントラクトを使っており、ビットコインのブロックチェーンを基礎にしているものはほとんどない。

ということでは、BTCやBCH暴落の原因はこれらのコインに特有なものであり、ブロックチェーンのテクノロジーそのものとは相対的に無関係であると判断してよいだろう。

もちろん、これら2つのコインの暴落によって、仮想通貨全般に対する信頼度が揺らぎ、あらゆるコインの相場が下落している。だが、これも仮想通貨に限定された現象であり、ブロックチェーンのテクノロジーとは相対的に無関係だ。

焦点はブロックチェーンのテクノロジー

しかし、重要なことは仮想通貨そのものではない。その基礎になっているブロックチェーンのテクノロジーなのだ。

これはブロック化したデータをすべてリンクし、複数ある分散台帳に書き込むテクノロジーだ。ブロック化したデータにはハッシュ関数の暗号が組み込まれているため、書き込まれるためにはこれを解読する必要がある。マイニングである。ブロックチェーンではこのような暗号化のテクノロジーが基礎になっているため、これまではサーバーの機能に依存していたセキュリティーを確保する必要がない。中央集権のサーバーに依存したシステムと比べ、分散台帳による管理コストは大幅に低減でき、なおかつ厳重なセキュリティー確保の必要もない。

さらに、イーサリアムのようなプログラムの自動実行機能を実装したシステムでは、サーバーの機能のほとんどが自動化される。そのため、コストが安く、セキュリティーの心配がなく、そしてプログラムの自動実行機能を持つシステムになる。

実は仮想通貨というのは、こうしたブロックチェーンテクノロジーの最初の適用事例にすぎない。これからこのテクノロジーは、サーバーによって管理されているあらゆるシステムに適用されるはずだ。それによって、既存のインフラを変革する主要なテクノロジーになる。

その意味では、既存の仮想通貨が暴落しようと、またビットコインやビットコインキャッシュが消滅したとしても、ブロックチェーンのテクノロジーは拡大を続けるはずだ。

Next: なぜビットコインはここまで暴落したのか?



BTCとBCHの暴落の原因

BTCとBTHが暴落した原因を押さえておいたほうがよいだろう。原因を理解すれば、この暴落がブロックチェーンのテクノロジーそのものとはほとんど無関係であることがはっきりする。パニックに飲み込まれないためにも重要だ。

次の3つが、これらのコイン暴落の主要な原因だ。

<暴落の原因その1:BCHのハードフォーク>

やはりBTCとBCH暴落の一番大きな原因となったのは、BCHのハードフォーク問題である。BTCのハードフォークからBCHが生まれ、BTCの保有者にBCHが付与されたように、今回のBCHのハードフォークでも同じように分岐で生成した新しいコインが付与されるものと考えた。そのため、多くのマイナーがBTCのマイニングから撤退し、BCHに集中した。

しかし、11月になると、BCHのハードフォークは「ABC」と「SV」という2つの管理団体の内紛が原因であることが分り、ハードフォークによっても新コインの生成がないことがはっきりした。このため、BCHの価格は暴落した。

<暴落の原因その2:BTCのハッシュパワーの低下

BCHのハードフォーク騒動の煽りを受けたのはBTCであった。BTCの主要なマイナーがBCHに移ったため、BTCのマイニングに必要となるハッシュパワーは大きく低落した。この結果、BTCのマイニングも減少し、価格は暴落した。すると、マイニングに必要な電気料というコストを支払うことができず、採算割れをして破綻する中小のマイニング企業も出てきた。その結果、価格は暴落した。

すると損失を防ぐために多くの投資家がBTCを売ったため、BTCの暴落が一般的なトレンドになった。

<暴落の原因その3:政府の不明確な規制

2017年7月のG20以降、各国の政府は仮想通貨を規制する方針を明確にしたものの、各国の足並みはそろわなかった。そのため、各国とも仮想通貨を安全な資産にするために規制に乗り出したものの、規制の内容はバラバラで、新しい規制が発表になるたびにBTCとBCHを中心とした仮想通貨市場の相場は下落した。

このような相場の不安定な状況を嫌い、相場が安定し、仮想通貨が安全資産になるために期待されていた大口の機関投資家の参加は限定されていた。そのため、相場が安定することもなかった。

これがBTCやBCHの相場が大きく低迷している基本的な原因だ。できるだけ簡単に要約したが、これを見る限り、この状況の原因はBTCやBCHに特有なものであり、ブロックチェーンのテクノロジーそのものとはまったく関係がない。

Next: 金融庁の規制はもしろ歓迎? 今後も拡大するブロックチェーン



ICOの規制

また、相場の下落の背景のひとつになったのは、日本の金融庁による以下のようなICOの規制方針の発表である。

金融庁は、ベンチャー企業などが独自の仮想通貨を発行して資金調達する「ICO」に対する規制に乗り出す。海外では詐欺まがいの案件も多いとされるため、個人投資家に対する勧誘を制限し、投資家保護を図る。独自通貨を販売する事業者に金融庁への登録を義務付ける方針で、来年の通常国会に金融商品取引法、資金決済法の改正案の提出を目指す。

出典:「ICO」、個人投資家の勧誘制限=仮想通貨規制、金商法改正へ-金融庁 – 時事ドットコム(2018年12月1日配信)

当メルマガの第25回でも書いたように、私はその情報をいち早くつかんでいたので、ICOそのものの宣伝を中止した。まさにそのような方向に動きつつある。

「ICO」は、ブロックチェーンを導入する新規プロジェクトが資金を調達する一般的な方法である。したがって、「ICO」の規制はブロックチェーンを活用するプロジェクトの低迷に結果し、ブロックチェーンのテクノロジーの拡大スピードを減速させる可能性もある

