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なぜ韓国の反日やり過ぎに米国が激怒した?文政権の幼稚外交とGSOMIA延長の舞台裏=勝又壽良

GSOMIA破棄が目前に迫った11月22日、韓国は「失効の一時延期」を決めた。反日を緩めたわけではなく、米国の圧力に屈した形だ。(『勝又壽良の経済時評』勝又壽良)

※本記事は有料メルマガ『勝又壽良の経済時評』2019年11月25日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし)
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。

米兵の犠牲で現在の韓国がある。韓国が触れられたくない史実とは

失効6時間前に「継続」へ

韓国は、8月22日にGSOMIA(日韓軍事情報包括的保護協定)の破棄を決定、日本へ通告した。その失効期日は11月23日午前0時。ここに3ヶ月にわたって日米韓3カ国の間で外交戦が繰り広げられた。

結論は、GSOMIA失効6時間前という瀬戸際で、韓国が「失効を一時延期」という決定を下した。

これによりGSOMIAは、今も「生きている」わけだ。

破天荒で未熟な韓国外交の素顔

韓国が、GSOMIAを破棄する。こういう破天荒な決定をした背景その後の混乱は、韓国外交の未熟さを露呈している。

韓国は、日本が半導体3素材の輸出手続き規制をした原因が、韓国大法院による日本企業への徴用工賠償判決の報復だとして反発した。外交問題に対して経済的な報復であるとの理由で、WTO(世界貿易機関)へ提訴した。

一方、日本に対しGSOMIA破棄で対抗した。これは、半導体3素材の輸出手続き規制という経済問題を理由に、GSOMIA破棄という外交手段で対抗したものだ。

以上の関係を整理すると、次のようになる。

日本:徴用工賠償問題(外交)→半導体3素材の輸出手続き規制(経済)
韓国:半導体3素材の輸出手続き規制(経済)→GSOMIA失効(外交)

徴用工賠償問題は、日韓で起こった問題だ。GSOMIA失効は、日韓だけの問題に見えるが、日米韓3ヶ国の安全保障体制の根幹に関わる問題である。韓国は、この重大な関係を見落としていた。

なぜ韓国はアメリカまで巻き込んでしまったのか

韓国の「GSOMIA失効宣言」の際、米国が「遺憾の意」を表明した。

それに対して、韓国大統領府が反駁したのだ。「韓国には同盟の前に国益を守る権利がある」と。米韓同盟の利益よりもGSOMIAを破棄して、日本に半導体3素材の輸出手続き規制を撤廃させる。これが国益だと豪語したのである。

このとんでもない発言でその後、韓国は窮地に立たされた。

韓国大統領府の国際感覚のない発言が、「米中冷戦」(米国は、こういう意識で中国に対抗している)状態にある米国の認識を痛く刺激した。

韓国は、中国の味方になるのか」という怒りに火を付けたのだ。

Next: 「韓国は中国側に付くのか?」アメリカを怒らせて窮地に…



「韓国は米韓同盟を守る意思があるのか?」

朝鮮戦争は、中国と北朝鮮が韓国を侵略した戦争である。

韓国軍は一時、釜山一帯まで追い詰められたが、米軍や国連軍は体制を立て直し反撃に成功。現在の韓国が、残ったというのが歴史的事実である。

こういう事実を踏みにじって、「韓国には同盟の前に国益を守る権利がある」とはどういうつもりか。米韓同盟を守る意思があるのかという、疑念を生んだのである。

これ以降、米国の韓国に向けた「GSOMIA継続」圧力は日に日に大きくなっていった。米議会、国務省、国防総省が総力を挙げて、韓国に翻意を迫ったのだ。

最後の台詞は、「韓国がGSOMIAを継続しなければ、トランプ大統領がどういう発言をするか分らない」というもの。トランプ・ツイッター砲で直撃されたら、韓国の国際的な信用は確実に失墜したはずだ。

