ゴーン会長の件では、東北震災と同じぐらい日本と海外の報道に差がある。日本の報道は検察側の情報ばかりだが、海外報道では日本の司法制度に疑問符がついている。(『房広治の「Nothing to lose! 失う物は何も無い。」』房広治)
※本記事は有料メルマガ『房広治の「Nothing to lose! 失う物は何も無い。」』2020年1月1日・7日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。
アメリカ、イギリス、香港など主要金融センターで著名な日本人投資家。留学中に外資系銀行に就職し、わずか10年で日本のインベストメントバンキングのトップに。投資家転向初年度に年率リターン90%以上の運用成績を出し、ファンドマネジャー・オブ・ザ・イヤーとなる。
長期間の勾留は「拷問」? 有罪判決率99%の日本の裁判は異常か
マスコミの偏向報道
集団経営体制で失敗した有名な会社が「日産」である。
その日産の旧経営陣は、潰れそうになった日産の改革を助けてくれたゴーン会長を、検察を使って追い出した。
昨年末に突然、ゴーン会長はレバノンに逃亡した。
日本のマスコミやコメンテーターは、どのようにしてゴーン氏が日本からレバノンに脱出したのかとか、レバノンの弁護士グループがゴーン会長を「イスラエルに入国した罪」で告発してレバノンでも禁固15年の刑に処せられるとか、国際手配されたから日本に戻されるのではないか、という印象を与える報道・分析ばかりされている。
これは私の得意とする、マスコミの報道とは違った視点での分析を披露する場面だと、年末から、メルマガにどのように書こうかを考えていた。
私は、今回のゴーン氏の逮捕からレバノン逃亡は、ゴーン氏の強力なリーダーシップに対して、無能で、辞めされそうになることを予期した1人の、社内ポリティックスなだけだというシナリオがあるということを、伝えたい。
真実は分からないが、日本のマスコミは、民主主義の先進国の中で、唯一、偏向した報道であると言われている。
すなわち、他の国では、検察や日産の主張だけではなく、ゴーン氏側の主張が、バランスよく、テレビや新聞で報道されるべきなのだ。
国際問題に発展する?
今後、どうなるのか。私がゴーン氏の弁護士(フランス、レバノン、アメリカのどれか)であるならば、どう主張していくかを考えてみた。
私ならば、国際司法裁判所に、ゴーン氏の特捜部での取り調べの様子をすべて、開示し、公開しろと要求する。
国際司法裁判所の判事たちは、裁判で99%の有罪判決が出る日本の司法制度は、単なるお飾り的なシステムだと見るだろう。また現状を見て、政府から中立的な司法制度とは、まず判断しない。
そのように主張されると、日本としては、かなりヤバいことになる。
なぜか? それは、無罪を主張している被疑者に対しての拘留期間が長すぎることである。
これは、国際的に見れば、拷問の一種のように見えてしまう。
これを、日本国として、弁護するのは、かなりハードルが高く、ゴーン氏の弁護士が優秀であれば、国家レベルの問題にしてしまうことである。
Next: 日本の司法制度は異常?日本と海外の報道に大きな差
日本と海外の報道に大きな差
ゴーン会長の件は、東北震災と同じぐらい、日本語での報道と英語での報道に差が出ている。
覚えていらっしゃると思うが、東北震災の時に、初期のマスコミは、政府の発表をそのまま報道し、放射能レベルがチェルノブイリ原発事故級だったと認めたところもあれば、今だに報道しないでいるマスコミもいる。
今回の日本語での報道を見ると、検察からの情報がほとんどである。
英語でのニュース番組では、ゴーン氏が疑われるような犯罪を犯したかどうかは分からないが、「自分が彼と同じ立場で、逃げ出せるのならば、逃げ出す」と、アメリカのニュース番組のアナウンサーも言ってしまうぐらい、日本の司法制度に疑問符がついている。
また、このアナウンサーは、「日本では、ゴーン氏がどうやって逃げたのかということばかりに焦点があって、議論されることになるだろう」と、日本では、自国の司法制度改革の意見を出すのが難しい雰囲気であることを暗に匂わせている。
私が拝見したCNBCのニュースは以下の通り。
日本の司法制度は異常?
