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春から日銀以外は日本株を買わなくなる?よりによってなぜ今「改正外為法」施行なのか=今市太郎

新型肺炎が猛威をふるっていますが、国内の株式市場はこの騒ぎとはまったく別に、株価がまったく上がらなくなりそうな大きな2つの要因がうごめきだしています。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)

※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2020年2月11日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバッグナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。

日本株に未来がないのは一目瞭然?証券マンも米国株を勧めだした

新型肺炎で経済大混乱

株も為替も、今や相場は中国起因の新型肺炎で持ち切り状態です。ほかの材料にはほとんど市場が反応しないという、きわめて特別な状況に陥っています。

基本的な状況に変化がなくても、アルゴリズムが介在して米株も日本株もドル円も上げたり下げたりという方向感のない中で、徐々に下落を始めるのではないかと思われるここ数日の相場です。

しかし、国内の株式市場はこうした新型肺炎騒ぎとはまったく別に、株価がほとんど上がらなくなりそうな大きな2つの要因がうごめきだしています。

今年は安倍政権は「桜を見る会」を開かないようですが、株式市場のほうは桜の季節に花も咲かない事態に追い込まれる可能性が出てきているのです。

「改正外為法」で外人投資家は日本株を買わなくなる

一部の方はすでにご存知のことと思いますが、「外国為替及び外国貿易法(通称:外為法)」が昨年11月の国会で可決されて成立し、今年春に施行される見込みとなりました。

現行法では、原子力・航空宇宙など国の安全等を損なうおそれのある指定業種の上場株式を外国投資家が10%以上取得する場合、事前の届け出を義務づけ、政府の審査対象としています。

それが改正法では、届け出の基準を1%とすることになってしまったわけです。

なぜこれを今頃に実施しなくてはならないのか?という疑問がよぎるわけですが、この背景には、昨年に激しく繰り広げられた米中の通商協議に絡む、対中国での技術流出問題があると言われています。

米国のトランプ政権は2019年、外国企業による米国への投資を極めて厳格化した新法の規制案を打ち出しています。日本はそれに同調する形で、こうした法律改正を行ってしまったというのが大きな理由として挙げられます。

改正外為法が施行されますと、1%以上取得しようとする時点で原則として事前届出を行わねばならず、しかも審査が完了するまで株式を取得できす、審査の結果、取得を認められない可能性もあるとされています。

Next: 海外投資家の日本離れが加速。やがて誰もが日本経済を見限る?



海外投資家の日本離れが加速

これにより海外のソブリン・ウエルス・ファンドや年金基金については、たとえそれば純投資であっても、武器製造業や原子力業を営むメーカーなどの銘柄については、事前届け出は免除されなくなります。

財務省は海外投資家の理解を得られるようにロンドンやNYで説明会を実施し、誤解の解消とその趣旨の理解の促進に努めていますが、海外投資家の反発は必至です。

そうでなくても日銀が買い支え過ぎていて、市場の循環がすっかり崩れている日本株の市場。取引の6割、全体の保有比率の3割を超える海外投資家が、今後は日本株をかなりの勢いで買わなくなることが懸念されはじめています。

改正法の実施は4月ないし5月とされていますが、そうでなくても新型肺炎の流行問題で世界的に経済が低迷しかけている中にあって、海外投資家が資金を本邦株式市場に入れてこなくなるのは想像以上の痛手になりそうです。

GPIFが日本株投資比率を大きく低下

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、安倍政権や財務省からの要請もあり、2014年から国内株式の投資比率を全体の25%に引き上げ、株価の下支えと上昇に相当寄与してきたことは周知の通りです。

ただ、それで大きな利益が出たのかというのはまったく別問題ですが、その投資比率を世界的な年金ファンドの国際投資比率と同じく10%程度に引き下げることを考えているようで、これが実施されれば、やはり国内株を買い向かう機関投資家がひとつ姿を消すことになります。

自国の株式とはいえ、ここまで日本株の運用比率を維持するのは相対的に見てもおかしいということなのでしょう。

しかし「今さら?」というのが率直な印象ですし、これが引き下げられれば、ますます日本株を買う輩が減少されることが危惧されるわけです。

ここ5年以上、PKOと称して国からの要請に応じて馬鹿みたいに高いところで日経平均を買い支えて散々に損をして、今頃ポートフォーリオ変更もないものですが、ようやく国際標準に準拠した取引を行うことになるようです。

Next: 日本株に未来がないのは小学生でもわかる?証券マンも米国株を勧めだした…



国内株手数料無料競争で、証券営業マンは国内株を勧めない

ところで、国内のネット証券各社は相次いで手数料無料化を進めており、多くの証券会社がこれに追随する動きを見せています。

もともと米国ではネット証券の手数料無料化の動きは常態化してきたわけですから、日本でもそれが実施されるのは、ある意味当然の動きになっているとも言えます。

そして、営業マンを抱える中小の証券会社もそれに追随せざるを得ない状況に陥りつつあり、手数料を手にできない多くの営業が収益率の高い米国株投資を猛烈に勧めるになってきています。

結果的に、極めて不思議な形で本邦の個人投資家が米国株投資に専念する時代が到来している点も、個人投資家の日本株離れを加速させかねない状況になってきています。

株式セミナーが大流行も、人気は「米国株式投資」

老後資金2000万円不足の報道から、最近では株式セミナー大流行りのようです。

しかし、どこも顧客が詰めかけるのは「米国株投資セミナー」ということで、本邦証券業界自体が生き残りをかけて国内株を見捨てるかのような動きに出ていることも、非常に気になるところです。

こうしてみてきますと、そもそも消費税導入で景気後退に入り上昇要因がまったくない中で、さらに中国起因の新型肺炎で世界的な経済停滞・景気減速が悪材料として上乗せされる状況で、ここでご紹介したネガティブな材料が具体的に動き始めるわけです。

ですから、日本株がここから調子よく上昇することなどおよそ考えられないことは、小学生が見ても納得のいく状況になってきています。

よりによってこの時期にどうしてこういうことになってしまうのかかなり呆れるものがありますが、為替取引にかかわるものとしてはこの事実をしっかりと認識しておかなくてはなりません。

間違いなくドル円にも少なからぬ影響の出る問題です。

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image by:World Economic Forum at Wikimedia Commons [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons

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今市太郎の戦略的FX投資』(2020年2月11日号)より抜粋
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