昨年、一般のサラリーマンまで巻き込んだ仮想通貨バブルはすっかり落ち着きを見せています。そんな今だからこそ、これからの通貨について考えてみましょう。(『一緒に歩もう!小富豪への道』田中徹郎)
株式会社銀座なみきFP事務所代表、ファイナンシャルプランナー、認定テクニカルアナリスト。1961年神戸生まれ。神戸大学経営学部卒業後、三洋電機入社。本社財務部勤務を経て、1990年ソニー入社。主にマーケティング畑を歩む。2004年に同社退社後、ソニー生命を経て独立。
通貨が通貨たりえるために必要な2つのポイント
ビットコインから考える近未来の通貨
通貨とはいったい何なのでしょうか…。2017年の末ごろからビットコインの価格は急騰し、一時1ビットコイン=200万円を超えていました。
ビットコインに対する投機熱は、一部の投資マニアから徐々に拡散し、最盛期には一般のサラリーマンやOLまでもがはまり込んでゆきました。が、その後はたびたび起きる交換業者のずさんな管理によって仮想通貨の詐取が起き、それを契機に仮想通貨の相場は大きく崩れてしまいました。
この間のビットコイン相場の値動きから、私たちはいくつか通貨の本質を垣間見ることができます。
まず通貨というものは、それが紙であれ、電子的なデータであれ、使う人々の信任によって価値が維持されるという点です。
2つ目に知ることができたのは、通貨への信任が、その発行量と密接な関係があるという点です。
そもそもビットコインをはじめとした仮想通貨は、あらかじめ総発行量が決められています。
これに対し、たとえば日本円や米ドルといった政府発行型の通貨はどうでしょう。
通貨の発行量は中央銀行によって管理されてはいますが、逆に言えばその発行量は中央銀行の判断にゆだねられており上限がありません。
たしかに信頼性に対する疑念から仮想通貨バブルは崩壊しましたが、発行量に上限があるという点で、依然その将来性に期待を抱く人たちは大勢います。
そもそもビットコインが人気化した要因の一つは、総発行量に上限があるという点ではなかったでしょうか。
これらのことから通貨というものは、
・「発行体への信任」
・「発行量の適切なコントロール」
この2点をよりどころに、はじめて通貨として機能しているといえるでしょう。
そのような観点で、たとえば今の日本円をみればどうでしょう。はたして上記2点において、まったく揺らぎないといえるでしょうか。近未来において、あいかわらず日本円のような政府発行型通貨が、唯一の貨幣であり続けるのでしょうか。
それとも政府が発行する通貨は無くなり、仮想通貨のように国家による管理を受けない通貨が、乱立することになるのでしょうか。
いま貨幣が岐路に立っていることは間違いないでしょう。
『一緒に歩もう!小富豪への道』(2019年2月6日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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