インド洋のマダガスカルの東にあるモーリシャス。この地で日本の商船三井が運航する貨物船「わかしお」が座礁し、重油1,000トンが流出しました。対応を誤ると、日本は国際世論を敵にまわすことになります。(『「ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!」連動メルマガ』児島康孝)
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「Wi-Fiが使いたくて」モーリシャスで重油1,000トンを流出
アフリカのマダガスカルの東に位置する、インド洋の楽園「モーリシャス」。
このモーリシャスの周辺で、日本の商船三井が運航する貨物船「わかしお」が現地7月25日に座礁し、重油1000トンを流出しました。
美しい島々が、重油で汚染されています。
この貨物船「わかしお」は、商船三井が運航し、船の所有は岡山県の長鋪(ながしき)汽船です。
複数報道では、Wi-Fiを使えるようにしようと島に近付いたのではないか、という見方も流れています。
「日本的な対応」は、国際世論の大反発をまねく
モーリシャスからは、近く賠償が請求されるとの報道もあります。が、「日本政府」「商船三井」「長鋪汽船」が積極的に対応しているようには見えません。
巨額の賠償を恐れて「三すくみ」状態のようで、こうした「日本的な対応」を続けると、日本が国際世論の強烈な批判を受けることになります。
これだけ重大な環境汚染や観光被害を引き起こしても、当事者不在のごとく、責任回避のために逃げ回っているのではないか?このように思われてしまうためです。
新型コロナウイルスの対策でも、いったい誰が責任者なのか、国か、自治体か、医師会か。よくわからない状態で迷走していました。
これを国際社会でやりますと、日本人のように「黙って辛抱している」ということにはなりません。
日本は卑怯だ!知らんふりをしているのか!という話になってくるからです。
国家を挙げて商船三井にも指示しないと、「ほっといたらどうにかなるだろう」という態度は極めて危険です。
Next: このままでは国際社会から「日本の味方」がいなくなる
国際関係を歪ませる一石となる?
折しも、中国とインドの間で緊張が高まっており、インド洋やアフリカが焦点になっています。この問題にも、今回の事故には悪影響です。
アメリカやインドにとっても、「この大切な時期に、日本はいらんことをしてくれたな」という感じでしょう。
当然、アフリカやインド周辺の国々は、この流出事故に対し、日本がどういう態度をとるかを注視しています。
日本のイメージが地に落ちる
日本でも、1974年に、岡山県倉敷市の三菱石油(水島製油所)から重油が流出する事故があり、“柄杓(ひしゃく)”で重油を回収する作業が衝撃的で、国民にショックを与えました。
瀬戸内海の広い海域が重油でべっとりと汚染され、当時、大問題となりました。
「瀬戸内海は死んでしまうのではないか」「漁業ももう無理だろう」と言われたのですが、石油自体がもともと地球上に存在するものであったことから、瀬戸内海の回復は、予想よりも早く進みました。
だからモーリシャスも……ということは考えられますが、こんな話は、もっと先のこと。いま、こういうことを言っても、まったく説得力はありません。
ですから、日本的な対応をすぐにやめて、しっかりと国が先頭に立って、商船三井や長鋪汽船に次々と指示を出す必要があります。
そうしないと、これまでの日本からアフリカへの援助がすべて「帳消し」になってしまうぐらいの、日本のイメージの悪化が懸念されるでしょう。
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『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』(2020年8月17日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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日本に影響を与えてきた欧米勢の勢力図が変化し、国際情勢も激変の時期を迎えています。トランプ政権の前の欧米勢力は、日本の1990年のバブル崩壊以降、日本の衰退を狙ってきました。超長期の経済サイクルである、コンドラチェフ・サイクルが、戦後最悪の大底でもあったことから、日本経済はデフレに陥り、低迷したままであったのです。ところが、トランプ政権の誕生以降、欧米勢の勢力は変化し、日本の今後も、大きく変わろうとしています。このメルマガでは、有料読者に限定して、ちょっと書きにくい話にも踏み込んで、欧米勢の動きをお伝えします。