インドが2018年は金地金を積極的に買い増し、ロシアではモスクワ取引所のCEOが国民に金投資を呼びかけています。金価格はこれからどうなっていくのでしょう。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)
※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2019年2月1日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
インドはサイバーセキュリティ等のリスク管理に備えて金準備
インドの金準備:2018年10月時点
中国、ロシアだけでなく、BRICSに加盟しているインドも金準備を弛まず増やしています。金地金を購入する代わりに、米国債、ユーロ債等を売却して金地金を購入していると妄想しています。
リーマンショック後の2009年にはインドは慌てて金地金を200トンも買ったことがあったが、それ以来2017年までは、ほとんど買い増しはしてきませんでした。
ところが2018年は打って変わって、積極的に金地金を買い増しをしています。
インド中央銀行の年次報告書に拠れば、「サイバーセキュリティ等のリスク管理を考えての外貨準備の多極化である。金準備を増やすことも考えている」と説明しています。
インド中央銀行の外貨準備のデータからグラフを作成しました。
<(ア):2018年10月(最新データ)のインドの外貨準備データ>
金準備は19.03Mオンス(591.9トン)となっています。
<(イ):2000年頃から最近までのインド金準備の歴史的変化のグラフ>
2009年に突然200トン一挙に増やしています。当時、この200トンは何処から買ったのか?大変な騒ぎになったのですが、まったく判りません。金価格も上昇はしませんでした。中国の場合は中国政府の規制で純度が非常に高くなった為にスイス金精錬所で再精錬が必要となった為に、英国→スイス→中国への流れが見えたのですが、インドの場合は全く判らない状態のままです。よって、いまだにこの200トンは現物だったのか?ペーパーゴールドなのか?疑問だらけです。輸送するにしても、これだけ大量であればニュースになるでしょう。
<(ウ):2017年12月から2018年10月までの金準備(トン数)の変化>
2018年5月頃からその買い増し量が増加しています。2017年12月557.99トンから、おおよそ一年で33.9トンの買い増しになります。
<(エ):2017年12月から2018年10月迄の外貨建て資産(M$)の変化>
2018年3月をピークにその後、順次減らしています。米国債やユーロ債を減らしているのでしょう。
注目して頂きたいのは、(ア)の赤枠です。金準備の定義が簡単に記載されています。「金準備には海外に預託している金地金だけでなく、既にスワップされ、紙証文だけ金庫内に残っているペーパーゴールドも含まれる」と記述しています。
現物金地金だけでなく、交換貸し出しされたものの、現物として勘定されることは「公的機関国際会計基準ルール」によって公的に許容されています。
インドも来るべき大津波に備えているのでしょう。中露印等が毎月買い増ししているのに金価格は余り上昇しません。チャンスでしょう。
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