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お涙頂戴はなぜ悪いか?安保問題と「聖羅ちゃん」のパラドックス=佐藤健志

この夏、安倍政権下で強行採決された安保法制。当時、各地で安保法制反対デモが活発化する中で、「SEALDs」メンバーによる事実無根の「臓器売買」発言や、安保賛成派による「反対デモに連れて行かれた孫が熱中症で死んだ」とのデマツイートが、ネット上に拡散したのを覚えているでしょうか?

政治的立場は真逆にも関わらず、奇妙な共通点を持った「2つのデマ」。作家の佐藤健志さんは、これらのデマの本質は「思考停止のお涙頂戴」であり、安保法制をめぐる「まともな議論」を失わせる大きな要因になったと見ています。

記事提供:『三橋貴明の「新」日本経済新聞』2015年11月11、18、25日号より
※本記事のタイトル・リード文・本文見出し・太字はMONEY VOICE編集部によるものです

「お涙頂戴合戦」の裏で失われた、安保法制のまともな議論

安保反対派による事実無根の「臓器売買」発言

まずはテーゼをいくつか列記しましょう。

(1)人間は正義感や使命感に駆られると、とかく自己陶酔に陥る。そして自己陶酔は、とかく自己欺瞞へと発展する。

「世の中を良くするために立ち上がるんだ!」と意気込んでいたはずが、いつの間にか「世の中を良くするために立ち上がったんだから、自分(たち)は注目されて当然だ!」と信じこむにいたる次第。

(2)ところが世の中が本当に良くなったら、「世の中を良くするために立ち上がった人々」は用済みとなってしまう。

「世の中を良くするために立ち上がったんだから、自分(たち)は注目されて当然だ!」と信じこんでいる人々にとり、これは由々しき事態である。

(3)ゆえにこれらの人々は、表面的な主張とは裏腹に、「世の中が良くならないこと」、あるいは「世の中がもっと悪くなること」をひそかに望みはじめる。そのほうが自分たちが注目されるからである。

この具体例として、安保法制をはじめとした現政権の政策に反対する学生組織「SEALDs」のメンバーが、渋谷で開いた集会において「この国には、子どもの学費のために裏で自分の内臓を売り、生活をくいつなぐ母親がいます」と発言したことが挙げられます。

くだんの発言は事実無根。SEALDsも公式ツイッターアカウントを通じてその点を認め、発言を撤回・謝罪するにいたりました。「臓器売買発言」をしたメンバーは、あるシンポジウムで聞いた話を勘違いしたあげく、事実確認をせずにしゃべってしまったのだそうです。

とはいえ、なぜ勘違いしたのかを考えるとき、このメンバーは「子供の学費のために自分の臓器を売る母親」に存在してほしかったに違いないという点が浮かび上がる。そんな事例があるとすれば、それは現政権がいかに悪いかの証拠となり、政権を倒そうと活動している自分たちがいかに素晴らしいかの証明となるからです。自己欺瞞のせいで、事実と嘘の区別がつかなくなってしまったわけですね。

安保賛成派も「聖羅ちゃんツイート」で同じ失敗

し・か・し。この手のポカは、決して特定の立場の人々の専売特許ではない。安保法制反対デモを批判する側も、みごとに同じことをやらかしています。以下の記事をどうぞ。

Twitterに1歳の娘の写真を無断で転用されたうえ、「安保法案反対デモで孫が死んだ」と嘘の書き込みをされたとして、新潟市の30代の夫婦が、Twitter社に対して発信者の情報開示を求め、認められた。東京地裁はIPアドレスなどの開示を命じたという。10月14日、産経ニュースなどが報じた。

NHKニュースによると、申し立てをしていたのは新潟市に住む大嶋陽さんとその妻。7月にTwitterに、大嶋さんの娘の写真が無断で添付された下記のような投稿がなされていた。

「【拡散希望】安保反対国会前デモに連れていかれた、我が孫、聖羅が熱中症で還らぬ人になってしまいました。あの嫁はゆるせません。わたしたちは何度も聖羅を置いてくように話したのですが…。聖羅は何度も何度も帰りたい、と母に泣いてたそうです。」