米国が圧力をかけた背景

米国からここまで圧力がかかった背景は、前述の「米中冷戦」にある。

中国は、米国の世界覇権を狙うと公言している。つい最近の習近平発言では、それを否定しているが、本心に変わりはないだろう。米中冷戦の舞台はアジアである。南シナ海や東シナ海での領土拡張を足がかりにして、米軍と覇権戦争する構想である。

こういう中で、韓国がGSOMIAを破棄すれば、日米韓3ヶ国の安全保障体制のシンボルが崩れるのだ。

韓国は、3ヶ国の中から抜け出して中朝へ秋波を送る可能性も出てくる。米国が、こういう韓国を引き留めるには、強い圧力をかけざるを得なかった。

経済制裁として、まず行なったのは、駐韓米軍の費用分担引き上げである。来年については、今年の5倍の約50億ドルの請求書を突付けた。

また、韓国からの自動車輸入に関税をかけるという情報も流した。弱り目に祟り目の韓国経済にとって、「自動車関税」は恐慌をもたらすほどのパンチである。

この一件によって、米国が韓国に対していかに怒っているかをわからせようとした。

Next: 米兵の犠牲で現在の韓国がある。韓国が触れられたくない史実とは?



米兵の犠牲で現在の韓国がある

朝鮮戦争での米軍犠牲者は、米国防総省によれば戦死者、戦闘以外の死者、戦闘中の行方不明者を含めれば、じつに4万4,702人に及ぶ。これだけの犠牲を払って、韓国防衛に協力したのである。

それが今になって、「日本が憎いから」という理由で、敵方の中国へ秋波とは信じがたい裏切りである。中国のGSOMIA破棄が、米韓同盟を弱体化させ、中ロ朝へ塩を送る行為に見られたのだ。

韓国外交の迷走は、李朝末期となんら変わっていないことに気付く。朝鮮李朝は、国内政治情勢が混乱していた。日本派、清国派、ロシア派と分かれて争っていた。李朝内部ではロシアと組んで日本派や清国派を追放する画策が行なわれていた。ロシアが、南下して朝鮮半島を支配すれば、アジアに大きな影響力を持つことは明らかだった。当時の覇権国の英国は、米国と協議しこれを阻止すべく、日本を朝鮮半島の「代理人」とした。日韓併合の下地はこうして用意されたのだ。

朝鮮が、日本の支配下に組み込まれなかったとすれば、当時の政治情勢ではロシアであろう。韓国が、帝政ロシアに支配され農奴として使役されたことは想像に難くない。現在の韓国の姿はあり得なかったはずだ。

歴史に「if」はないと言うが、頭の体操として試みる必要はあろう。

韓国が触れられたくない史実

朝鮮の日本派は、日本と朝鮮(大韓帝国)の軍事同盟が、ロシアに対抗し、大韓帝国の富国強兵を図る方法であると主張した。1906年、日本派は「韓日合邦」をはじめて主張した。1909年10月に併合反対派だった伊藤博文前統監が暗殺されたのち、日本派は同年12月、韓国皇帝、統監、首相らに対し「日韓併合」の声明書を提出した。

この中で、「日本は日清戦争で莫大な費用と多数の人命を費やし韓国を独立させてくれた。また日露戦争では日本が莫大な損害を出しながらも、韓国がロシアの口に飲み込まれる肉になるのを助け、東洋全体の平和を維持した。韓国はこれに感謝もせず、あちこちの国にすがり、外交権が奪われ、保護条約に至ったのは、我々が招いたのである」と記した。

こういう記録は、現代の韓国にとっては絶対に触れられたくない部分であろう。

日本が、当時の大国である清国やロシアと相次いで戦争して破ったことが、日本派による日本との併合希望であった。

朝鮮の「事大主義(勢力の強い方に付き従う)」が良く表れているのだ。

Next: 中国は日本と同じ運命を辿る?歴史を忘れた日中韓3カ国の悲劇



歴史を忘れた日中韓3カ国の悲劇

日本が、日露戦争で勝利を収めた裏には、英米の強力な支援があった。

日本の国力では、大国・ロシアに勝てるはずがなかった。英国は、世界の英国植民地の港にロシア艦隊を寄港させなかった。へとへと状態で、日本の連合艦隊と日本海海戦に臨み大敗した。

