日本企業の決算が集中する3月31日に向けて、配当狙いの投資家層も存在しています。そんな人気の投資手法、高配当銘柄への効率的な投資の仕方を確認しましょう。(『資産1億円への道』山田健彦)
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3月決算に向けて準備したい配当取り作戦
企業の決算期は3月に集中する
日本企業の決算期末は3月31日というのが圧倒的に多い状況です。最近は12月末決算に移行する企業も増えていますが、それでもまだ3月末決算企業が主流です。
ところで「日経マネー」、「ダイアモンドZAi」の2大マネー雑誌は毎月21日発売ですが、大体2月21日発売のものは「3月決算企業の中から高配当利回り銘柄をどう攻略するか」というのがお決まりの特集となっています。
配当狙いの投資家層というのも確実にいるので、そのような期待に応えようというのでしょう。
証券会社のスクリーニング機能で東証上場の3月末決算企業のなかから配当利回りが5%以上という条件で抽出すると、33銘柄が出てきました。その中から、いくつか先週金曜日の終値ベースで抜き出すと、
あかつき<8737> 7.04%
日産自動車<7201> 6.09%
ソフトバンク<9434> 5.81%
あおぞら<8304> 5.77%
等々となっています。
あおぞら銀行が5.77%の配当を払えるなら、定期預金の金利をもっと上げる事も可能だろう、という声も聞こえてきそうです(笑)。
さて、今年は3月31日が日曜日なので、3月末決算企業の配当を取るための権利付き最終売買日は3月26日になります。
「えっ、3月29日じゃないの?さすがに3月31日は日曜日だからそれより前の日というのはわかるけど…」と思う方もいるかも知れませんが、株式の配当は決算日に株主名簿に登録されている人に支払われます。
国内の株式取引の決済はT+3というルールがあり、取引日の3営業日後に株券の受け渡しが(といっても、現在はデータベース上に自分の情報などが載るだけですが)行われます。ちなみにこの「T」というのはトレード日の意味です。ですので、今年は3月26日が権利付きの最終売買日になるわけです。
ここで配当取りのための資金効率を考えると、26日午後3時直前に株式を購入し、翌27日に売却すれば、配当を得ることができ、もし購入単価と売却単価が同じならたった1日にして5%以上の配当が取れます!(実際は、年2回の配当企業が大半なので、金額的にはその半分。なかには年4回配当の企業もあります)
しかし世の中、そんなに甘くありません。「配当落ち」といって、翌27日の理論株価は配当金額分だけ下がります。無論、何かとてつもなく良いニュースが飛び込んでくれば、株価は暴騰しますし、逆の場合は暴落することもあります。
Next: 実際、昨年の3月末に高配当銘柄がどうなっていたのかをチェック!
権利付き最終日の直後は配当分以上に株価が低下するケースも
そこで昨年の3月末の株価の動きをちょっと見てます。昨年は3月27日が権利付き最終売買日でした。
日産自動車<7201>の株価は
3月27日 1,130円
3月28日 1,095円
あおぞら銀行<8304>の株価は
3月27日 4,305円
3月28日 4,250円(共に終値ベース)
と株価は下がっています。
一般に権利付き最終売買日近くになって株式を購入し、配当分だけを上手にゲットしようという作戦は、株価の下落によりトータルでは損失が生じて失敗する可能性が高いことに気をつけたいものです。
配当取り作戦のもう一つの気をつける点は、実際に配当金が手元に入るのは、約2ヶ月半後になることです。3月決算の銘柄であれば、6月中旬から下旬頃です。結構時間がかかりますね。
そうであれば、配当取りを狙うのではなく配当額と同じくらいの株価の上昇があれば、売却してキャピタルゲインを狙う、という作戦もあります。この場合は、売却日から数えて3営業日後に決済され、2ヶ月半も待つことはありません。
日産自動車<7201>の場合、今年度の配当は1株当り57円を予定していますが、既に中間配当で28.5円は支払い済なので、期末配当は残り28.5円の見込みです。先週末の金曜日(2月15日)の株価(終値)が935円なので、株価が3月26日までに964円を超えれば配当金分を6月中旬まで待たずに取れるわけです。これは約3%の株価の上昇ということです。
同社の株価は直近の安値は昨年12月25日の831.1円。2月15日の株価は935円なので、約2ヶ月で120円超の上昇です。
すでに予想PERが9.1倍と過去2年でみると最も高い所まで来ており、またルノーとの関係問題など今後の株価の動向は容易には見通せませんが、エントリーするタイミングさえ間違わなければ、配当分くらいの値幅を短期で取るのはそれ程難しくはなさそうです。
高配当利回り銘柄をスクリーニングして、いくつかの銘柄に的を絞り、株価の上昇の流れを見極め、その流れに乗っていくというのも悪くはない作戦です。
2月21日のマネー雑誌発売日以降、高配当利回り銘柄の購入が少しずつ増えてくることが多いので、株価の動向はチェックしておきましょう。ただあせって飛びつくのはNGです。
『資産1億円への道』(2019年2月18日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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資産が1億円あるとゆとりある生活が可能と言われていますが、その1億円を目指す方法を株式投資を中心に考えていきます。株式投資以外の不動産投資や発行者が参加したセミナー等で有益な情報と思われるものを随時レポートしていきます。