マネーボイス メニュー

「郵政3社は最強の仕手株だ」ある情報筋との会食、本尊は日本政府?

先週金曜日、米雇用統計で爆発したような数字が出て、世界中でいっせいにドルが買われドル/円が123円台を突破した夜。久しぶりに私が情報を取っているジャーナリストの方を囲んでの会食がありました。

相も変わらずコアな情報をお持ちでしたので、今回はそのときに得た情報をご紹介しましょう。東京都内で18時30分から始まった会は、ジャーナリストの方を引きずりまわして23時過ぎまで続きました。(らぽーる・マガジン

あるジャーナリストからの生情報――雇用統計の夜に

(1)「郵政株は仕手株だ」買い本尊たる政府のシナリオは?

それでは早速、ジャーナリストの方との久しぶりの会食で聞いた話をご紹介しましょう。

日本のすべての資金を株式市場に誘導する、それが政府の狙いです。株以外のところに資金を振り向かせない、何が何でも資金を株式市場に流れるようにしていくのです。それがすべてだそうです。

郵政上場はまさにその象徴で、同席した某証券会社の人も言っていましたが、郵政上場で新規証券口座がかなり増えたそうです。NISAで個人投資家を増やし、郵政購入のために証券口座を集め、高配当をエサに買った株は売らせないというストーリーだそうです。

郵政上場には、政府保有株を売却して東日本大震災の復興支援金を確保する目的もあります。今回の上場は政府保有の10%程度の放出で、政府はまだ9割近い株を保有しています。

いまの計画では、政府保有株数を50%まで売り出すことになっています。当然追加公募が見込まれます。第1回公募は失敗するわけにはいかず、それが郵政IPOの事前人気につながったと思われます。

郵政3社の指数組み入れについては、FTSE(ロンドン証券取引所子会社が提供している指数)は11月10日の引け、MSCI(アメリカ企業が提唱している指数)は11月17日の引けとなります。このため、それぞれの指数をベンチマークとするパッシブファンドは、これらの日の終値でリバランスを行う必要があります。「10日の引けで130万株程度の買い需要が発生」というニュースが出ているくらいです。TOPIXは12月29日の終値でリバランスが行われます。なお、MSCIは、時価総額の小さいかんぽ生命は組み入れていません。

ジャーナリストの方の話では、郵政株は仕手株だと断言しています。同席していた某大手証券会社の方も同感と言っていましたね。

それゆえご自身では、イベントなどでも郵政株を勧めていなかったそうです。ということは、いずれ大きくドテン(最高値からの反転下落)するのでしょうか。個人投資家の資金を、郵政上場をエサに株式市場に吸い上げて、大きく海外勢が刈り取る、あるいは仕手筋のバック(多くは政治がらみ)が刈り取る算段なのでしょうかね。

郵政で浮かれた個人投資家は、株式投資なんて軽い、ちょろいという印象を持ち、誤解の中で株式市場に資金を突っ込んでくるとまで言っていましたね。先週のこのメルマガでご紹介した、某政府関係者のオフレコとしての発言がよみがえります。

年内に株価20000円、遅くとも来年3月までには20000円にするという発言が重なってきます。とにかく政府は、是が非でも株価を押し上げたい、そうしないと安倍政権が持たないということだそうです。

Next: 「円安は加速する」そのキッカケは利上げではなくTPP各国批准だ


初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中

らぽーる・マガジン

[月額324円(税込) 毎週月曜日]
投資を始めたばかりの人、これから投資を始める人に向けての情報誌です。ある程度投資を経験している人にも、今後の投資判断の材料としていただく情報を書いています。今足元で起きている出来事を、報道情報を深く読み解き、また、実際に投資を行っている人からの現場の情報をもとに、分かりやすく解説していきます。投資が「わかりやすい」情報誌です。「らぽーる」は、臨床心理用語で、クライアントとの「架け橋」を意味します。情報を通じて皆様との架け橋が「らぽーる・マガジン」です。

(2)「円安は加速する」そのキッカケは利上げではなくTPP各国批准だ

ジャーナリストの方はTPPにずっと注目していて、TPPが最終的に各国批准にまで進んでくれば、円安は加速すると言っていました。そのカラクリは、アメリカの日本への円高強制圧力が弱まることにあるとしています。

