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春が来た!「国の教育ローン」を使いこなす11のポイント=新美昌也

大学等の推薦入試の合格が決まる時期です。合格が決まると、入学手続きとして、1~2週間以内に70万円以上の納付金(入学金+前期分の学費)を納付する必要があります。

70万円以上というとかなりまとまったお金ですので、準備ができていないご家庭もあると思います。その場合、代表的なお金の調達方法として、「国の教育ローン」があります。

そこで、今回は、「国の教育ローン」について、ポイントとなる点を11のQ&Aを通じて一緒に確認しましょう。(ファイナンシャルプランナー・新美昌也)

合格前から準備を!国の教育ローンをフル活用する11のポイント

Q.1~日本政策金融公庫が近くにない場合はどうすれば良い?

国の教育ローンは日本政策金融公庫で貸してくれるって、高校の講演会で講師の方が言っていましたが、私の住む地域にはないのですが、どうしたら良いでしょうか。

A.1~銀行や郵送、日本政策金融公庫サイトからも申請できる

国の教育ローンを申し込める、日本政策金融公庫の支店は、全国で152支店 しかありません。そのため、あたなが普段利用している銀行などでも申し込めます。

しかし、銀行等でも独自の教育ローンを販売していますので、国の教育ローンについては、あまり熱心ではないでしょう。

そこで、お勧めなのが、郵送日本政策金融公庫のサイトからの申込みです。わざわざ窓口に行かなくてもいいので便利です。

相談したいことがあれば、ナビダイヤルを利用するのが良いでしょう。

Q.2~私立中学への入学でも教育ローンは使える?

子供が私立中学に通うことになりました。入学時納付金が足りないので、国の教育ローンを借りることはできますか?

A.2~義務教育期間中は対象外。しかし違う制度がある

残念ながら、義務教育期間中の費用は対象とはなりません。

もし、お勤めならば、中小企業従業員生活資金融資制度をご検討されたらいかがでしょうか。東京都の場合、労働金庫や一部の信用組合で申し込めます。融資限度額は100万円、固定金利1.5%(H27.4)、返済期間5年以内で利用できます。保証料は東京都が全額負担します。

Q.3~奨学金との併用はできる?

日本学生支援機構の奨学金と併用できますか?

A.3~併用できる。しかし注意が必要な点も……

併用できます。日本学生支援機構はどの貸付制度でも、併用を認めています。

ただし、多くの貸付制度は、他の貸付制度との併用を認めていないのでよく確認してください。たとえば、東京都育英資金や母子父子福祉資金は原則、日本学生支援機構との併用は認めていません。

Q.4~いつから申し込めるの?申請から入金までは何日かかる?

子供が大学受験(推薦)します。11月中に入学金等が約80万円必要ですが、合格してから2週間以内に収めなければいけません。申し込みはいつできますか?

A.4~合格の3ヶ月前、入金は20日以内

合格の3か月前ぐらいから申込みができます。日本政策金融公庫のホームページでは、申込みから入金まで20日以内と案内されています。

合格後に申し込んだのでは、納付期限に間に合わない可能性がありますので、少しでもお金を借りる可能性があれば、(融資の決定が決まっても、キャンセルは自由ですので)、早めに申し込みましょう。

なお、自治体の父子母子福祉資金の「就学支度資金」の正式な申込みは合格後ですが、事前に仮申し込みできる場合もありますので、早めに母子等自立支援員などに相談しましょう。

ただ、「就学支度資金」は納付期限までに間に合わない可能性が高いので、国の教育ローンも申し込んでおきましょう。

Q.5~「ひとり親家庭に優遇」ってどういう意味?

高校の進学マネープラン講演会で、講師の方が、国の教育ローンは、ひとり親家庭に優遇していると言っていました。どういうことですか?

A.5~金利面、返済期間、保証料で優遇されている

国の教育ローンは、「ひとり親家庭」「交通遺児家庭」「世帯年収200万円以内」に金利などを通常よりも優遇しています。

たとえば、ひとり親家庭の場合、金利は通常よりも0.4%低く、返済期間は通常より3年長い18年以内、保証料は通常の3分の2です。

Next: 下宿の生活費も「国の教育ローン」で借りられる?


