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コクヨのぺんてる敵対的買収に、プラスが友好的第三者「ホワイトナイト」として参戦

ぺんてる株式の買付けに関して、11月15日にコクヨが同社を連結子会社化することを発表。反発するぺんてるに、プラスが20日、ホワイトナイトの名乗りを上げた。(『元証券マンが「あれっ」と思ったこと』)

ぺんてるはコクヨの株式買付に反発、プラスの提案に賛同

コクヨがぺんてるの株式を取得し、子会社化を目指すことを発表

ぺんてる株式の買付けに関して、コクヨ<7984>が、以下を発表した。

コクヨ:ぺんてる株の37.8%を握る筆頭株主⇒あと1割強取得できれば過半に届く
※参考:持分法適用関連会社の異動(連結子会社化)に関するお知らせ‐コクヨ株式会社(2019年11月15日公開)

ぺんてるの株式の発行済株式総数の過半数の取得及び同社を連結子会社化することを目指すことを決議。
※参考:ぺんてるの株式の買付け方針に関するお知らせ‐コクヨ株式会社(2019年11月20日公開)

発行済株式総数の過半数の取得を目指すことを決議

買付期間:2019/11/15~2019/12/15
買付価格:3,500円/株

※参考:(変更)ぺんてるの株式の買付け条件変更のお知らせ‐コクヨ株式会社(2019年11月20日公開)

買付価格の変更:3,500円→3,750円

当社は、当社と競合するプラスが設立したコンソーシアム(ジャパンステーショナリーコンソーシアム合同会社)が1株当たり3,500円でぺんてる株式を買い受ける旨の文書がぺんてる株主に対して送付されたとの情報を複数の方から受領したことにより、当該事実を確認したことから、本買付けにおける応募の見通し等を考慮して、買付け価格を変更することを決定。

Next: プラスがホワイトナイトとして声を上げた背景は?



ぺんてるはコクヨの方針に反発、プラスはEC拡大の考え

一方、2019/11/20、日経電子版に「コクヨのぺんてる買収、プラスが対抗案 争奪戦に」が掲載された。
※参考:コクヨのぺんてる買収、プラスが対抗案 争奪戦に‐日本経済新聞(2019年11月20日公開)

ぺんてるを敵対的に買収する方針を15日に示していた、文具国内最大手のコクヨへの対抗案。

ぺんてる経営陣はプラスの提案に賛同しており、プラスは友好的な第三者「ホワイトナイト」(白馬の騎士)に。

プラスが設立した合同会社が、1株3,500円で12月10日まで買い付ける。プラスは非上場のぺんてるの独立性を守るため、取得割合は発行済み株式の33.4%を上限とする。20%以上集まらなければ買い付けを実行しない。

ぺんてるは取締役会でプラスの提案への賛同と、コクヨによる株式取得への反対を決議。

ぺんてるは300人超いる株主のうち従業員持ち株会やOB、取引先など同社経営陣に近く、コクヨの提案に賛同しない株主が一定数いるとみている。プラスの提案に最低でも20%の支持が集まれば、コクヨによる株の過半の取得を阻止できると判断している。

コクヨは5月にぺんてるの筆頭株主だった投資ファンドに101億円出資して間接的にぺんてる株を保有し、事実上の筆頭株主となった。9月には直接出資に切り替えた。

コクヨが望む業務提携の協議が膠着するなか、コクヨはぺんてるが第三者との提携を進めるとの情報を理由に「裏切り行為」だとして、15日にぺんてるの子会社化を目指すことを表明。ぺんてるは同日夜、「突然、子会社化する方針を明確にしたことに強い憤りを覚える」と反発していた。

プラスは非上場でオフィス家具や文具を手掛ける。連結売上高は2018年12月期で1,772億円。ぺんてるをグループ化して、海外展開やネット通販事業の拡大に乗り出したい考え

なお、ぺんてるの「株主の皆様へ(11月20日) コクヨ株式会社の保有株式数について」の概要は以下の通り。
※参考:株主の皆様へ(11月20日)コクヨ株式会社の保有株式数について

今般のコクヨによる当社に対する敵対的株式取得行為に関連し、以下の情報を共有させていただく。

Next: ぺんてるがコクヨに対して不信を訴える要因は、未承認の株式譲渡



<コクヨの2019年9月24日付プレスリリース>

「ぺんてる株式会社普通株式のPI投資事業有限責任組合から当社への譲渡に関するお知らせ」

当社は本年5月10日付けで株式会社マーキュリアインベストメントが管理・運営するPI投資事業有限責任組合(以下、当組合)の有限責任組合員としての持分すべてを取得したことにより、当組合を通じて、ぺんてるの普通株式37.45%を保有していたが、本日付けのぺんてるの取締役会にて、当組合が保有する当該株式の当社への譲渡が承認された。この結果、当社は本日付けでぺんてるの株主となった。

<コクヨの2019年11月15日付プレスリリース>

「持分法適用関連会社の異動(連結子会社化)に関するお知らせ」

当社は、2019年5月10日付で公表致しました「投資事業有限責任組合への出資に関するお知らせ」及び2019年9月24日付「ぺんてる株式会社普通株式のPI投資事業有限責任組合から当社への譲渡に関するお知らせ」のとおり、ぺんてるの株式3,370,563株を取得(「本株式取得」)し、ぺんてるを当社の持分法適用関連会社とするとともに、ぺんてるとの海外事業・国内事業を含む業務提携契約の締結に向けて真摯に議論を継続していた」。

<ぺんてるの主張>

この11月15日付プレスリリースの「5.取得株式数、取得価額及び取得前後の所有株式の状況(予定)」において、コクヨは同時点の所有株式数について「3,402,249株」としており、当社が認識している株式数3,370,563株よりも31,686株増加している。

コクヨが、当社株式の買付を開始する前の段階において、既に、一部の株主から当社の取締役会の承認を得ることなく当社株式を取得していたことを意味する。

2019年9月24日以降、コクヨがいかなる目的をもって当社の株式を追加取得したかについては判然としないが、少なくとも何らかの意図をもって、2019年11月15日に当社株式の追加買付の方針を表明する以前に当社株式を取得していたことは明らか。

株主においては、ぺんてるが独立性を守り今後も価値ある新製品を全世界のお客様にご提供させていただく為、会社の方針をご支持くださいますようお願い申し上げる。

コクヨが追加取得した31,686株については、ぺんてる側は譲渡承認していない(非上場のぺんてる定款上、株式の譲渡制限(会社の承認が必要)あり)

※参考:ぺんてる株式会社との海外における販売提携契約締結合意のお知らせ‐コクヨS&T株式会社(2010年12月20日)

<感想>

本件は、コクヨのぺんてる株式の買付けに対して、プラスがホワイトナイトに名乗り出たもの。

コクヨの買付価格引き上げに対して、プラスがどう出るかを含めて、今後の動向を注視していきたい。

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image by : Africa Studio / Shutterstock.com

元証券マンが「あれっ」と思ったこと』(2019年11月22日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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