いままでデフレで苦しんだ日本に対して、アメリカは円高を押し付けてきたという論調です。欧米は、デフレ危機に陥りそうになったときはさっさと自国通貨の価値を下げてきましたが、日本はそれが許されませんでした。日本経済はどん底だったにもかわらず、ずっと円高でした。円が買われていたのです。そんな馬鹿なという現象ですね。

日本が円高になる理由として、デフレで日本は実質金利が高いとか、慢性的な経常黒字が円が買われる、などとされてきました。

ジャーナリストの方は、アメリカが日本に何度も構造改革をするように迫っているのに、ぜんぜん実行されないことに業を煮やし、外圧として円高を強いているとの見方をしています。

TPPはまさに日本の構造改革、規制緩和を推し進めるもので、これが同意となればもはや円高を押し付けるまでもなく構造改革は進むとして、その重しがなくなり、本来の円の水準に戻るとの見方のようです。つまり円の価値は高すぎるから安くなるとしています。

今後はドル/円は160円もあり得ると言っていましたが、円安に関してはアメリカ利上げのインパクトよりもTPPのほうが強いということのようです。

利上げはすでに市場は織り込んでいて、ここまでのドル/円123円台、今年もっとも円安になったのが125円台、この数字は利上げを見込んでいるもので、利上げが実施されたら逆に円高が進むと思われます。

どこまで円が買い戻されるかはわかりませんが、そこから先の円安は、まさにTPPの要素が強いということなのでしょう。ジャーナリストの方は円安第二幕と言っていました。

TPPに関しては大筋合意を受けて、各国が持ち帰って議会承認を得る段階に入っています。アメリカでは政府が貿易協定に署名する場合、90日前までに議会に通知しなければならない「90日ルール」があります。正式にアメリカが批准するのは来年3月以降となるでしょう。

TPPは円安を誘導するという論理で行けば、来年は今よりも円安になる可能性が高いと言えます。

Next: 「杭打ち問題はさらに拡大する」それでも旭化成はつぶれない


初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中

らぽーる・マガジン

[月額324円(税込) 毎週月曜日]
投資を始めたばかりの人、これから投資を始める人に向けての情報誌です。ある程度投資を経験している人にも、今後の投資判断の材料としていただく情報を書いています。今足元で起きている出来事を、報道情報を深く読み解き、また、実際に投資を行っている人からの現場の情報をもとに、分かりやすく解説していきます。投資が「わかりやすい」情報誌です。「らぽーる」は、臨床心理用語で、クライアントとの「架け橋」を意味します。情報を通じて皆様との架け橋が「らぽーる・マガジン」です。

(3)「杭打ち問題はさらに拡大する」それでも旭化成はつぶれない

先週メルマガに書いた地方銀行の再編も、実はかなり進んでいるとのことです。信用金庫や信用組合の再編は進んでいるようで、マスコミが取り上げないだけとのことだそうです。今後の銀行は、先週指摘したとおりのシナリオで動くようです。

旭化成建材の杭打ち問題は、これでとどまらないそうです。今後、全国に広まるとの話でした。旭化成建材の現場責任者が他社での工事でも偽装したことを証言しているとのことです。

かといって旭化成がつぶれるということはないでしょうね。これは同席の証券会社の方も同意見のようです。

いまの相場がリスクオフからリスクオンに潮目が変わったのは、10月22日、ECBドラギ総裁が記者会見で、12月追加緩和実施を強くにじませたこと。またその翌日、中国人民銀行が預金準備率を引き下げ、預金金利上限を撤廃し、銀行金利を原則自由化すると発表したことに始まります。

これに関してジャーナリストの方は、わざわざ上海市場が閉まったあとのロンドン時間に発表したことに注目し、訪英中の習近平主席の手土産と称していました。何が言いたいのかというと、ヘッジファンドはこれらの情報をすべて先取りしているということだそうです。

ロシアのウクライナ侵攻、フォルクスワーゲン排ガス不正も、ヘッジファンドが売り崩した後に発覚していて、株価の下落が大きくなかったことを指摘しています。事実、39%も輸出に依存しているドイツにとって、フォルクスワーゲン問題は、ドイツ経済が2桁のマイナス成長に陥るほどのインパクトがあるにもかかわらず、株価下落が限定的だったことを挙げていました。