また、奥様のキャロルさんが昨年11月に出演した以下のニュース動画も拝見した。
キャロルさんは、とても頭が良く、話が分かりやすい。日本の司法制度下では公正な裁判は受けられないというタイトルが分かりやすい。
「夫婦なのに、8カ月近くも会えてない」という話からの始まりで、「おやおや?なぜ日本の裁判所は、日産に関係ないキャロルさんとの接見が許されないのだろう?」と、大多数の視聴者は思う。
そして、殺し文句は、「日本の刑事裁判で、有罪判決が99.4%で、これは、ロシアや中国と同じだ」というくだりだ。
ほとんどの日本人は、日本の警察は優秀だと、小学校の時に刷り込まれている。
しかし、見方を変えるとこれは、こんなに高い有罪判決率だと、裁判官は本当に良心に従って判断しているのかという疑問が残る。
Next: 日本の裁判官は正気なのか? 検察の思った通りに報道するマスコミたち…
検察の思った通りに報道する日本のマスコミ
キャロルさんは、「証拠隠滅の可能性があると判断する裁判官は、正気か疑われる」と、匂わせている。
これについては、日本の地裁や高裁の裁判官は、法務省に人事権を握られており、法務省が気に食わない判断をすると、地方の裁判所に飛ばされるからだという弁護士もいる。
また、55の団体(呼びかけ人)、812名の弁護士、143名の研究者は、「日本の人質司法制度」と題して、昨年4月10日に、すでにゴーン会長の件を取り上げている。
※参考:Call to Eliminate Japan’s “Hostage Justice” System by Japanese Legal Professionals – Human Rights Watch(2019年4月10日配信)
Wikipediaにも、日本の司法制度は、人権団体のHuman Rights Watchから「問題あり」と目されていると出ている。
日本のマスコミは、検察の思っている通りの報道をしなければ、仕返しをされるのだろうか?
<有料メルマガ購読ですぐ読める! 1月配信済みバックナンバー>
※2019年1月中に定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。
- キャロル・ゴーンから見た日本の司法制度 房広治の「Nothing to lose!」Vol.280(1/7)
- ゴーン氏の出国と私の視点 房広治の「Nothing to lose!」Vol.279(1/3)
※本記事は有料メルマガ『房広治の「Nothing to lose! 失う物は何も無い。」』2020年1月1日・7日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にご購読ください。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。
<こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー>
※定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込880円)。
- ペロシ衆院議長>トランプ大統領 房広治の「Nothing to lose!」Vol.278(12/23)
- アウンサンスーチーは一流の政治家? 房広治の「Nothing to lose!」Vol.277(12/17)
- グレタ・サンバーグ氏 房広治の「Nothing to lose!」Vol.276(12/13)
- ナンシー・ペロシ 房広治の「Nothing to lose!」Vol.275(12/8)
- サントリー1万人の第九 房広治の「Nothing to lose!」Vol.274(12/2)
- 週間エコノミスト誌の記者と 房広治の「Nothing to lose!」Vol.273(11/24)
- ミャンマー 房広治の「Nothing to lose!」Vol.272(11/22)
『房広治の「Nothing to lose! 失う物は何も無い。」』(2020年1月1日・7日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
有料メルマガ好評配信中
房広治の「Nothing to lose! 失う物は何も無い。」
[月額880円(税込)/月 不定期]
世界の金融市場・投資業界で活躍する日本人投資家、房広治による、ブログには書けないお金儲けの話や資本市場に通用するビジネスマン・社長のあるべき姿などを、余すことなく書きます。