出典:「安保法案反対デモで孫が死んだ」とTwitterに噓の投稿→発信者の情報開示命令 – ハフィントンポスト

デモに連れて行かれた孫が死んだ」という内容自体が事実無根のうえ、他人の子供の写真まで勝手に使ったときては、どうにも弁明の余地はありません。ただし先のSEALDsの公式ツイッターアカウントふうに言えば、このツイート主も「聞いた話を勘違いした」可能性が高い。

高須クリニック・高須克弥院長らの「お涙頂戴」ツイート

今年の7月26日、「安保関連法案に反対するママの会」が、渋谷をはじめ、各地で集会を開いたのですが、その際、幼稚園ぐらいの女の子や、ベビーカーに乗った男の子が、会場に連れて来られている様子が紹介されました。たとえば、こちらの記事の画像のように。

これに対し、高須クリニックの高須克弥院長が、ツイッターでこうコメントしたのです。

「イデオロギーの定まらない子供をデモに利用するな!猛暑日に炎天下を子供に歩かせるな!熱中症になる!」
「赤ん坊まで猛暑日炎天下のデモに連れてくる馬鹿母!父親は何してる?制止しろよ」

そして別のユーザーからは、こんなツイートが。

「ベビーカーに乗せられている子供がぐったりしている、子供の命を危険に晒しているのはどっちだ!」

「子供の命を危険に」うんぬんのくだりは、「安保関連法案に反対するママの会」が「誰の子供も殺させない」と謳ったことへの言及と思われます。

それはともかく、「安保法制に反対するような連中と違って、自分は日本の安全保障を真剣に考えている」という自己陶酔、ないし自己欺瞞に陥った人が、このやりとりを読んだとしましょう。

当該の人物が、「デモに連れて行かれた幼児の中に、熱中症で死んだ子がいるに違いない」と信じこむのは、十分ありうることではないでしょうか?

あとは死んだ(はずの)子を「聖羅」と名づけ、「祖母と嫁の対立」という昼メロ調の脚色を施せば、問題の虚偽ツイートができあがります。

死を望まれた「聖羅ちゃん」という架空の存在

けれども、これが意味するところは重大。臓器売買発言をしたSEALDsメンバーが、「子供の学費のために自分の臓器を売る母親」に存在してほしかったのと同様、このツイート主は「安保法制反対デモに連れて行かれて死んだ幼児」に存在してほしかったことになる。

なぜか?そんな事例があるということは、安保法制に反対している人々がいかに悪質(ないし、少なくとも致命的に軽率)であるかの証拠であり、同法制が望ましいことの証明となるからです!

何せツイートの論法に従うかぎり、仮に「安保関連法案に反対するママの会」が、子供を家族に預けたうえで集会を開いたり、会場での熱中症対策に万全を期したりしていたら、どうなるか?そうです。同会のスローガン「誰の子供も殺させない」にも、説得力があるという話になりかねない。

「聖羅ちゃん」が炎天下、熱中症対策が考慮されない状態で集会に連れてこられ、死なないことには都合が悪いのです。

安保法制が成立するためなら、幼い子供が犠牲になってもいい。いや、犠牲になってもらわなければ困る!これこそ、「聖羅ちゃんツイート」にひそむホンネ。とんでもありませんね。

おまけに自分たちの娘の写真を(死んだものとして!)無断で使われた大嶋さん夫妻が、どんな気持ちになるかも考えていない。肖像権の侵害という自覚もなかったことでしょう。だから自己欺瞞はよろしくないと言うのですよ。

Next: 「聖羅ちゃんツイート」に納得する人は思考停止している


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「聖羅ちゃんツイート」に納得する人は思考停止している

何というか、呆れるほかはない顛末ですが…この「聖羅ちゃんツイート」、よく読むといろいろ見えてくるものがあるんですね。

まずはツジツマ。私の感覚で言うと、孫が死んだことを「還らぬ人になってしまいました」と表現すること自体、どこか不自然なものがあります。後半、「何度も」がやたらに繰り返されるくだりも、人工的というか嘘くさい。

が、これらは主観の問題として脇に置きましょう。もっと決定的に破綻している箇所があるからです。つまり最終行。

聖羅は何度も何度も帰りたい、と母に泣いてたそうです

それは可哀想にと言いたいところながら、おばあちゃん、この話を誰から聞いたのでしょう?おばあちゃん自身はデモに行っていないんですよ。

嫁、つまり聖羅ちゃんの母が話すとも信じがたい。息子、つまり聖羅ちゃんの父がデモに同行していたとすれば、自分で娘を連れて帰るべきでしょう。でなければ息子にも責任があることになり、嫁だけを非難する態度に筋が通らなくなります。

「わたしたちは何度も聖羅を置いてくように話した」とある以上、夫、つまり聖羅ちゃんの祖父も家に残ったはず。残るは「嫁のデモ仲間」ですが、「あの嫁はゆるせません」と激怒している祖母に、そんなことをわざわざ話すと思いますか?

