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コロナ禍を利用したインフレと株式ブームに気をつけろ。苦しむのは庶民たち=藤井まり子

各国がコロナ対策として量的金融緩和策を無制限で発動しています。そう遠くない将来のアメリカでは、あるいは欧州や日本においてさえも、インフレ(と増税)は確実にやってくることでしょう。(『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』藤井まり子)

※本記事は有料メルマガ『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』2020年4月21日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

そう遠くない将来、アメリカではインフレが起きるだろう

さて、パウエルFRBが「掟破り」にバカスカと量的金融緩和策を無制限で発動して、さらには邪道である「ジャンク債」まで買い支えて、「債券バブル崩壊」は回避できました。

アメリカのシェール企業が発行するジャンクボンドを大量に保有してしまった金融機関の多くも、「FRBの無制限の買い支え」のおかげで、 九死に一生を得ています。

パウエルFRBだけではありません。アメリカ財務省もFRBと協調して、ヘリコプターマネーの発動に熱心です。いやいや、アメリカだけではありません。各国財務省も各国中銀もヘリマネをばらまき続けています。この日本も例外ではありません。

新型コロナ騒動が収まって人々の購買力が戻ってきて、マネーが勢いよく回転し始めれば、そう遠くない将来のアメリカでは、あるいはそう遠くない将来のヨーロッパや日本においてさえも、インフレ(と増税)は確実にやってくることでしょう。

インフレに苦しむのは庶民たち

そもそもインフレは、またの名を「インフレ税」といって、「見えない増税」なのです。

アメリカ国内の資産家たちは、こういった中長期的視野に立って、「将来のインフレのヘッジ先」として、株式は保有したままです。

なぜならば、「インフレに一番強い資産クラスは株式」だからです。

この日本でも、かつてはインフレ時代はあったわけです。戦後の高度成長期の時代は、この日本で消費者物価は上昇していました。

こういった戦後のインフレ時代は、賃金も上昇しましたが、賃金とパラレルで物価も上昇してしまいました。「働けど働けど、わが暮らし、楽にならず。じっと手を見る」というのは、デフレ時代だけに当てはまる歌ではありません。

株式や不動産などの「インフレに強い資産」を保有していなければ、インフレ時代においては、庶民の暮らしは決して豊かにはならなかったのです。

一方、目先の「新型コロナ危機」はまだまだ居座ったまま、去ったわけではありません。

アメリカやヨーロッパを始め、自由主義陣営の先進各国は、コロナ禍の中にあっても、「人命第一」の人道主義の旗を下ろすわけにはいかないのでしょう。

最近、私はだんだん分からなくなってきているのです。

世界の上層部のエスタブリッシュメントの方々は、本当に「新型コロナウイルス」を恐れているのでしょうか?

Next: 彼ら上層部の人々は、メディアが煽る「新型コロナへの恐怖」を巧みに利用――



コロナ危機はインフレを起こす千載一遇のチャンス?

彼ら上層部の人々は、メディアが煽る「大衆向けの新型コロナウイルスへの恐怖」を巧みに利用して、大衆がパニックに陥ることを良いことに、これ幸いに、ヘリコプターマネーをばらまき続けているのではないのか?

ヘリマネをインフレが起きるまで気前よく大量にばらまき続けるつもりなのではないでしょうか?

サブプライム危機後、10年の歳月を費やしても2%インフレを達成できなかった世界経済です。

そこへ「コロナ禍」というパンデミックがやってきた。

「新型コロナウイルス」は、幸いなことに、「インフルエンザ」ほどには感染力は強くなかったが、インフルエンザの10倍くらいは致死率が高かった。そのため、人々の恐怖、特に高齢者や虚弱体質の人々の恐怖を駆り立てるには十分だった。

斜陽産業のマスコミも、視聴率獲得のために、大々的に「新型コロナへの恐怖」を煽る(あおる)ような報道に夢中になった……。ポピュリストの政治家が支持率アップを目指して、大衆の恐怖とメディアの煽りを巧みに利用した。

マスコミと時のポピュリズム政治家たちが「人命第一」の錦を掲げれば、経済封鎖は至極当然の成り行きとなりました。

しかも、恐慌時代のように、失業率がとんでもなく跳ね上がった。人々の生活を守るために、ヘリマネ出動も堂々と「正義」となりました。

上層部の人々にとってみれば、「大量にヘリマネを出動して、2%を大きく上回るインフレを巻き起こす」には、「コロナ危機」は「千載一隅のチャンス」だったのではないでしょうか?

