“丸の内の大家さん”とも称される三菱地所ですが、この10年にわたって株価が下落し続けています。それによって実質PBRは0.4倍という割安な水準となっています。この割安さに、今来日中のバフェットも注目するのではないかと私は考えています。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)
プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
三菱地所の事業内容
改めて三菱地所がどのような事業を行っているか見てみます。
不動産業には主に「賃貸」と「分譲」がありますが、三菱地所は賃貸が主となっています。
大手町パークビルや山王パークタワー、丸ビル、新丸ビルと、都心の一等地を押さえていて、歴史もある企業です。
業績好調なのになぜ株価が下がるのか
三菱地所の過去10年のチャートです。

三菱地所<8802> 月足(SBI証券提供)
10年前は一時3,200円あったものが今は1,600円なので、約半分になってしまっています。
しかし、業績は実は右肩上がりです。

三菱地所<8802> 業績(SBI証券提供)
これを見ると、今は割安に見えます。
PBRは1倍程度ということで、この時点で割安感は漂っています。
業績も伸びていて地盤も盤石なのになぜ株価が下がっているのでしょうか。
<不動産価格下落の懸念>
コロナ禍以降、不動産価格の下落が懸念されています。
足元では空室率が上がっていて、コロナ禍でのリモートワークの浸透でオフィスビルの需要が減るのではないかという見方もあります。
また、2023年に、特に都心を中心に多くの大規模なビルのオフィスの供給があります。
リモートワークが浸透してきている中でのオフィスの大量供給で、価格が下がる可能性があり、空室率の上昇という形で現れています。
そもそも「不動産は大丈夫なのか?」という考えが大勢を占めている状況です。
<金利上昇リスク>
金利が上がると、お金の流れが停滞し、結果的に物件価格が下がると言われています。
三菱地所も同じように借り入れによって資金を調達しているので、金利が上がると支払利息が増えて財務が悪化することも懸念されています。
<成長性に疑問>
丸の内という都心の一等地でやってきましたが、逆に言うとそこから大きく出ていないので、エリアが限られていて成長が難しいのではないかと言われています。