ちょっと冷静に考えてみれば、ツイートの内容がおかしいことは、裏を取るまでもなく明らかなのです。逆に言うと、このツイートを読んで納得してしまった人は、気づかないうちに思考が止まっていることになる。

思考はなぜ止まったのか?お分かりですね。「純真な子供が、本当は嫌がっているのに、大人の都合でデモに連れて行かれて死んだ」というイメージに共鳴してしまうためです。そんな理不尽な!と思ってしまうわけですよ。

安保法制の良し悪しと全く関係がない「お涙頂戴」話

しかしお立ち会い。理不尽はいいとして、それは安保法制の良し悪し、ないし必要性(の有無)について、何か証拠立てているのか?答えはもちろん、ノーです。

そしてこれこそ、くだんのツイート最大の問題。安保法制に賛成なら、ハッキリそう言えばいいではありませんか。法制に反対する人々のイメージを(作り話で!)貶めることにより、間接的に肯定しようとするなど、姑息もいいところです。

ちなみに「姑息」は、「姑(しゅうとめ)の息」と書きますが、このツイートが「嫁を許せないと思っている姑の独白」となっているのも、こうなると良くできた話。「息巻く姑」のふりをしてツイートしていれば、内容が姑息になるのも当たり前なのですよ。

のみならず、この作り話を貫いているのは、純然たるお涙頂戴の発想。理屈はどうでもいいから、感傷に酔ってくれという書き方です。裏を返せば、「何も考えずに安保法制に賛成しろ」というのが、ツイート主のホンネ。まあ、自覚はしていないと思いますが。

しかるに「何も考えずに安保法制に賛成しろ」と主張して良いなら、「何も考えずに安保法制に反対しろ」と主張されても文句は言えないはず。やっていることは同じなんですから。

Next: 「聖羅ちゃんのパラドックス」そしてまともな議論は失われる


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「聖羅ちゃんのパラドックス」そしてまともな議論は失われる

論より証拠、「聖羅ちゃんツイート」の構造は、反戦平和を訴える人々が好んで紹介する「戦争の語り部」の述懐と瓜二つなのです。

嘘だろうって?では、ツイートをちょっと書き直してみましょう。

【拡散希望】女学校時代、一番の仲良しだったA子さんが、
戦争末期、勤労動員で軍需工場に連れてゆかれ、
空襲で還らぬ人になってしまいました。
戦争は許せません。
私たちはいつも「平和がいいね」と話していたのですが…。
息を引き取る直前、A子さんは何度も何度も
「もっと生きたい」と涙を流して訴えていたそうです。

構造は一切変えていませんよ。時代と状況を置き換えただけです。よって「聖羅ちゃんツイート」を根拠に安保法制賛成を主張するのであれば、上記「A子さんツイート」を根拠に安保法制反対を主張されたときにも、もっともだと納得しなければなりません。

というか、本当はこんな書き直しをする必要すらない。聖羅ちゃんが安保法制に反対するデモではなく、賛成するデモに連れてゆかれたことにすればいいだけの話です。架空の子供なんですから、どちらでも悪いことはないでしょう。

聖羅ちゃん(の死)は、安保法制反対派を貶めるダシにも、賛成派を貶めるダシにも使える!さしずめ「聖羅ちゃんのパラドックス」ですが、どちらに転んでも失われてしまうものがあります。

すなわち安保法制の良し悪しや、必要性の有無をめぐるまともな議論

そして藤井聡さんが言うとおり、物事をまともに考えようとせず、チープな感情に支配されたまま付和雷同することこそ、全体主義の始まりです。

お涙頂戴レベルの発想で世の中を語るべからず!それが、「聖羅ちゃん」にたいする最大の“供養”と言えるでしょう。

思考実験

この「聖羅ちゃんツイート」に関し、ある方から面白いご意見をいただきました。寄せられたご意見は、こんな問題提起をしていました。

「聖羅ちゃんツイート」について、そのままでも安保法制反対のニュアンスを見出すことはできないか?

