株式投資をしていると多くの銘柄を買いたくなります。これを「横の分散投資」と言い、典型的な儲からないパターン。その逆の「縦の分散投資」を紹介します。(『資産1億円への道』山田健彦)
長期投資だけでなく、短期投資でも活用できる投資法
横の分散投資でむやみに保有銘柄数は増やさない
筆者もかつて経験がありますが、株式投資を行っていると、多種多様な異なる銘柄を買いたくなります。
『今持っているA銘柄も調子良いけど、B銘柄もそろそろ株価の大底かな~。今日のマーケットコメントでは、K先生が「C銘柄はこの先伸びそう!」なんて話をしていたし、S先生は「XX業界関連に的を絞れ」と言っていて、それはその通りのような気もする…。会社四季報ではD銘柄は「最高益更新」なんて見出しも躍っているなぁ…。仕手株得意のW先生は「要継続監視」という銘柄を30も上げている。含み損を抱えているE、F、G、H、I銘柄は株価の回復を期待して、このまま保有し、少しずつ良さそうなものを新たに買ってみるか…!』
となり、気が付くと50銘柄以上も持っていた、なんてこともあります。
こういうのを「横の分散投資」と言いますが、これは保有銘柄数は増えるものの資産額はなかなか増加しない典型的な儲からないパターンです。
必要なのは「縦の分散投資」の発想です。「縦の分散投資」とはごく限られた銘柄を異なる株価、異なる時期に購入する時間分散による投資です。
王道は積立投資
「縦の分散投資」の王道は、月一回など定期的に同一金額で投資する積立投資です。
「同一金額ではなく同一株数ではダメなの?」と時々聞かれます。ダメではありませんが、同一金額の方が筆者の経験上、効率的です。
この「縦の分散投資」ですが、長期にわたり淡々と実行していくものなので株価は上昇トレンドの時も下落トレンドの時もあります。
今回は週足チャートで上昇トレンドの時はどうしたら良いのかをお伝えします。筆者が取っている対処法ですが、おおよそ以下の通りです。
週足チャート上で上昇トレンドを描いている中で、好決算や新製品の開発など、ある程度株価の上昇が続くのでは、と予想できる場合は流れに乗って通常の積立買い付けとは別に臨時買い付けを行い、同時に別の証券会社の口座で短期の値幅取り目的でその銘柄を買い付ける。
この戦い方の利点は、長期戦と短期戦を同時に展開できることと、既に長期戦に臨む際に銘柄分析を十分に行っているので、短期戦では売買タイミングだけを判断すれば良いということです。
金額的には、積立口座での臨時買い付け額は原則、毎月積立てている額と同額。最大でも2倍まで。
別の証券会社経由での短期値幅取り目的の場合は、その時点で投資に振り向けられる余裕資金の3分の1以下にしておき、状況に応じて追加で資金投入できるよう、手元資金を残しておくようにしています。
ちなみに短期取引の場合に筆者は信用で買うことが多いのですが、信用の返済は原則1週間以内に行い、1週間を超えてさらに株価の上昇が見込めると判断した場合は、現引きして保有します。
売却タイミングは日足チャートで5日移動平均線が上向きから横向きに転じたとき、または長い上ヒゲをつけた陰線が出現したとき、その他株価が大陰線を付けて5日移動平均線を下回った時など、チャートの形状重視で臨んでいます。
Next: 急騰銘柄で短期的にトレードをするときのポイントとは?
急騰銘柄でコスト・ゼロの株を作る方法
短期にコスト・ゼロの株を作る方法もあります。市場で急に注目され始めたテーマ株、材料株が対象になります。
ただ、このような切り口での投資は逃げ遅れると大やけどを負う可能性も高いのと無配または配当が安定していない等、コスト・ゼロで配当を得るという我々の作戦に合わない銘柄も多いので、その辺りは注意します。
チャート的には「チャート、ヨコヨコ、タテ」という長期にわたり株価が上がりも下がりもしない銘柄で、ある日突然出来高を伴って株価が上昇しだした銘柄をマークします。
この時点で買っても良いのですが、ほとんどの場合直ぐに株価は反落するので、第1弾の上げは原則見送りし、再度人気化する第2弾の上げの兆候をじっと待ちます。
テーマ性が評価され直すことに加え、短期急上昇した銘柄はカラ売りも急増するので、そのカラ売りの利益確定の買戻しの波に乗るのです。
この作戦では信用売り残が減りつつあるのを確認し、チャートと睨めっこしながら数か月にわたり、何度か買い続けます。
買うポイントは信用売り残が減りつつあるか、と25日移動平均線や75日移動平均線からの反発、上昇などチャートの節目で株価の反転があった所です。
筆者の経験では、第1弾の上昇から3~4か月後に第2弾の上昇が来ることが多いように
感じられます。それまでに下値でコツコツと持ち株数を増やしていくのです。
短期急騰銘柄を自分で探すのは面倒、という方はこちらをご覧ください。
※参考:株価アルゴリズム
これらが全て第2弾の上昇を見込める、という訳ではありませんが、お宝はこのなかに潜んでいる可能性が高いです。当然、テーマ性、配当の有無、財務の安定などある程度の所はチェックしてください。
<投資候補銘柄の見つけ方 1~5回目>
image by : William Potter / Shutterstock.com
『資産1億円への道』(2019年12月27日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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資産が1億円あるとゆとりある生活が可能と言われていますが、その1億円を目指す方法を株式投資を中心に考えていきます。株式投資以外の不動産投資や発行者が参加したセミナー等で有益な情報と思われるものを随時レポートしていきます。