そう遠くない将来、アメリカでは3~4%、あるいは4~5%のインフレが巻き起こることでしょう。

そう遠くない将来、アメリカFRBは、今の日銀のように、「長期金利をペック」して「イールドカーブコントロールを導入」して、「強力なドル国債管理政策」へとシフトすることでしょう。株式さえも買い支えることでしょう。「まだ見ぬインフレ」を先取りするかのように、「不況の中の株高」が始まっています。

しばし、世界は、再び株式ブームをエンジョイするのではないでしょうか?

アメリカ経済はL字にはならなくてもW字回復?

ここのところ、急速に上昇してきた内外の株式市場。果たして、一本調子の上昇は、今後とも続くのでしょうか?

今後のアメリカ経済の回復の仕方については、当メルマガの先週号でご紹介しましたように、V字・U字・L字・W字回復、さらにはナイキのロゴマーク型の回復などなど、様々な予測があります。

相手が「変幻自在のウイルス」だけに先行きは極めて不透明。予測においてもエコノミストの間では意見が割れに割れています。

「高齢社会」に直面している人類にとっては、人々がひたすら「不老不死」を祈っています。高齢社会で人道主義の立場に立つ限りは、新型コロナはとてもとても手ごわい相手なのです。

すなわち、今後の回復はV字とはならず、(最悪のL字型回復ではかもしれませんが)W字、あるいは「ナイキのロゴマーク型」になるのではないでしょうか?

Next: 直近、一度ロックダウンを解いたシンガポールが再ロックダウンに迫られた――



ロックダウン解除を急いで再ロックダウンに追い込まれたシンガポール

直近、一度ロックダウンを解いたシンガポールが再ロックダウンに迫られたことは重いです。

ロックダウンに再度逆戻りすると、経済・心理・政治的に困難がますます増加してしまいます。再度ロックダウンに逆戻りすると、かえってダメージが大きくなるのです。

特に、「新型コロナ感染歴があるかないか、抗体があるかないかの検査結果」などの「人々の個人情報」を、国家が強力に追跡・一元管理できるようになるまでは、「早すぎるロックダウンの解除」は失敗する可能性が高く、「感染爆発第二波」を巻き起こす危険性が高いです。

ところが、中国以外の国々では、こういった「感染歴や抗体検査の結果」などの「個人情報」を、国家が「一元管理」することは、あまり進んでいません。

しかしながら、「国家による個人情報の管理」が進んでいない状態では、組織だった段階的かつ慎重な「統制の解除」は、まずは不可能です。

国家統制がなかなか進まなければ、「解除を急ぎすぎて逆戻り」するより、「解除が遅すぎる」方がリスクが少ないかもしれません。

コロナ情報の一元管理がロックダウン解除には不可欠?

ところが、今のトランプ政権は、国家による個人情報の一元管理が進まない中にあっても、経済の再始動を急ごうとするようにも見受けられます。これは、けっこう危険です。

今現在、内外の株式市場は急回復しています。しかしながら、こういった「偽りの夜明け」は、株式市場の「変動の歴史」においては至る所で起きた現象です。当メルマガの先週号でもお伝えしましたように、1930年代の恐慌時代においては、11回も見られた現象でした。

長期金利がゼロパーセントにへばりついて利潤率がどんどん低下している「コロナ後」の時代では、企業業績が悪化は長続きしそうです。

企業業績の悪化が長続きしそうな時に、株価だけが上昇するなんて事態が、はたして長続きするのでしょうか?

今の株式市場の急回復に対して「過剰に安心する」ことは、やはり大きな間違いなのではないでしょうか?

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瞬間風速でマイナス圏に沈んだ原油価格について

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【要注意】資産形成および投資は、必ず「自己責任」でお願いします。この記事は藤井まり子の個人的見解を述べたもので、当メルマガ及び記事を読むことで何らかの経済的及び精神的被害を被ったとしても、当方は一切責任を負いません。

image by:Joseph Sohm / Shutterstock.com

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藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』(2020年4月21日号)より一部抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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