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2019年も残すところ後わずか、厳しい下落を強いられた昨年末の相場を振り返る=櫻井英明

2019年はここまで全体的に株価が好調となっている。しかし、昨年は特に秋から年末に向けて安値を強いられた。ここで2018年12月の市況を改めて振り返ってみる。(『「兜町カタリスト」』櫻井英明)

株価好調が続く現在、1年前の年末を振り返ってみると…

昨年は12月25日~29日の1週間が連日2兆円割れ

1年前を振り返ってみる。

<12月17日>

東証1部の売買代金は2兆651億円。9月10日の1兆8,752億円以来の低水準。

今年8月中旬から9月中旬にかけて売買代金が2兆円を割った日が11日。あれは夏休みの夏枯れ相場で「陰の極」だった。

<12月19日>

Quick調査の信用評価損率は▲13.63%と2週連続悪化。12月14日時点の裁定買い残は3,817億円減の7,277億円。16年11月以来の1兆円割れとなった。

同裁定売り残は984億円減の6,362億円。「メジャーSQを挟んで減少した」という解釈と「金利低下が裁定機会を失わせた」という解釈が可能だ。

17日現在の株数では買い残3億2,440万株、売り残2億5,179万株。売り残と買い残の逆転は底打ちサインになる可能性はある。

空売り比率は41.0%と低下。ただ上場初日でソフトバンクの売買が増加したが、まだ空売りができなかったというのが主因での低下。芳しくはない。40%超は13日連続

<12月20日>

日経平均はNY株安を受けて寄り付き208円安。終値595円安(一時704円安)。中国株の下落と円高トレンドを背景に「売りが売りを呼んだ」格好。

日経平均、TOPIX、ジャスダック平均は終値ベースの年初来安値を更新。日経平均は3月安値を切って17年9月以来の安値水準。

値上がり74銘柄。値下がり2,047銘柄。新高値1銘柄。新安値1,079銘柄。東証1部の新安値銘柄が1,000を超したのは今年初。2011年3月15日の東日本大震災の時の3月15日が1,048銘柄だったから2008年10月10日の1,163銘柄以来の記録。「リーマン以来というのが何とも不気味」という声が聞こえる。

日経平均で2万円、TOPIXで1,500ポイントというフシ目さえ意識せざるをえないところまで来た。騰落レシオは74.23。

Next: 週明け以降と同日の昨年の状況はどうだったのか?



<12月25日>

日経平均は寄り付き82円安。前引け前の安値が2万6円。大引けにかけては160円程度戻して終値は226円安の2万166円。「6ばかり続いてオーメンか」とい揶揄する声もあった。

TOPIXは1,500ポイントを割り込み17年4月以来の安値水準。東証1部新安値銘柄数は1,335。リーマンショック時の08年10月7日の1,202銘柄を上回って過去最高(もっとも当時の上場銘柄数は1,700銘柄台、現在は2,130銘柄)。

騰落レシオは今年最低の68.06。日経平均のPBRが1.05倍まで低下

「テクニカル指標は底打ちサインだがNYが落ち着かない。2日連続して新安値銘柄が1,000を超すなどということは通常考えられない。気づかないところで何か起こっているのか」という見方だ。

12月第1週に週足は長い陰線。第2週は週間下落ながら週足陽線。前週は週間1,208円の下落となり再び長い陰線。売られ方は暴力的な感がある。

ブラッククリスマスという印象の火曜日。日経平均は寄り付き381円安。一気に2万円割れで、昨年4月25日以来1年8カ月ぶりの安値。ただ先物は寄り付きから250円安程度の下落。現物の終値は1,010円安と今年2番目の下落幅となった。

東証1部の年初来安値銘柄は1,601と過去最多記録を更新。日経平均は5日続落(5日間で合計2,350円安)。10月高値からの下落率が21%と「弱気相場入り」のシグナルとされる20%超(NYダウが19.2%。NASDAQは20%超下落)。

市場からは「2015年の年末に似ている」の声。「あの2015年だって年末3日間は続伸していた」という指摘もある。「下には60ヶ月移動平均線(1万8,873円)が控えている」の見方。よく都合の良い線を見つけ出して来るものだ。

<12月28日>

2日遅れでクリスマスプレゼントを貰ったようなもの。火曜に空けたマド(2万6円→1万9,785円)は埋めた。日経平均の上昇率3.88%に対しTOPIXは4.9%だった。

日経平均は2日続伸で921円高。過去5日間の下落幅2,350円に対して戻り率39.1%。NYダウは4日間で1,883ドル下落で1,086ドルの戻しだから戻り率は57.7%。

「深刻な状況下でも、なんとか掉尾の一振に期待が出てきた」との声も聞こえる。1万9,785円を上回って引ければ週足は長い下ヒゲをつけた陽線。「底打ちのサインが点灯する」という見方だ。

東証1部の売買代金は2兆6,918億円。昨年と違って株価の大変動があっただけに年末の薄商いにはならなかった。「平成最後の大納会。平成最初の大納会が日経平均の高値だった」という声が聞こえる。

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image by : GaudiLab / Shutterstock.com

「兜町カタリスト」』(2019年12月19日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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