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なぜジム・ロジャーズは弱気相場ばかり探すのか?「これからの時代に勝つ」投資術=菅下清廣

ジム・ロジャーズ氏の最新刊『日本への警告』(講談社+a新書)がベストセラーとなっている。第5章の「これからの時代に勝つ投資」を取り上げて解説したい。初級者から、経験豊富な中・上級者の方まで役に立つ内容だ。(『菅下清廣の”波動からみる未来予測”』菅下清廣)

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※本記事は『菅下清廣の”波動からみる未来予測”』2019年10月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:菅下清廣(すぎした きよひろ)
国際金融コンサルタント、投資家、経済評論家、スガシタパートナーズ株式会社代表取締役、立命館アジア太平洋大学学長特別顧問。ウォール街での経験を生かした独自の視点で相場を先読みし、日本と世界経済の未来を次々と的中させてきた「富のスペシャリスト」として名を馳せている。「経済の千里眼」との異名も。著書に『今こそ「お金」の教養を身につけなさい』ほか多数。

「弱気(ベア)相場を探せ。その中で将来性のあるものを買え」

ジム・ロジャーズの最新刊が売れている

ジム・ロジャーズ氏の最新刊『日本への警告』(講談社+a新書)がベストセラーとなっている。ジョージ・ソロスウォーレン・バフェットジム・ロジャーズの3氏は、世界3大投資家として知られる。投資・金融の世界では知らない人がいないくらいだ。

その中でも、私は早くから、ジム・ロジャーズ氏の投資哲学とライフスタイルに注目していた。私の投資研究会や有料音声配信「スガシタボイス」などでは再三紹介している。

今回もいち早く、この最新刊を通読したが、大変わかりやすく参考になる。

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とくに第5章の「これからの時代に勝つ投資」は、投資を始めようと思っている初級者から、経験豊富な中・上級者の方まで役に立つ内容だ。

彼の言っていることは、極めてシンプルで当たり前のことのようだが、読む人の能力によって理解度に大きな差がつくだろう。

なかなかできない「安く買って高く売る」

さて、その第5章の中身ですが、すでに読まれた方も多いかもしれませんが、彼が最初に言っていることは「安く買って高く売る」です。

「なーんだ当たり前ではないですか」と言う声が聞こえてきそうですが、株式投資の実践では、投資家はだいたい上がっている株に注目します。“新高値をつけた株を買え!”という投資手法もあるくらいです。

ジム・ロジャーズ氏は、次のように言っています。

強気(ブル)相場ばかりに目を向け、弱気(ベア)相場にはほとんどの投資家は気にもかけない。

しかし、投資で勝つためには、「誰も買わない」「誰も話題にしない」そのようなものの中に、将来上昇する有望なものが時々見つかる。株を買うときは誰もが絶望に打ちのめされ、「株の話などもうごめんだ。聞きたくない」などと口にしているときがいい。こうしたときの株式市場は底であり、上がるのを待つだけで勝てるものだ。

このように教えてくれています。この第5章の最初の12~13行だけでも初心者の皆さんには、価値があります。

常に「どこがベアなのか?」という目で投資対象を探れというわけです。

Next: どこが弱気(ベア)相場なのか? 常に成長株に投資するスタイルとは



ベアを探して上がるのを待つというのが正解

私は投資家ですので、今も日々株を売ったり買ったりしていますが、常にブル、強い株、値上がりしている株を探して買っています。それは短期で利益を出そうとしているからです。

このやり方ですと、株式市場全体が上昇している局面では成功率は高まりますが、今のような下落調整局面では儲かりません。日経平均株価のチャートを見れば明らかですが、昨年10月に株価が天井を打って以来、今も下落調整局面が続いています。こんな時はいち早くキャッシュアップ(現金保有率を高める)して株式取引を停止して底入れするまで待つのが正解です。

休むも相場」という金言があります。しかし人間には欲があるので、日経平均株価は当分上がらなくても、個別銘柄で勝負して儲けようという気持ちになります。そして成功率の低い相場状況の中で、売買するものですから、成果は思ったほどあがらないという結果になります。

だから今のような株式市場では、ベアを探して上がるのを待つというのが正解です。

これはわかっていても中々できないことなのです。株式取引の経験豊富な投資家ほど実感があるはずです。

念のため、言っておきますが、この投資スタイルは、バリュー投資のように、割安株を買って何年も持つという発想ではありません。あくまでグロース(成長株投資)に関する考え方です。

この第5章だけでも、当分解説する要素が多々あります。

ここまで「ベアを探せ!」というジム・ロジャーズ氏からのメッセージをお伝えしましたが、次にもうひとつ大切なキーワードを彼は言っています。

ベア(弱気相場)を探すだけではダメで、その中で将来性のあるモノを見極めなさい!ということです。

この将来性の見つけ方・見分け方が投資のレッスンなのです。

現状を大きく変えるような出来事の予兆を探れ

弱気(ベア)相場を探せ!しかし、その中で将来性のあるものを買え!というのが、ジム・ロジャーズ氏のアドバイスです。

将来性を測るには、大きな視点で変化を把握しなくてはならない。

そこで探るべきものが、変化の“解媒”だ。割安株が暴騰するような解媒を探すことが重要だとも言っている。彼の言う解媒とは、たとえば北朝鮮であれば、金正恩の存在、ロシアのプーチンによる極東開発などを例に上げている。

