fbpx

まさに腐海。中国が環境汚染に無関心でいられる「自分勝手」な理由=三橋貴明

深刻な環境汚染が続く中国。かつて日本の高度経済成長期がそうだったように、環境汚染問題が深刻化すれば、それを解決しようとする動きも活発になりそうなもの。にもかかわらず中国でその動きが見えてこないのはなぜでしょうか。作家の三橋貴明さんは、中国の環境問題の根本原因として、日本とは異なる構造的要因を指摘します。

記事提供:『三橋貴明の「新」日本経済新聞』2015年11月12日号より
※本記事のタイトル・リード文・本文見出し・太字はMONEY VOICE編集部によるものです

なぜ中国人は母国の環境汚染に無関心でいられるのか?

「国家なんかどうでもいい」一族の利益優先のグローバリズム

韓国が「グローバリズムの優等生」なら、中国は「究極のグローバリズム国家」でございます。

ここで言う「グローバリズム」とは、「モノ、ヒト、カネの国境を越えた動きを自由化する」という政策の話ではなく、「個の利益のためにナショナリズム(国民意識)や国家の利益を犠牲にする」という意味になります。

国民の共同体である国家などどうでもいい。自分の利益が最大化されればいいという思想は、まさにグローバリズム的です。

もっとも、中国人民の場合は「個人」というよりは、家族や一族の利益をナショナリズムのはるか上に置いているところが、欧米のグローバリズムと少し違いますが。

いずれにせよ、多くの中国人民は中華人民共和国のことなど「どうでもいい」と思っているわけです。できるだけ、中国国内で所得を稼ぎ、まずは財産と家族を外国に移す。最後は、自分も移民する。

一族はともかく、「国家」のことなど誰も真剣に考えない。中国人民は明帝国の時代から(海禁政策がとられていたにも関わらず)支那大陸から脱出し、「外国に錦を飾る」ことを目指してきました。すなわち、華僑・華人です。

中国人民が外国に逃げようとしても逃げられなかったのは、毛沢東時代くらいではないでしょうか。ナショナリズムがない中国人民は、とにかく「利益」のためならば、何でもやります。

地元の共産党官僚と結託し、環境を破壊することも厭いません。何しろ、彼ら、彼女らは中華人民共和国のナショナリズムなど持たない、グローバリストなのです。

まるで「核の冬」。それでも政治力を持つ者は法律を守る必要がない

一応、中国にも環境保護の法律はあります。が、そんなものは誰も守りません。理由は、法律を守ると利益が減るのに加え、地元の官僚との「コネクション=政治力」により、別に法律を守る必要もないためです。

結果的に、支那大陸は人類が生存不可能な腐海/腐界と化しつつあります。

中国東北部の遼寧省瀋陽市で大気汚染が「過去最悪」とも言われる状態になり、国営メディアやネット世論は声高にこの状態を非難している。

国営人民日報によると、8日には瀋陽の一部で微小粒子状物質PM2.5の濃度が一時、1立方メートルあたり1400マイクログラムに達した。これは世界保健機関(WHO)が健康のために推奨する最大基準値25マイクログラム(24時間平均)の50倍以上にあたる。

環境保護団体グリーンピースのドン・リャンサイさんはAFP通信に、「ここ数年の観測データを見ると、少なくとも記録上もっとも高いPM2.5の数値だ」と話した。過去最大値かどうか、中国政府は確認していない。

国営メディアは、濃いスモッグは地元政府のせいだと非難している。

石炭産業など多くの重工業が集中する中国東北部では、公害は慢性的な問題だ。

「不合理なエネルギー消費」

大気の状態が一気に悪化したのは、石炭を燃やす「集中暖房」が始まったからとみられている。

地元メディアは、住民への警報や、臨時休業などの通達が遅れたと当局の対応を非難している。

英字紙グローバル・タイムズは社説で、地元政府の公害対策の経験が浅く「情報伝達の流れがバラバラだ」と批判し、「エネルギー消費の方式や産業構造が不合理だ」と書いている。(後略)
出典:中国「過去最悪」の大気汚染に非難集中 – BBC NEWS JAPAN

1立方メートルあたり、1400マイクログラム……。まるで核の冬のようです。

中国の環境汚染について、日本国内には、「日本も高度成長期に公害があったが、きちんと解決できた。中国も……」と、相対化をしようとする愚か者が少なくないですが、民主主義国と共産独裁国を一緒にしないでほしいです。

民主主義国では、最終的には「一票」を持つ有権者の力で、公害問題を解決することができます。票を失いたくない国会議員は、企業の意向に逆らっても、公害問題を解決する法律制定のために動きます(少なくとも建前は)。

それに対し、中国人民に選挙権はありません。中国でモノを言うのは有権者の票ではなく、共産党官僚とのコネクションや、共産党官僚の出世、地位なのです。つまりは、政治力です。

Next: ここまで深刻な環境汚染は「共産党独裁の人治主義国家」ならでは

1 2

無料メルマガ好評配信中

三橋貴明の「新」日本経済新聞

[無料 ほぼ日刊]
●テレビ、雜誌、ネットで話題沸騰!日本中の専門家の注目を集める経済評論家・三橋貴明が責任編集長を務める日刊メルマガ。三橋貴明、藤井聡(京都大学大学院教授)、柴山桂太(京都大学准教授)、施光恒(九州大学准教授)、浅野久美(チャンネル桜キャスター)、青木泰樹(経世論研究所 客員研究員)、平松禎史(アニメーター・演出家)、宍戸駿太郎(國際大学・筑波大学名誉教授)、佐藤健志(作家・評論家)、島倉原(評論家)、上島嘉郎(ジャーナリスト/元「正論」編集長)などの執筆陣たちが、日本経済、世界経済の真相をメッタ斬り! 日本と世界の「今」と「裏」を知り、明日をつかむスーパー日刊経済新聞!

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらTwitterでMONEY VOICEをフォロー