しかし金融庁は、「ICO」という方式そのものを潰す方針ではないようだ。金融庁の規制の元で、信頼できる資金調達方法として認可する方向のようだ。ということでは、金融庁の規制でむしろ安全な「ICO」の方向が明確になり、ブロックチェーンの優良なプロジェクトは逆に増えるのではないかと思う。

今後も拡大するブロックチェーン

仮想通貨相場の下落の背景や、「ICO」規制の方向性を概観してきたが、こうした状況を見るとブロックチェーンのテクノロジーそのものの拡大を阻止する要因ではないと結論してよいように思う。

ということでは、今後もブロックチェーンは既存のインフラや、さまざまなサービスへの適用はどんどん進むと見てよいだろう。ブロックチェーンはいま進んでいる第4次産業革命の中核的なテクノロジーで、このスピードは衰えないだろう。

このメルマガではこれまで以下の18の領域でブロックチェーンの適用を紹介してきた。

・再生可能エネルギー
・教育分野
・健康と医療分野
・AIとブロックチェーン
・不動産
・ゴールド
・観光業
・慈善事業
・農業
・会計と経理分野
・製造業とブロックチェーン
・ビッグデータ
・ウェブ3.0
・音楽配信
・銀行業
・メディア
・選挙
・保険

多く見えるかもしれないが、これらはほんの序の口だ。今後もあらゆる分野を紹介してゆく。

Next: 社会がより便利に。いまもっとも注目されているプロジェクトとは



いまもっとも注目されているプロジェクト

今回はこれまでの分野別の紹介ではなく、いまさまざまなサイトでもっとも評価が高いプロジェクトを紹介する。評価は5.0ポイント満点で4.5ポイントを越える最高評価のものに限定した。

<CWEX:評価4.5>

公式サイト:https://cwinex.io
紹介ビデオ:https://www.youtube.com/watch?v=RK7LWRp4-bY

資産としての高級ワインを取引するためのプラットフォーム。伝統的に高級ワインは将来の値上がりが期待できる安全な資産としてみなされている。そのため、高級ワインの投資も毎年増加している。

しかし高級ワインは、絵画や不動産と同じく仲介業者が非常に多い分野でもある。このため、ワインの価格には手数料が上乗せされ、ワインの価格高騰の背景のひとつになっている。

「CWEX」は高級ワインの販売者と投資家を直接結ぶブロックチェーンをベースにしたプラットフォームである。ワインの所有者はブロックチェーン上に記録されて管理され、販売者と購入者は「CWEX」のプラットフォームで直接取引できる。

このようなシステムの結果、高級ワインに上乗せされる手数料は大幅に削減されるので、価格は引き下げられる。これはこの分野の投資家にとっては大きな利益となるはずだ。

外食産業でブロックチェーン技術を活用:●●●(有料メルマガで読めます)

分散型の広告宣伝プラットフォーム:●●●(有料メルマガで読めます)

知的財産保護にブロックチェーン技術を適用:●●●(有料メルマガで読めます)

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仮想通貨の暴落と関係なく拡大する

今回の紹介はこのくらいにする。おそらくこれからも、あらゆる既存の分野におけるブロックチェーンの適用はさらに一層拡大し、社会サービスやインフラを刷新するための基本的なテクノロジーになることは間違いないと思われる。

次回も分野別ではなく、いまもっとも注目されているプロジェクトを一挙に紹介する。

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・ビットコインはどうなるのか?もっとも評価の高いプロジェクト(1)(12/11)
・保険とブロックチェーン(2)(12/4)
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・選挙とブロックチェーン(1)(11/13)
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・銀行とブロックチェーン(2)(10/23)
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・農業とブロックチェーン(1)(7/24)
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・慈善事業とブロックチェーン(1)(7/10)
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・観光業とブロックチェーン(1)(6/26)
・ゴールドとブロックチェーン(2)(6/19)
・ゴールドとブロックチェーン(1)(6/12)
・不動産とブロックチェーン(2)(6/5)
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・不動産とブロックチェーン(1)(5/29)
・最先端テクノロジーの組み合わせ、AIとブロックチェーン(2)(5/22)
・最先端テクノロジーの組み合わせ、AIとブロックチェーン(1)(5/15)
・ブロックチェーンが健康と医療分野にもたらす革命(2)(5/8)
・ブロックチェーンが健康と医療分野にもたらす革命(1)(5/1)
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・ブロックチェーンがもたらす教育分野の革命(2)〜ICO一挙紹介(4/24)
・ブロックチェーンがもたらす教育分野の革命(1)(4/17)
・ブロックチェーンの適用で変化する再生可能エネルギーのプラットフォーム(2)(4/10)
・ブロックチェーンの適用で変化する再生可能エネルギーのプラットフォーム(1)(4/3)
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ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』(2018年12月11日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン

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昨年から今年にかけて仮想通貨の高騰に私たちは熱狂しました。しかしいま、各国の規制の強化が背景となり、仮想通貨の相場は下落しています。仮想通貨の将来性に否定的な意見が多くなっています。しかしいま、ブロックチェーンのテクノロジーを基礎にした第四次産業革命が起こりつつあります。こうした支店から仮想通貨を見ると、これから有望なコインが見えてきます。毎月、ブロックチェーンが適用される分野を毎回紹介します。

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