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中国の「超異常気象」は天罰か?災害集中は必然、超高齢化で亡国へ=勝又壽良

今の中国は「世界一の人口」で舞い上がっている。これが「世界一の高齢人口国」になる。中国の輝きはそこで終わりだ。環境を破壊して経済成長を優先させたツケが回る。(『勝又壽良の経済時評』勝又壽良)

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※本記事は有料メルマガ『勝又壽良の経済時評』2020年8月6日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし)
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。

中国に対する「過大評価」は今がピーク

中国は、改革開放政策(1979年)以来の40年間の平均経済成長率が9.79%にも達した。この記録は、空前絶後であろう。

これを実現した背景は、「一人っ子政策」による、急激な生産年齢人口比率の上昇であった。扶養人口が減って、生産年齢人口(15~59歳)比率が上昇した結果だ。世界標準では、生産年齢人口年齢が15~64歳である。中国では、健康上の理由で15~59歳と短縮されている。

このギャップが、世界で中国の潜在成長率を過大に見積もらせている。世界標準で計算するからだ。中国の現実の生産年齢人口は、世界標準よりも約1割少なく計算しなければならない。このことを、繰り返し指摘しなければならないほど、世間ではこの点を無視している。

中国ばかりに大災害が集中する理由とは?

改革開放政策以来の40年間の平均経済成長率が、約10%にもなった背景には、環境を破壊したままにし、回復コストをかけなかったことも上げられる。大気汚染・水質汚染・土壌汚染・地下水の過剰くみ上げなどだ。

環境破壊分をコスト計算すると、毎年2~3%が「環境破壊」と試算されている。つまり、40年間も平均約10%の経済成長を実現したが、環境破壊分を織りこめば、実質「7~8%」に間引かれるのである。

問題は、環境破壊がもはや放置できない限界に達していることである。

とりわけ重要なのは、「地下水の過剰くみ上げ」である。中国全耕地面積に占める灌漑(かんがい)面積が、約半分も占めているのが現実だ。この灌漑面積で、中国の75%の食糧と90%の経済作物が生産されている。極論すれば、中国農業は、灌漑に依存しているのである。

この灌漑が、地下水をくみ上げている場合、地下水は涸れる運命である。実は、中国の華北平原(黄河以北の中国)では、古くから粟や麦が栽培され、日本でも有名な水ギョーザ(餃子)やマントウ(饅頭)などの中華料理を生み出した土地柄である。

地下水が、これまでの過剰くみ上げで枯渇しかかっている。その被害が、中国東北部の遼寧省で干ばつとなって現れている。同省阜新市や錦州市などでは今年、トウモロコシなどの収穫は皆無に近い状況だという。

中国水利部(省)7月29日の発表によると、6月1日~8月6日まで、遼寧省の平均降水量は108.8ミリで、平年同期と比べて53.1%減少し、昨年同期比では20.6%減少した。1951年以降、降水量が最も少ない年になったという。地下水の過剰汲み上げは、干ばつの理由の1つとされている。遼寧省の干ばつが、地下水の過剰汲み上げと関係あるとすれば、事態を深刻に受け取るべきである。

中国紙『新京報』(7月30日付)によると、遼寧省西部はトウモロコシの主要産地で、7月末に収穫期を迎える。しかし、この2カ月間、降水量の不足で、トウモロコシは成長できず、収穫できなかった。一部の村ではトウモロコシ畑の大半が水不足で枯れた。東北三省である黒龍江省、吉林省もイナゴの大群に襲われている。遼寧省も干ばつ被害に遭ったように、異常気象に翻弄されているのだ。

中国国家統計局のデータによると、東北三省である黒龍江省、吉林省、遼寧省の食糧生産量は中国全体の20.8%を占める。中国の「食糧生産基地」が、以上のような「天災」に遭遇しているのは偶然の出来事ではない。

Next: 米国に頭が上がらぬ中国の弱点。食糧不足がさらに加速

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