今回パリで勃発した同時多発テロ。これだけの大掛かりな「仕掛け」を実行するには、やはり相応の後ろ盾がいなくてはなりません。
「イスラム国」の面倒を見ているのはサウジアラビアで、また、日本(安倍政権)が「反オバマ陣営」の有力な構成員であるというのが私の持論ですが、それらを踏まえて結論を言えば、今回の黒幕はロシア、イスラエル、サウジアラビアの「反米反オバマ枢軸」である可能性が高くなります。(『本格株式講座 世界情勢最新分析報告書』子貢)
パリ同時多発テロの黒幕は「反米反オバマ枢軸」の3国なのか
テロを仕掛ける動機を持つロシア、イスラエル、サウジ
動機はあります。
ロシア、イスラエル、サウジアラビアの3国は、オバマ大統領の米国と鋭く対立している点で共通する一方、フランスのオランド大統領は2012年の米国大統領選挙でオバマ支持を早くから打ち出していた、言わば「同志」です。
しかも先日、エジプトからロシアに向かった旅客機が墜落しましたが、早い段階から断定口調でテロの可能性を指摘してきたのは他ならぬ米英首脳。自国の航空会社の飛行機を落とされたロシア(=プーチン大統領)としては怒り心頭ですし、エジプトに資金援助を続けているサウジアラビアも面目丸潰れです。
加えてロシアはドーピング問題で来年(2016年)のリオデジャネイロ五輪に参加できないかもしれない局面に追い込まれていますが、そもそも今回の騒動の発端となった世界反ドーピング機構(WADA)はNPO法人で、IOC(国際オリンピック委員会)にも属していない独立した組織です。
このNPO法人の最高幹部は英国人貴族、本部はカナダのモントリオールに置かれていますが、ここはフランス系住民の勢力が強い地域です。
そしてオバマ大統領と表面上は仲直りしたイスラエル(ネタニヤフ首相)も、反イスラエル政策を堅持するフランスに対して不快感を持っているのですが、実はこの「枢軸」3国、諜報の分野では世界屈指の実力の持ち主です。
旧ソ連時代から米国と張り合ってきたロシアは、今でも強力な諜報機関を擁していますし、何よりプーチン大統領が諜報畑の出身です。
イスラエルの諜報機関は、部分的には米国を凌駕すると言われる能力を持つ組織ですし、「聖地メッカの守護者」にして「イスラム教の盟主」サウジアラビアは、カトリックの総本山バチカンが情報通であるのと同様に、広範な情報網を張り巡らせています。
したがって、これら「枢軸」3国には動機もあれば、計画を立案遂行する実力も兼ね備えているわけですが、なぜパリを狙ったのか、フランスが「親オバマ勢力」の一角であることはもちろんですが、他にも理由があります。
フランス・パリが標的となった理由
まず、あれこれと嫌がらせをしている米英は、諜報能力が高いうえに、喧嘩を売るからにはそれなりの覚悟と準備をしているはずです。「枢軸」3国が標的を選ぶにあたって、これだけの規模の破壊工作は困難です。
そこへいくと、フランスは両国と比較して諜報能力は劣りますし、事態を甘くみていた節があります。
仮に今回のような事件がドイツで発生したとすると、国論はむしろEU(欧州連合)の維持でまとまる恐れがありますが、すでに「反EU、反移民難民」を掲げる極右政党が中道右派や左翼(社会党)と互角以上に渡りあっているフランスでは、極右勢力への支持が強まることが予想されます。
ユダヤ教徒と日本人が襲撃されなかったことの意味
今回の同時多発テロで特徴的なのは、今までとは異なり、ユダヤ教の教会(シナゴーグ)やユダヤ教徒の住居、店舗が襲撃されていないこと、そして日本人の犠牲者が少なくとも現段階で確認されていないことです。
ユダヤ教国家イスラエルが今回の事件に一枚噛んでいるとすれば辻褄が会いますし、日本(安倍政権)が「反オバマ陣営」の有力な構成員だとの私見が正しければ、可能な限り日本人犠牲者は減らす必要があります。
また、複数の実行犯がフランス国内のイスラム系移民ないし難民だと判明すれば、世論は一気に「反移民、反EU」に傾きます。
フランスは虚を突かれ、事件を未然に防げず、呑気に国家元首がサッカーを観戦していた競技場でさえテロの標的になってしまった以上、国威と大統領の権威が失墜してしまいました。