要は、現状を大きく変えるような出来事の予兆を探るということです。

これは簡単なことではありません。誰でもできることなら、誰もが3大投資家になってしまいます。だから、ベアの中に将来性のあるものを見つけるには、レッスン・修行が必要です。

Next: 例えば「ゲーム株」に注目すると…? バフェット投資術を実践する方法



例えば「ゲーム株」に注目してみる

私の手法は成長株投資(グロース)ですので、いま値上りしている人気株に常に注目していますが、すでに大幅に株価が上昇しているものに投資する場合は、短期決戦です。

しかし、成長株の中でベア(割安)になっているものを探して、じっくり待つやり方のほうが成功率が高い。

具体例を上げれば、最近の人気セクターはゲーム株だ。

なんと言ってもコロプラ<3668>が一番人気で、株価がアッという間に、約3倍になった(※編注:原稿執筆時点2019年10月16日)。それを見て、他のゲーム株で、ベア(割安)を探すというのが、もっともわかりやすいやり方だ。

そこでブシロード<7803>オルトプラス<3672>に注目。しかしブシロードもオルトプラスも、コロプラ株の急騰とほぼ同時期から急上昇。コロプラ急騰を触媒として、ブシロードやオルトプラスを買うのは、よほど素早く動かないと、株価上昇の波に乗れません

それでもコロプラ株を出遅れて買うよりは、ブシロードやオルトプラスのほうがチャンスがある

そこでゲーム株でまだほとんど動いていない株はないかなと探してみると、ケイブ<3760>イグニス<3689>などが、まだ安値圏でベア(割安)に見える。

果たして、ケイブやイグニスに将来性があるだろうか?

「もっとも不人気で弱気(ベア)な分野」をどう探す?

あるいはもっと不人気な分野、不人気な株を探すというのが、ジム・ロジャーズ氏の言う「安く買って、高く売る」、ベア(弱気相場)を探せということでしょうから、その視点で今の日本の株式市場でもっとも不人気、ベアはどこだろう?

銀行証券郵貯不動産業界などだろうか? これらの分野の企業の株価は概して、安値圏にある。

例えば、いま批判が集中している日本郵政<6178>などはどうだろうか? 今まさに株価は大底圏にある。日本郵政に将来性はないか?

私のオフィスのある山王パークタワーには郵便局がある。いつ立ち寄っても笑顔で迎えてくれて、サービスはとても良い。日本郵政のサービスも、それほど悪いとは思えない。一部に、保険の押し売りがあったかもしれないが、日本郵政・郵便局に対する信用度は世界トップクラスと言ってもいいだろう。長い目で見ると、今回のスキャンダルを契機に日本郵政の内部管理体制も改善されるだろう。

初心者の投資家にとって、弱気相場(ベア)を探せの対象としては、検討してみる価値があるのではないだろうか?

あくまで、ジム・ロジャーズ氏の「ベアを探せ!」の具体例の考え方・見つけ方を今回は紹介しているわけで、今、日本郵政の株を買え!というわけではありません。

それから、彼は、こうも言っている。

米国株の上昇が続いているが、「アップルに今から投資をしたとしても、大きく儲けることはできないだろう。アップルに投資して、大儲けできたのは、彼らのテクノロジーをほとんど誰も知らない頃から、その未来にワクワクしていた人たちなのだ」。

また、「安く買うことのメリットは、たとえ予想が外れていたとしても大損することはない。今政情不安が続く、ベネズエラに投資をするのであれば、おそらく一文無しになるほどの損害を受けることはない。すべてが悲惨な状態で相当安くなっているのだから」とも言っている。

Next: ベアを見つけたと思っても、「よく知らないもの」に分散投資してはいけない



「よく知らないもの」に分散投資してはいけない

次に彼が教えているキーワードは、“よく知らないものに分散投資してはいけない”。自分自身がよく知っているものに投資する。

また、「投資は分散すべき」という言葉が投資の常識として語られるが、分散したら大金を手にすることはできない。投資で大成功したいのであれば、ここぞ、というタイミングで集中的に投資しなくてはならない

そうしたタイミングはめったに訪れるものではないが、ひとつ考えられるのは政府による決定だ。これも一般の投資家にはショッキングな教えだろう。

分散投資では、大金持ちになれない。自分が良く知っている分野、企業を良く調べて、ここぞと思う時に集中投資すべきだとわかっていても、実際は、なかなか実行できないというのが現実だ。そして、そのここぞと思うタイミングは政府による決定によって訪れるとも言っている。

まさに、2013年1月がそのタイミングだった。前年12月に誕生した安倍政権がアベノミクスの旗を掲げた時だ。

では、今後そのようなタイミングが訪れるであろうか?

そして、この第5章の最後にもっとも大切な投資哲学を書いている。“好機は危機に潜む”。

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image by:Verhandelbar at Wikimedia Commons [CC BY-SA 4.0], via Wikimedia Commons

※本記事は『菅下清廣の”波動からみる未来予測”』2019年10月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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菅下清廣の”波動からみる未来予測”』(2019年10月16日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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