米国は、ロシアに早期の対日講和を働きかけて、長期戦による日本敗北を防いだ。この英米2国が、日本の味方になってくれた。

だが、日本は新興国特有の自惚れにより、やがて英米と対決して行く。

現在の中国が、かつての新興国日本と同じ運命を歩んでいる。日中戦争では、米国が中国支援に動いた。日本の軍国主義阻止が理由だ。共産中国になっては、米中がソ連を共通の敵として手を組んだ。中国は、ソ連からの開戦危機を米国との国交回復で回避できた。こうして、米中は協力してソ連を崩壊に追い込んだのである。

その中国が、今度は恩人の米国へ戦争を挑む。中国が、日本と同じ運命を辿ることは間違いない。経済と外交・安保の両面で、日中は恐ろしいほど似ているのだ。

日本と中国は、「新興国」として見せる歴史的勃興期における共通の「無謀傾向」を顕わしている。

自ら歴史を切り開いたことがない韓国

韓国の場合は、日中のように対外的膨張型でなく、外交戦略が李朝時代と変らない「事大主義」である。これは、歴史に飛躍がないからであろう。自らの力で歴史を切り開いた経験がない結果だ。

韓国の日本からの独立は、日本敗戦による「棚ぼた」である。それにも関わらず、韓国は「戦勝国」と言いふらし、日本との講和条約出席を2度も要求して米国に拒否された。朝鮮戦争で生き残ったのは、米軍と国連軍の軍事支援があったからである。

こういう歴史を見ると、自力でやり切ったことのない、不完全燃焼型民族であることがわかる。それ故、「反日」になると猛烈なエネルギーを発揮する。

これこそ、民族の不満と劣等感を発揮する唯一の機会であるためだ。

Next: 反日がどうしても必要? 韓国弱体化の元凶は「劣等感」



反日せずにはいられない

じつは、このことの繰り返しが、韓国を弱体化させているのだろう。

過去を吹っ切って未来に進める推進力が生まれないのだ。そういう自信がない。その劣等感を絶えず、反日で紛らしている

国外では、「悪いのは日本である」。国内では、「悪いのは反対派である」。こうして、責任を他に転嫁して気持ちを休めている。この状態では、何も生まれないのだ。

韓国は、歴史的に持てるエネルギーを海外で発散させたことがない。ひたすら国内に向けられて、派閥争いに終始している。李朝もそうであった。

これが、韓国の国際感覚をきわめて鈍化させている。海外で何が起こっているか。そういうことに無関心である。GSOMIAを失効させて、日本に一矢報いてやる。

それがもたらす外交的な波紋について一切、考慮していなかったのだ。

韓国に「米国に救われた」という気持ちは皆無

米国が、日米韓3ヶ国の安全保障体制にひび割れをもたらすと発言すれば、韓国大統領府は「同盟よりも国益が大事」と反論する。

この信じがたい応酬の裏には、韓国が朝鮮戦争で米国に救われたという気持ちがゼロであることを物語っている。

米国が、防衛に立ち上がらなければ、現在の韓国は生存しなかった。これは、動かしがたい事実である。

世界情勢より国内優先する韓国

韓国の「内向き姿勢」は、外交音痴になってはね返っている。米中冷戦など想像もできない事態であろう。だから、米韓同盟に誠意を持って対応するよりも、隙あらば中国と誼を結びたい、という邪な動きが出るのであろう。韓国国防部の幹部が現在、定期的に秘かに北京を訪ねているという――

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勝又壽良の経済時評』(2019年11月25日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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勝又壽良の経済時評

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経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。

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