韓国では着実に「赤化」へと突き進んでおり、韓国検察の大改革もその一環だ。文政権を揺るがすスキャンダルを捜査させないため、検察から権限を奪っている。(『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』)
※本記事は、『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』2020年1月19日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
与党が検察妨害?文在寅政権を揺るがすスキャンダルは闇に消える
韓国検察の大改革
今回、この韓国経済のメルマガは本題とは少し離れて、韓国社会に起きているある変化に注目していく。その変化のキーワードになるのが「赤化」や「独裁」といったものだ。
韓国では着実に「赤化」へと突き進んでおり、今回の韓国検察の大改革もその一環である。
そもそも、なぜ、韓国の検察は大改革されることになったのか。
韓国の検察は、検事総長をトップに独自捜査が可能である。そして、容疑者への捜査で重要な起訴権を独占している。
政府の役人や官僚、政治家などに何かしらの不正があれば、自分たちの判断で捜査を行うことができた。その中で注目されたのは、日本のワイドショーでも取り上げられたチョ・グク前法相だろう。
彼を韓国検察が徹底的に捜査して、娘の不正入学や、不正投資などを身内から暴いていった。気が付けば疑惑の「タマネギ男」とまで言われるようになった。
その中で、強引な捜査(チョ・グク氏の妻への長時間の取り調べなど)が問題視されてきた。
実際、それが正しい捜査だったのかまでは、私も把握できていない。ただ、チョ・グク前法相は明らかに疑惑だらけだったので、韓国検察がやったことは通常の権限範囲内であっただろう。
しかし、検察改革を求める150万の集団デモなどもあり、一部の韓国市民は「韓国検察を改革せよ」と考えていたことは確かだ。
また、文在寅政権はチョ・グク氏関連の捜査で大打撃を受けた。疑惑をマスコミにリークして連日報道、政権支持率は急落して、最後はチョ・グク氏法相を切ることになった。
文在寅大統領の右腕とまでいわれた法相を切ることになった韓国検察への恨みは相当なものだっただろう。
さらに、チョ・グク前法相の弟や妻を逮捕して、いよいよ、残すのは本人のみとなった。
また、韓国検察は地方選挙に韓国政府が関与したかもしれない疑惑も捜査していた。いわゆる青瓦台の蔚山市長選介入疑惑である。これも証拠が出れば政権を揺るがすスキャンダルに発展するとさえいわれていた。
私は当初、韓国検察の大勝利と思っていたのだが、どうやら韓国検察を改革するための法改正を進めていたようだ。
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検察を妨害? 文在寅政権を揺るがすスキャンダルはどこへ…
文在寅政権は、言うことを聞かない検事総長を即座に下ろすことはできないので、まずは彼の手足となる部下を一斉に交代させた。それが2020年1月8日のことだ。
【ソウル聯合ニュース】韓国法務部は8日、チョ国(チョ・グク)前法務部長官の親族に関するスキャンダルや青瓦台(大統領府)による市長選介入疑惑などの捜査を指揮していた大検察庁(最高検)の幹部ら32人を13日付で交代する人事を発表した。
これにより、尹錫悦(ユン・ソクヨル)検事総長の側近の多くが大検察庁を離れることになる。
文在寅(ムン・ジェイン)政権の検察改革に対する意思を示す人事と言えるが、政権にとって都合が悪い捜査の妨害との批判も出そうだ。
これが最初の検察大改革である。まさに検事総長の手足を取り除くものであり、明らかに一連の捜査妨害なのだが、与党の民主党は「適切な人事」と歓迎した。
このようなニュースが年始に飛び込んできて驚いたわけだが、実はこれだけではなかった。
政治家や高官の不正捜査機関設置法
時間は1日遡るが、文在寅政権は「高位公職者犯罪捜査処(公捜処)」の設置および運営に関する法律の公布案を閣議決定した。
これはいったい何か?というと、政治家・政府高官らの不正を捜査する新機関である。これも聯合ニュースから引用しよう。
同法は文在寅(ムン・ジェイン)大統領が最優先課題の一つとして取り組む検察改革の関連法。先月末に国会本会議で可決された。新設される公捜処は大統領や国会議員、首相など政府高官、判事、検事などの職務に関する犯罪を捜査対象とする。このうち、判事や検事に対しては公捜処が直接起訴することができる。
つまり、大統領、国家議員、首相など政府高官だけではなく、判事や検事に対して、この新機関である「公捜処」が直接起訴できるという強大な権限を持っているわけだ。
ということは、この新機関は検察や警察よりも上位機関ということになるわけだ。そして、それは今まで検察だけが独占していた起訴する権利をこの新機関も持つことになる。
このような新機関が成立した言い分は検察も不正しているのを隠してきたから、それを公平に捜査できるようにした、というものだ。もちろん、実際のところは異なる。検察への権限潰しである。
しかし、これだけでは終わらなかった。
Next: 韓国検察「独自捜査権」まで喪失? やりたい放題の文政権
韓国検察「独自捜査権」まで喪失?
最後に韓国の検察は独自捜査権まで失った。
もう、韓国検察の判断だけでは捜査もできず、指揮もできないのだ。警察と協力して捜査するとしているが、実際は縄張り争いが過激化するだけという。
確かに韓国検察が不正をしていないとは言い切れないが、政府や政治家の不正を握り潰すために行ったとしか思えない検察大改革である。
これで文在寅大統領に逆らう検察は、組織を大幅弱体化されていくことになり、検事総長はただ椅子に座るだけの存在と成り果てる。
野党の自由韓国党は反対したわけだが、与党の圧倒的多数で可決されてしまった。
しかも、これほどの重要なニュースに保守派の代名詞である朝鮮日報は社説で批判すらしないという。こうして韓国の民主主義は終焉を迎えることになった。
もっとも、韓国人はそこまで騒いではいない。ことの重大性を理解してないのか、韓国検察はそこまで信用されていないのかは、判断ができない。
これから先、文在寅政権が関与していそうな事件は、捜査さえ行われない可能性がある。こうして、韓国の文在寅政権は確実に「赤化」へと突き進む。
韓国経済の動向と合わせて注目して欲しい。
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- 400回「韓国検察の独自捜査権が消滅して韓国の民主主義は崩壊し独裁政権へ」(1/19)
- 399回「文在寅大統領が新年の辞で見せた意思表明は反日と北朝鮮融和政策!」(1/12)
- 398回『文在寅大統領「国民が去年よりももっと幸せな1年になるようにする」と語るも、昨年の輸出は-10%減』(1/5)
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『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』(2020年1月19日号)より一部抜粋・再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による
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数年ごとに起きるデフォルト危機。世界経済が後退すれば、投資家が真っ先に資金を引き揚げていく新興国市場。輸出依存が96%という恐ろしい経済構造。ヘッジファンドに玩具にされる韓国市場。中国の属国化へと突き進む2014年。並行してスタグフに悩まされる現実。そして、1100兆ウォンを超え、雪だるま式に膨らむ家計債務の恐るべき実態。経済の問題点とは何なのか?なぜ、また、第四次経済危機が迫っているといえるのか。それは読めばわかる!投資、ビジネス、教養、雑談ネタにも最適な、最も韓国経済の実情を知ることが出来るメルマガ。