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Netflixはどこまで伸びるのか。コロナ追い風の決算で見えた強さと3つの注目点=シバタナオキ

Netflixがコロナの影響をポジティブに受ける会社だということは、感度が良い方であればお気づきかもしれません。コロナ後初の決算から今後の成長を読み解きます。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)

※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2020年5月5日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:シバタ ナオキ
AppGrooves / SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。

自粛・巣ごもり需要でどれくらい伸びた?

コロナウイルスが世界的な広がりを見せてから、初めての決算発表が徐々に始まっています。いつも最初に出てくるNetflixから今日も見ていきたいと思います(編注:原稿執筆時点5月5日)。

Netflixは、コロナウイルスの影響をポジティブに受ける方の会社だということは、感度が良い方であればお気づきかもしれません。

コロナウイルスの影響は決算にどの程度の影響をもたらしているのか、詳しく見ていきたいと思います。

売上は前年同期比27.6%の$5.77B(約5,700億円)と非常に絶好調ですし、営業利益率も16.6%と高い水準を保っています。非常に好調な決算だったのではないでしょうか。

今日の記事では、読みやすさを重視して、3つのポイントにまとめておきたいと思います。

注目点その1:有料会員数は大きく増え、視聴時間は伸びている

初めに、Netflixの有料会員はコロナ以前と比べて大きく増えました。

特にアメリカでの伸びが大きかったという事実があり、四半期でグローバルで1,580万人もの新規の有料会員を積み上げました。四半期で1,500万人の有料ユーザーが増えるサービスというのは滅多に無く、驚異的な伸びと言えます。

視聴時間も大きく伸びていますが、面白いデータがあったのでこちらもシェアしておきます。

■March 22の週のストリーミング内シェア(vs 前年同週)
Netflix:29%(vs 36%)
YouTube:20%(vs 19%)
Hulu:10%(vs 15%)
Amazon:9%(vs 7%)
Other:31%(vs 23%)

出典:Nielsen: Coronavirus boosts streaming 36% since February. What are shut-ins watching?

3月22日の週のアメリカにおけるストリーミングサービス内での市場シェアは、前年の同じ週と比べると、Netflixの市場シェアが落ち込んでいます。

逆に増えているのはYouTube、Amazonプライムビデオ、そしてその他といったサービスになるので、Netflixのコンテンツに飽きてきてしまっているユーザーもいるのかもしれません。

Next: コロナ自粛によって、新しいコンテンツは制作できてているのか?という点――



注目点その2:新規コンテンツ制作は一時停止するものの、2020年内は新コンテンツが出続ける予定

コロナウイルスによる自粛によって、新しいコンテンツは制作できているのか?という点に関してですが、こちらは短期的には心配なさそうです。

Our 2020 slate of series and films are largely shot,” Ted Sarandos, the company’s chief content officer, told analysts during the company’s quarterly earnings call yesterday, “and are in post-production stages in locations all over the world. And we’re actually pretty deep into our 2021 slate. We don’t anticipate moving the schedule around much, and certainly not in 2020.

出典:Netflix promises subscribers it won’t run out of new content while people are stuck at home

2020年に公開する予定だったものはすでに撮影が終了しているものが多く、2020年に公開予定のものは予定通り公開されるとの発言がありました。

注目点その3:2020年のFCFはマイナス$1B(約△1,000億円)程度。当初の予想はマイナス$2.5B (約△2,500億円)

最後に3つ目ですが、Netflixといえばコンテンツ投資の大きさがこれまで特徴的でした。その計画は今後どのようになるのでしょうか。

It’s now projecting negative free cash flow of $1 billion or better for the full year, versus its previous expectation of -$2.5 billion. The company’s free cash flow for 2019 was negative $3.3 billion, which it believes will be the peak year of its FCF deficit.

出典:Netflix Plans to Raise $1 Billion Through Debt Offering

当初、2020年の1年間でフリーキャッシュフローはマイナス$2.5B(約△2,500億円)になる予定でしたが、それが$-1B(約△1,000億円)に抑えられています。

CFがマイナスにならなかった四半期というのはここ最近のNetflixではとても珍しいです。

2019年は$-3.3B(約△3,300億円)のフリーキャッシュフローでしたので、コンテンツ投資のピークは2019年だったと言えるのではないでしょうか。営業CFが黒字になっていることから見ても、投資を抑えた四半期となったことが分かります。

Next: 在宅時間が伸びたことの直接的な影響は、どちらかというと次の四半期に――



まとめ:Q. コロナ後初のNetflix決算で覚えておくべきこと3つとは?

Netflixの、コロナウイルス後初の決算の中で覚えておくべきことを3つを整理してみました。いかがでしたでしょうか。

アメリカにおけるコロナウィルスの影響は3月中旬以降に顕著になったと思いますので、在宅時間が伸びたことの直接的な影響は、どちらかというと次の四半期により大きくヒットしそうです。

それを除いて考えても、有料会員数が驚異的な伸びを見せたことも含め、時価総額がディズニーを超えたNetflixの決算には、これからも注目していきたいと思います。

A. 以下の3つです。
・有料会員数は大きく増え、視聴時間は伸びている
・新規コンテンツ制作は一時停止するものの、2020年内は新コンテンツが出続ける予定
・2020年のFCFはマイナス$1B(約△1,000億円)程度。当初の予想はマイナス$2.5B(約△2,500億円)。2019年はマイナス$3.3B(約△3,300億円)。

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『決算が読めるようになるノート』 2020年5月5日号『Q. コロナ後初のNetflix決算で覚えておくべきこと3つとは?』より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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