オランド大統領はこれで「死に体」、フランスもEU及びユーロ圏の精神的支柱の座から降りざるを得なくなります。
Next: テロはEU・ユーロ圏解体の序章か?ECBの追加緩和に影響も
初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中
本格株式講座 世界情勢最新分析報告書
[月額1,728円(税込) 毎月第1水曜日・第1土曜日・第2水曜日・第2土曜日・第3水曜日・第3土曜日・第4水曜日・第4土曜日(年末年始を除く)]
工事中です。暫くお待ち下さい。ご理解の程を宜しくお願い申し上げます。メルマガタイトルよりご想像頂ければ幸いです。(本誌執筆者)
テロはEU・ユーロ圏解体の序章か?ECBの追加緩和に影響も
突き詰めれば、今回の事件はEUとユーロ圏解体の序章であり、これで「悪いユーロ安」が加速する公算が高まったと言えますし、ECB(欧州中央銀行)が目論んでいる追加量的緩和政策は、実施しなければ市場は失望しますし、強行すれば「悪いユーロ安」を促す要因になります。
要は進むことも退くこともできなくなったのですが、換言すれば今回の株高はこれで終わり、世界各地の市場で混乱が始まると考えられます。
いわゆる「イスラム国」の面倒を見ているのがサウジアラビアという私の持論が正しければ、その「国家」が樹立されていた時点で、今回の「パリ襲撃」計画は綿密に立案されていたと推測され、「親オバマ勢力」が攻勢に出た場合の反撃策として採用されていたとみられます。
つまり、たまたまこの時点で相手が動いたから、計画を実行に移しただけで、これだけ大掛かりな工作を完璧に遂行するとなると、付け焼き刃では不可能です。
付言しますと、オランド大統領は早々に「IS=イスラム国」の犯行と断定してますが、何ら事前に察知することもできずに出し抜かれた政府が、犯行の実行者だけは迅速に掴めるというのは解せない話。何らかの政治的配慮があれば別ですが、率直に言って眉唾物です。
五輪問題に絡んでブラジルが標的になる恐れ
今回の事件の本当の教訓は、「親オバマ勢力が攻勢に出れば、反撃策は用意されている」ということで、とすればリオデジャネイロ五輪へのロシアの参加が認められない時は、五輪開催ができなくなるようにすれば良いという結論になります。
すなわち、ブラジルをそこまで追い詰めれば済む話で、デフォルトを余儀なくさせるか、その手前まで追い込んで、五輪どころではなく、開催を返上させる立場に置けば万事解決です。
あるいは経済的疲弊が著しいですから「経済テロ」も有効ですし、破綻寸前の国家経済は社会不安を醸成していますから、「社会的無秩序の創出テロ」も考えられます。
ブラジルの場合は、何も「イスラム国」に暴れてもらわなくとも構わず、手段は他にいくらでもあります。
例えば、現実になりつつありますが、一次産品価格の下落に拍車が掛かれば、南米の弱小国から音を上げることになり、それが地域大国ブラジルに波及すれば、どのような結末を迎えるか、贅言(ぜいげん)を要しないと思われます。
世界株式市場への影響は未知数
今週(~11月13日)は看過できない出来事が集中的に表面化しましたが、パリの同時多発テロで、そのすべてが霞んでしまった感があります。何もかも吹っ飛んだというのが率直な感想です。
それでなくとも週末(11月13日)の米欧市場で弱含んだ国際株式市場が、週明け以降(11月16日~)どのような展開になるのか想像しかねます。株式市場に限って言えば、新たな段階に突入したと言えます。
『本格株式講座 世界情勢最新分析報告書』2015年11月14日号より一部抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による
初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中
本格株式講座 世界情勢最新分析報告書
[月額1,728円(税込) 毎月第1水曜日・第1土曜日・第2水曜日・第2土曜日・第3水曜日・第3土曜日・第4水曜日・第4土曜日(年末年始を除く)]
工事中です。暫くお待ち下さい。ご理解の程を宜しくお願い申し上げます。メルマガタイトルよりご想像頂ければ幸いです。(本誌執筆者)