マネーボイス メニュー

【1月米雇用統計】新型肺炎、金融市場だけは克服した? 不安な夜は「押し目狙い」で=ゆきママ

新型コロナウイルスの感染者は3万人を超え、日本でもマスクが売り切れるなど、余波は続いています。一方、株式市場は序盤こそリスクオフ(回避)ムード一色でしたが、次第に反転し、米国株はダウ、ナスダック、S&P500の主要指数が相次いで最高値を更新するなど、非常に強い値動きとなっています。

同時にドル円も大きく切り返し、110.00円に迫る値動きとなっています。果たして、今日の雇用統計と今後のドル円相場はどうなる?ということで、今日も見どころや展望、トレード戦略について解説していきたいと思います。(FXトレーダー/ブロガー・ゆきママ)

今夜は1ドル=109.50〜110.30円を想定。有効なトレード戦略は?

中国はコロナウイルスの封じ込めに成功?

感染者数は拡大の一途をたどり、コロナウイルスそのものの封じ込めには失敗していますが、少なくともコロナウイルスに対するマーケットの懸念というのは、かなり緩和され、株価もドル円も急速に高値圏まで戻しました。

NYダウ 日足(SBI証券提供)

米ドル/円 日足(SBI証券提供)※2020年2月7日12時30分現在

背景はいろいろありますが、中でも中国の本気の財政政策が大きいでしょう。

今週は春節明け、2月3日に中国市場が再開し、値動きに注目が集まりました。当然、大きく下げて始まったものの、パニック売りにはならず、この中国市場の限定的な値動きを確認して以降、株価を中心に急速に反発するという流れです。

このパニックを封じ込めた要因として、3・4日の2日間で27兆円という大規模な資金供給や空売りの禁止などが挙げられます。また、6日には対米関税を引き下げると発表するなど、株価を支えるならなんでもするという中国政府の姿勢が好感されています。

もちろん、コロナウイルスの影響が完全に織り込まれたかといえば、そうではありません。影響は今後の経済指標などで明らかになることでしょう。

一部では、中国経済の成長率が5%を割り込む可能性を指摘する声もあります。

とはいえ、中国が本気で経済刺激策を実施するのであれば、仮にそういった数字が出たとしても影響は限定的かもしれません。

なので、指標と中国政府の対応をセットで見ていくことが重要でしょう。

ちなみに、中国は国を挙げて対応するでしょうが、旅行キャンセルでインバウンドが大幅に低下した日本は危ないかもしれませんね。できる政策も限定的でしょうからね。

日本企業の株価の推移には警戒しておいた方が良さそうです。

Next: 先行指標は好調!今夜の米雇用統計でドル円はどう動く?



先行指標は好調!大きく上値を伸ばすにもハードルが高めに

今回の雇用統計の先行指標は良好でした。特に米民間雇用サービス会社のADPが発表した雇用報告では、2015年5月以来、4年8カ月ぶりの高水準と30万人に迫る雇用者数の伸びを示しています。

先行指標の結果(青は改善・赤は悪化、数値はいずれも速報値)

ADP雇用報告は予想の倍近い数字でした。背景には天候要因があるとされ、穏やかな天候、暖冬であることなどが挙げられています。新規失業保険申請件数なども大幅に改善しています。

唯一、ISMの非製造業の雇用指数が前回を下回っていますが、これまでも非常に強かったですから、あまり気にしすぎることはないでしょう。

今回の雇用統計に関しては、ハードルが上がっている一方で、仮に予想を下回る弱めの数字が並んだとしても、そこまで大きな懸念となることはないように思います。

雇用統計の注目度は非常に高いですが、雇用統計だけが経済指標ではありません。米中の第1段階合意の影響か、1月のISM製造業指数の総合指数は昨年7月以来、6ヵ月ぶりに節目の50.0ポイントを超え、経済活動の拡大が確認されるなど、全体的に好調ですからね。

流石に非農業部門雇用者数が一桁万人以下の伸びにとどまるなど、大きな下振れがあれば、この株価上昇ラリーも一旦ストップしそうではありますが、1〜5万人下回る程度なら問題ないように思います。

また、これとは逆に好調な先行指標が続いていますから、ハードルもそれなりに高く、非農業部門雇用者数が+30万人近い数字になり、平均時給も前月比+0.5%といった数字にでもならない限りは、ガンガン上値を追っていくような展開にはなりにくいと考えています。

いずれにせよ、多少の上振れ・下振れなら、そこそこという解釈で底堅い値動きを続ける可能性が高そうで、これをメインシナリオに据たいところです。

Next: チャンスは薄そうだが押し目狙いで!想定レートは1ドル=109.50〜110.30円



チャンスは薄そうだが押し目狙いで!今夜の想定レートは1ドル=109.50〜110.30円

ドル円はレンジ上限付近に近づいており、上値が非常に重たくなっています。

リスクオンの円売りはもちろん、債券が売られ、米長期金利(10年債利回り)が上昇してドル高と、ドル円にとってはこれ以上ない環境ではありますが、なんだかんだ金余りで国債も過度には売られませんから、上値も限定的となっています。

ここから伸びていくには、やはり雇用統計に相当な数字が求められるわけで、残念ながらそうなる可能性はそれほど高くないでしょう。

もっとも、先ほども書いたように弱い数字が出たとしても、即座に米国経済に疑義が生じるような状態にはないですし、特に平均時給が多少下振れする程度なら、むしろFRB(米連邦準備制度理事会)は当分は利上げに動けないという考え方もでき、今のリスクオン状況下ならゴルディロックス(適温相場)を意識しそうです。

というわけで、上値も限定的ですが、よほど弱い数字が出ない限りは堅調そうなので、発表前に押し目があれば買ってみるというのがベターでしょう。

ドル円(日足)チャート

発表前に110.00円を下回れば買い場か

とりあえず、発表前に110.00円の大台を下回っていれば買い場かなと思います。

値幅が非常に狭いので109.70〜109.80円ぐらいで拾って、発表後に上がったタイミングで110.00〜110.30円レベルで利益確定できれば十分でしょう。

仮に21日移動平均線のある109.50円を割り込んでいくなら一旦損切りです。

今回はほぼ無風、ドル円相場があまり動かないで終わってしまう可能性が結構あると思いますが、今回に関しては逆張りをするような状況にはないですから、まずは押し目を狙っていきましょう。

【関連】副業しないと貧困へ。日本型雇用の終焉でむしろ急成長する4分野12企業とは=矢野恵太

【関連】政府統計「不正」準備万端?景気悪化を認めぬ安倍政権が数字のお化粧方法を密かに告知=斎藤満

【関連】「いなげや」営業利益4割減が示す「安倍大恐慌」の始まり。消費増税でスーパーも火の車

image by:CGN089 / ShutterStock.com

本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2020年2月7日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。