安保法制を国会で審議しなければ、反対デモが盛り上がることもなかったのだから、「聖羅ちゃん」の死をめぐる責任も、突き詰めれば現政権が負っていることになるのでは、というわけです。

残念ながらこの解釈、ツイートの文面に照らすと少々苦しい。「あの嫁はゆるせません」と、ハッキリ書かれているからです。嫁が安保法制反対派であることは、文脈から言って疑問の余地がない。

そして反対デモをやるにしても、炎天下、わざわざ子供を連れてゆかねばならない必然性はありません。政府としても、そこまでの責任は負えないでしょう。

しかし、くだんの問題提起は別のレベルでは的確なもの。仮に「聖羅ちゃんツイート」が、こんな内容だったらどうでしょう?

【拡散希望】安保反対国会前デモに参加した、
我が孫、聖羅が熱中症で還らぬ人になってしまいました。
あんな法案を審議するなんて許せません。
わたしたちは安倍総理が日本を良くすると期待していたのですが…。
聖羅は「へいわがすき」と、何度も何度も言っていました。

上記ツイートで「聖羅ちゃん」が行ったのは、あいかわらず法制反対のデモですが、ツイートの趣旨はみごとに逆転していますね。

これこそ、お涙頂戴に訴えることの危険性。引き合いに出した事柄と、主張したい結論との間に、論理的なつながりが存在しないので、話の持ってゆき方次第で、どんなことでも言えてしまうのです!

Next: 中身のない「お涙頂戴」話は、どんな結論にも加工できる


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中身のない「お涙頂戴」話は、どんな結論にも加工できる

「聖羅ちゃんツイート」に限った話ではありませんよ。SEALDsの某メンバーの発言を思い出してください。いわく。

安倍首相は日本を「美しい国」、「すべての女性が輝く社会」、「一億総活躍社会」にしたいそうです。しかし現状はどうでしょうか。この国には、進学を諦めキャバクラで働き家族を養わなければならない十代の子がいます。

この国には、子どもの学費のために裏で自分の内臓を売り、生活を食いつなぐ母親がいます。この国には、何度も生活保護を申請したが拒否され、食べるものもなくやせ細り、命を失った女性がいます。この国には、ひとりぼっちで、誰にも看取られることなく、冬の寒空の下、路上で命を落としていく人々がいます。

やはりお涙頂戴ですが、話をこう続けたらどうなるか?

だから強い経済が必要なんです!そのためにすべきことは、構造改革とグローバル化の徹底です!既得権益の否定、岩盤規制の打破、そしてTPPの早期批准!これらが達成されれば、放っておいても女性は輝きますし、一億総活躍もおのずと実現されるんです!今、お話ししたような悲劇だって、すべて防げますよ!!

政権打倒も何もあったものじゃありませんね。

「空襲で親友を失った戦争の語り部」の場合

あるいは、こんな「戦争の語り部」トークはどうでしょう。

女学校時代、一番の仲良しだったA子さんが、
戦争末期、勤労動員で軍需工場に連れてゆかれ、
空襲で還らぬ人になってしまいました。
戦争は許せません。
私たちはいつも「平和がいいね」と話していたのですが…。
息を引き取る直前、A子さんは何度も何度も
「もっと生きたい」と涙を流して訴えていたそうです。

これだって、話の持ってゆき方次第では以下のようにできるんですよ。

女学校時代、一番の仲良しだったA子さんが、
戦争末期、勤労動員で軍需工場に連れてゆかれ、
空襲で還らぬ人になってしまいました。
アメリカは許せません。
私たちはいつも「勝つまで頑張ろう」と話していたのですが…。
息を引き取る直前、A子さんは何度も何度も
「仇(かたき)を取ってほしい」と涙を流して訴えていたそうです。
降伏したとたんアメリカに尻尾を振って、
70年たっても追従をやめないとは、まったく恥ずべきものです!

たまにはこんな語り部がいても悪くないとは思いますがね。

本当の「自由」は、主体的な思考の先に

とまれ、お涙頂戴はなぜ悪いか?ずばり、どんなことのダシにでも使えるからです。

そして、物事をまともに考えようとせず、チープな感情に支配されたまま付和雷同することこそ、全体主義の始まり。われわれの自由は、主体的な思考を続けることによってのみ保証されるのです。

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