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Q.6~下宿の生活費も借りられる?

子供が、東京の私立大学に進学することになりました。下宿するとなると生活費が大変です。生活費を借りることはできますか?

A.6~生活費はNGだが、住居費用はOK

残念ながら、生活費は借りることができません。住居費用はOKです。

使い道の代表例は次の通りです。

Q.7~教育ローン申請時の注意点は?

高校2年の保護者です。高校での進学マネープラン講演会で、国の教育ローンを初めて知りました。国の教育ローンを申し込む場合の注意点を教えてください。

A.7~公共料金の延滞とマイナンバーが載った住民票には気をつけて

特に留意すべき点をご案内します。

預金通帳

住宅ローン(または家賃)と公共料金の両方の支払い状況が確認できる預金通帳の6か月分のコピーが必要になります。

この間に延滞があると、かなり不利になりますので注意しましょう!

コンビニエンスストア等で支払いをされている場合は領収書(最近6ヵ月分以上)が必要になります。しっかり、領収証は保管してくださいね。

住民票

世帯全員が記載されたもの(原本)が必要です。本籍地とマイナンバーの記載はないものを提出します。マイナンバーが記載されているものは、番号を黒塗りして提出します。

Q.8~どんな人を連帯保証人にできるの?

妻を連帯保証人にできますか?

A.8~別生計・別居で、かつ、4親等以内の親族

残念ながら、奥様は、連帯保証人にはなれません。連帯保証人は、ご主人と、別生計・別居の方です。また、原則、お子さんの4親等以内の親族の方になります。

一般的に、本人からみて、以下が4親等以内の主な方です。

Q.9~2人の子供が同時に大学進学。350万円では足りない…

双子の子供が来年大学に進学します。1人は、海外の大学に進学します。国の教育ローンを借りようと思いますが、350万円では足りそうにもありません。どうしたら良いでしょうか。

A.9~350万円の借入限度額は子供1人あたり、留学資金は450万円以内

国の教育ローンは350万円が借入限度額ですが、これは、世帯ではなく1人あたりの限度額です。お子さんが2人であれば、それぞれ350万円まで借りることができます(実際に借りられるかどうかは診査結果によります)。なお、留学資金ということであれば、450万円以内です。

Q.10~返済は「入学後から」で大丈夫?

国の教育ローンの返済方法に「元金据置」があると、保護者会の進学マネープラン講演会で聞きました。これは、子供が在学中は利息だけ返済すれば良いということらしいのですが、返済は入学後からという理解でよろしいでしょうか?

A.10~間違えやすいポイント!返済は融資後、翌月または翌々月から

「在学期間中は利息のみの返済が可能」と国の教育ローンのサイトに書いてあります。この在学期間中というのは、大学等の在学期間中と勘違いしやすいので、入学後から返済が始まると勘違いするのも無理はありません。

実際の返済は融資を受けた翌月または翌々月から始まりますので注意してください。

Q.11~世帯年収900万円でも教育ローンは借りられる?

子供が私大に進学することになりました。子供は1人です。私と妻の年収を合わせて900万円です。住宅ローンなどを支払っており、お金に余裕があるわけではありません。国の教育ローンを借りることができるでしょうか。

A.11~世帯年収で上限はあるが、特例要件もあり

国の教育ローンには、世帯年収の上限が扶養する子供の人数により決められており、原則、その金額を超えると利用できません。たとえば、扶養する子供が1人の場合、世帯年収の上限は年収(給与)790万円です。

しかし、特例要件により、住宅ローンなどを抱えている場合、条件を満たせば、要件が緩和され上限が990万円となります。相談者の場合、借りることができる可能性がありますので、政策金融金庫に問い合わせてください。

また、所得は、借入時の前年の所得で判断しますので、前年の所得が上限を超えていても今年の所得が上限以内であれば、借りられる場合があります。

【関連】病気を隠して保険に入ったらどうなる?~医療保険4つの常識=新美昌也

大学・専門学校への進学マネー講座』(2015年11月20日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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