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相談しないと損? コロナ貧困をひとりで抱え込まない方がいいワケ=牧野寿和

コロナ禍でお金に困っている人は、ひとりで悩むよりも、思い切って誰かに相談することをおすすめします。ファイナンシャルプランナーなど家計見直しのプロに相談するだけで、無駄な出費が減ることは多々あります。(『【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ』牧野寿和)

プロフィール:牧野寿和(まきの ひさかず)
ファイナンシャルプランナー、牧野FP事務所代表。「人生の添乗員(R)」を名乗り、住宅取得計画やローンプラン、相続などの相談業務のほか、不動産投資、賃貸経営のアドバイスなども行う。著書に『銀行も不動産屋も絶対教えてくれない! 頭金ゼロでムリなく家を買う方法』(河出書房新社)など。

お金の無駄使いは無くせる

私は、ファイナンシャルプランナー(FP)として働いています。業務内容の中には、相談者の想いを実現するために、また効率的にお金を使えるように提案をして、その実行のサポートをしていくことがあります。

このFP業務を創業して、17年になりました。

この間に、

・リーマンショック
・東日本大震災
・新型コロナウイルスの流行

など、様々な家計に影響を及ぼす出来事があり、また現在進行中のこともあります。

ただ、いつの時代でも「無駄使いをしない方法」には共通点があると思っています。今回は、この私の思いをお話してみます。

専門家に相談したほうが家計の節約につながる

最初に今回のテーマへの思いをお伝えします。

それは、「専門家に相談した方が家計の節約につながる」ということ。つまり、専門家に頼ったほうが家計の節約につながり、また、無駄な時間を使わずに済むこともあります。

車が故障した場合、その修理に専門的な技術を必要とする場合には自分で直すことはできず、専門家である自動車の修理工場に修繕の依頼をするでしょう。

また、自宅の内装の模様替えをしたい場合、専門の業者に依頼することもあれば、DIY的な趣味としてご自身で作業をすることもあるでしょう。

この場合、業者に依頼すれば、家に来てもらうだけで1人当たり1万円以上の日当や材料費、それに取付けのための費用も請求されるかもしれません。しかし、ご自身で作業をするならば、壁紙など張替に必要なものは100円ショップやホームセンターで購入することも可能でしょう。

ただ、出来栄えや耐久性を追求する場合は、専門の業者に依頼したほうがお金はかかっても効率的かもしれません。

繰り返しになりますが、家計の見直しに関しても、専門家に頼ったほうがより家計の節約につながったり、無駄な時間を使わずに済んだりすることもあります。

Next: 「安物買いの銭失い」ともいわれています。安い物を買っても、それがすぐ――



家計でも費用対効果を考える

「安物買いの銭失い」ともいわれています。

安い物を買っても、それがすぐに壊れて買い直すのであれば、少々高くても耐久性がある物を購入した方が良い。ということを言っているのでしょう。言っていることには、間違いはないと思います。

しかし、購入する商品が頻繁にモデルチェンジをし、それに合わせて新商品を購入したのであれば、何も高い品物を買うことはないかもしれません。

少し乱暴ですが、保険商品を契約する時に置き換えてみます。

医療保険の保険期間は、保険の対象になる人(被保険者)が生きている間、つまり終身保障してくれる商品が多いです。

保険料の支払いは、終身払い続けるタイプと60歳・65歳で支払いは終了させて保障は終身のタイプがあります。

保険の商品の内容は同じであっても、保険会社に支払う毎月の保険料は終身支払うタイプの方が安いです。

なお、保険商品も頻繁に新商品が発表されますので、常に最新の保険に加入しておきたいのであれば、新しい保険が発売されるその都度、今まで加入していた保険は解約して新規に終身払いでの契約をしたほうが良いでしょう。

ただ、保険商品に加入するには、通常、同じ保障の内容の商品でも被保険者の年齢によって保険料が高くなります。また、新規に加入する都度、健康の告知が必要です。

このように考えてみますと、高額な物を購入する時は目先の節約よりも、買う時にはお金がかかるようでも、結果的には節約につながる場合もあり、生涯の家計収支への影響、つまり、費用対効果を考えながら購入するかを決めたほうが、良いようにも思うのです。

自分の状況や希望を整理する必要がある

ご自身だけでは本当に購入しても良いか迷うことや、判断がつかないことがあります。

住宅の購入などはその一例です。資産運用をする時、どんな金融資産商品を選ぶかでも迷うこともあるでしょう。

そんな時に、ご自身で本を買って読んだり、セミナーに参加したりして知識を得ても、うまく解決に持って行けずにいる方もいます。また、意を決して専門家に相談しても、ご自身が欲しい回答をもらえないこともあります。

なぜこんなことが起こるかといえば、相談する側が情報の整理が出来ていない、いわゆる「知識のメタボ」の状態になっているからです。

相談者の意志決定がされていない状態で専門家に相談に行っても、専門家もどのように対応したら良いのか困ってしまうこともあるのです。

Next: 例えば、現在私のところでは保険商品の販売はしていませんし、保険の見直――



相談するだけで出費が大きく減ることも

例えば、現在私のところでは保険商品の販売はしていませんし、保険の見直しと適切な保険商品の提案のみの業務はしておりません。生涯の設計構築業務の一環として、保険の見直しをしています。

以前、保険の見直しのみの相談を受けていた時の相談者で、個人情報保護の観点からも保険見直しに必要な部分の家族の状況、収入や相続などを伺い、現在加入中で見直したほうが良い保険商品とその改善策の提案をした時です。

その方は、しきりにご自身が亡くなったら3,000万円の死亡保険金は必要ないかと言われます。その方から聞いた範囲内では、お子さんはすでに独立していて奥さまもフルタイムで働いている。なぜ、3,000万円の死亡保険金が必要なのかわかりませんでした。

私は、3,000万円の死亡保険金を追加する提案はしませんでした。すると、提案後その方が相続税を払うのに必要だと言われました。そこで、あらためてその方の資産を伺ったところ、ご自宅の土地建物がメインで若干の金融資産をお持ちでした。

税理士に試算してもらうまでもなく、一般的な相続税の計算をしても相続税の基礎控除内に納まり、現状の資産であれば相続税の納付の必要はなかったのです。

その時に、死亡保険金3,000万円の保険商品に加入すれば、年齢からも毎月の保険料は結構な金額になり、ご自身やご夫婦の老後の家計に影響が出たかもしれません。

支払った以上の効果を期待する

さて、このように考えてきますと「餅屋は餅屋」で、家計の見直しにかかわらず、専門的なことは専門家に相談した方がよいでしょう。

専門家に支払う費用が発生しても、その費用以上の効果が期待できるならば、依頼したほうが家計収支にもご自身の時間を効率的に使うためにも良いと思うのです。

ご自身で手に負えないことは、費用がかかっても将来の家計収支を勘案して専門家に依頼することをおすすめします。

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image by:antoniodiaz / Shutterstock.com

【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ』(2019年6月9日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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