まさにドラギマジックのおかげです。

フォルクスワーゲン排ガス不正が規制当局に告発されたのは4年前だそうです。そのころからヘッジファンド筋は情報を得ていて、当然ロシアのウクライナ侵攻も知っていて、ギリシャ危機をよいことに欧州株を売り崩して儲けていたと指摘しています。

ECBドラギ総裁は元ゴールドマンサックス副会長、ベン・バーナンキFRB議長とともに、フィッシャーFRB副議長に学んでいます。ジャーナリストの方は、今の米民主党政権は、ウォール街・財務省複合体と称しています。すべては彼らの手のひらの上での話ということなのでしょうか。

ここまでの話を総合し、今後の展開を整理しますと、アメリカの債務上限引き上げ問題も通過しました。中国の話や欧州の話も、すべてアメリカのシナリオの上に成り立っているとするなら、TPPが鍵であり、それによりアメリカ株は上昇、日本に対してはプレッシャーをかけるのをやめるので円安が進むということになるのでしょう。

目先の需給による一時的な円高は気をつけるにしても、長い目で見れば円安というシナリオは変わらないのでしょう。

Next: 「予想できるのは来年3月まで」最後は個人投資家が餌食に?


初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中

らぽーる・マガジン

[月額324円(税込) 毎週月曜日]
投資を始めたばかりの人、これから投資を始める人に向けての情報誌です。ある程度投資を経験している人にも、今後の投資判断の材料としていただく情報を書いています。今足元で起きている出来事を、報道情報を深く読み解き、また、実際に投資を行っている人からの現場の情報をもとに、分かりやすく解説していきます。投資が「わかりやすい」情報誌です。「らぽーる」は、臨床心理用語で、クライアントとの「架け橋」を意味します。情報を通じて皆様との架け橋が「らぽーる・マガジン」です。

(4)「予想できるのは来年3月まで」最後は個人投資家が餌食に?

ただし、日本の株価が円安メリットで上昇し続けるとは限らないと言っていました。

来年3月までは、日銀がETFを買い、ゆうちょ・かんぽが株を買い、年金が買い支える構図は加速すると見ているようです。

ここで、政府関係者の日経平均株価を20000円にするという発言が納得いきます。来年度は、これまで買い手だった年金が売り手に回る可能性があると指摘しています。株価上昇で株保有比率が高まるのでしょうかね。

ゆうちょやかんぽが株を買ってくるとしても、年金は今までのように株価を支えることができなくなると指摘しています。外国人投資家の日本買いも止まるとも指摘していました。日本株は日本国内で支えなければならないことになるようです。

くじら頼みの日本市場です。それに日本市場は海外勢にとってはファイナンスの場ですから、おいしくなったとこで先に食べつくせばそれでいいわけですからね。どうやらそれが来年に表れてくるのではとの指摘でした。

要は来年3月までしか先が見えないということのようです。

どこまで行っても「日本個人投資家 vs. ヘッジファンド」で、常に日本の個人投資家は負けるようになっているのでしょう。

今の政権は、日本国内の資金を株式市場に振り向かせるように動いているとのことですよね。ということは、政府が日本の個人資産をアメリカウォール街に提供しようとしているのですか。

考えすぎとは思いますが、確かに直近では株価は上がり、投資環境はよいと思われますが、こういった事情を踏まえて、気をつけて投資をすることが重要なのだということはよくわかります。

私たちは賢くこの情報を吟味して、やはり市場に長くいるのではなく、短期で利益確定を繰り返すのが最大の防衛策なのかもしれませんね。

【関連】郵政相場はいつまで続く?/「落ちこぼれアナリスト」の予想を疑え=櫻井英明

【関連】「日本郵政の、日本郵政による、日本郵政のための官製相場」が始まる=近藤駿介

らぽーる・マガジン』(2015年11月9日号)より一部抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中

らぽーる・マガジン

[月額330円(税込) 毎週月曜日]
絶対に知るべき重要な情報なのに、テレビなどが取り上げないことで広く知らされていないニュースを掘り起こし、また、報道されてはいるけどその本質がきちんと伝わっていない情報も検証していきます。情報誌は二部構成、一部はマーケット情報、マーケットの裏側で何が動いているのかを検証。二部では、政治や時事問題、いま足元で何が起こっているのかを掘り下げていきます。“脱”情報弱者を求める人、今よりさらに情報リテラシーを高めたい人はぜひお読みください。CFP®資格の投資ジャーナリストが、毎週月曜日にお届けします。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。